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『産後ケア』って何?

最近よく耳にするようになった『産後ケア』。

これは具体的になんの事でしょか?

一口に『産後ケア』というと文字通り“産後のママをケアする”こと。

私達助産師は勿論、それぞれの得意分野で産後のママを応援しようというもの。


アロマセラピーや産後のエクササイズやヨガ、整体、カウンセリング、食育講座など…
幅広い人達がいらっしゃることと思います。

一方『産後ケア事業』とは・・・

これは【母子保健法】という法律により国が法制化して市町村が努力義務として行う事業です。

国や、市町村が費用を負担して、産後1年未満の支援の必要なママに産後ケアを届ける仕組みです。

つまり皆の血税を産後の親子の健全育成に使いましょうというもの。

なので、予算が限られています。
私の住んでいる市ではケアを受けるにあたってあらかじめ査定が入ります(保健師さん等の面接)。

そこでケア認定されるとケア事業者につなげてもらえ一部自己負担でケアを受けられる仕組みです。
*非課税世帯は全額補助



主なケア内容

ママの健康管理や乳房ケア、休息等のサポート。
赤ちゃんの健康管理やスキンケア、成長発達チェック。
その他育児相談や授乳指導など。



ケア提供の方法

アウトリーチ型:居宅に助産師が訪問しケア提供
デイサービス型:医療機関で日中ケア提供
宿泊型:宿泊も含めてケア提供

があります。

アウトリーチ、デイケア、宿泊型は組み合わせも可能で1年未満最大7日間利用できます。

この方法で専門的なケアを行えるところが『産後ケア委託事業所』として選ばれます。

実際には産科医療施設助産院助産師がこの事業の受け皿になっています。

私の助産院は『デイサービス型』


当院の産後ケアの流れ

1.ケア査定

①    母子を見ていた医療機関からケアの必要そうな方の情報が保健センターに届きます。

②    赤ちゃん訪問等で産後ケアの必要そうな方の情報が保健センターに届きます。

③    ママが保健センターに問い合わせることも出来ます。

④    ①~③で繋がったママに保健師さんが訪問しケアの必要性の有無を査定します。

2.ケアの認定と日程調整

①認定されたママのケア依頼の電話が市から当院にかかってきます。
私はケア受け入れの出来そうな日を伝えます。

②市がママに電話をして私とママの予定のすり合わせをします。

③市より私にママのケア希望日が電話で伝えられます。

④私はママに来られる目的や、食物アレルギーの有無、持ち物、当院までの道のり、移動手段について電話で確認します。

3.ケアの受け入れ準備

①市より事前に「ケア依頼書」が送られてきます。そこに必要な情報が記載されています。

②ママには産後ケア利用券が送られます。

③大まかなケア計画立案、必要物品(食材等)の準備、環境整備をします。

4.当日の流れ

10:00 受け入・産後ケア利用券受理
    カウンセリングと タイムスケジュール調整
    午前中のケア・休息
    (赤ちゃんのお世話、乳房ケア、授乳指導、沐浴等)

足湯をしながら乳房ケアをするコーナー
畳にお布団の休息コーナー

12:00 昼食・休息    産後の体に必要な栄養や調理のコツなどをお話しながらお出しします。

ある日の産後ケアご飯


13:00 午後のケア・休息
15:45  利用後アンケート・会計・帰り支度
    *当市の助産院の利用自己負担は4,190円

16:00 退院


といった感じです。


しっかり休息が必要そうなママには赤ちゃんのお世話も授乳もこちらで行います。

赤ちゃんのお世話や授乳方法等を身に着けたいママには寄り添って一緒に行います。

6時間、マンツーマンでかなり中身の濃いケア提供をしている自負はあります。

普段、私のケアが1時間7,000円なので…それが6時間で昼食付となると
かなりお得かなと。

ただ…ケアの流れの1~3までを見てもらうとわかりますが
ケア提供の即時性に欠けます

本当に困っているときにすぐにケアに繋がらないない…。

ケアが受けられるようになる迄に早くても10日から2週間はかかります。


私も保健センターから連絡が来たらすぐ受けてあげたい。
でも、私の助産院は私一人で回しています。
普段の予約が2週間先迄大概うまっています。

丸一日ご用意できる日がそうすぐになくて…

迅速に出来ず申し訳なく思っています。

その間に事態がどんどん泥沼化して行く…。

来られた時にはかなり切羽詰まった状態になっている。

そんな方々に今迄何人もお会いしてきました。

産後の早期はホルモンの関係でハイになっています。

つい、がむしゃらに突っ走てしまいがち。


でも、エンジンに給油もせず冷ますこともしないで走り続けると…

気付いた頃には知らない山の中でガス欠オーバーヒート…。

産後の始めにエンジンふかし過ぎると3~4ヶ月頃にその状態がやって来ます。

実はその時期に「産後うつ」が最も発症しやすく危険なんです。


先行きが不安になってきたら…
まずは一時給油先と道先案内を近くの「産後ケア」とうたっているところに駆け込んではいかがですか?

それが助産院なら、確実に専門的な産後のケアが受けられます。

そしてそこの助産師に『産後ケア事業』を勧められたなら

とりあえずケアを受ける段取りを進めておいてもよいのではないでしょうか?

産後に先が見えない感じがしたら…

決して一人で抱え込まないで

まわりにSOSを出してよいのです。

それはあなただけでなく

あなたの大切な赤ちゃんやご家族を守ることになるのです…

何の罪悪感も要らないのよ。

産後はいつもと違うから…無理は効かないの。

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