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日常の中で思い込みを書き換える方法

インナーチャイルドの深さは人それぞれであり、同じ人の中でもインナーチャイルド自体によってそれぞれ深さが異なります。たった一度の浄化で目が覚めたように書き換えが起こることもあれば、数ヶ月から数年かけて、反復的に浄化と書き換え作業が必要な場合もあります。

ですが、まずは日常の中で思い込みに気づき書き換える練習をしてみましょう。自分と向き合う時間を習慣化することで、思い込みに気づくことができます。日々の中でほんの少しの時間、自分を振り返る習慣をつくるのです。入浴タイムや寝る前のほんの数分でも良いので、一人で心静かになれる時間を作ります。タイミングや頻度は、朝でも夜でも、毎日でも1週間に1度でも、自分が心地よいやり方で始めましょう。

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今すぐ実践できる心のデトックス3つのステップ

ステップ1. 心に引っかかった出来事を思い出し、現状の感情を感じきる

まずはその日、その週にあった心に引っかかった出来事を思い出してみましょう。コツは、まずは感情を入れずに出来事そのものを客観的に思い出し、それに対して自分がどう感じたかを思い出します。そして、その感情を感じ切るのです。

ステップ2. 「それは本当に必要(大切)なこと?」と疑ってみる

感情を感じきったら、冷静に出来事と感情の間にどんな思い込みがあるかを見つめて掘り下げていきます。そして、思い込みの正体がわかったら、本当に必要で大切な思い込みなのかを振り返りましょう。

もしそれが、今後の自分の人生にとっては不要な思い込みだった場合は、今後の自分の人生にとって必要な思い込みに書き換えます。この時、今までの思い込みを頭では要らないものだとわかっていても、感情が追いつかない場合は、ステップ3に進みます。

ステップ3. 過去の傷ついた感情をしっかりと受け止める

不要な思い込みができたきっかけになったであろう過去の出来事(トラウマ)を思い出してみます。トラウマに自分で気づくのは非常に難しいですが、もし思い当たることがあるなら、傷ついたとき本当はどう思っていたのか、その時の自分の感情を思い出してみましょう。

善悪という価値観を入れずに「ああ、自分はこう感じたんだなぁ」とそのままの感情を感じてみてください。そして、その時の幼い自分になりきって感情を感じ切るのです。あえて「感じ切る」と書いているのは、「あぁ悲しかったんだなぁ」程度に思い出すだけでは、意味がないからです。本物の子どものように、泣きわめくくらいのイメージでちょうどいいでしょう。すると、感情がだんだんと消えていき、頭と心が一致します。

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上記3つのステップについても、例を出してお話ししましょう。

同じチーム内にちょっと嫌だなと思う人がいて、その人の言動が原因でイライラすることがあったとします。異動願いを出す・職場を変えるなどその場から距離を置くという選択肢もありますが、仕事自体は自分のやりたいことなので、いつも我慢しています。

その場合、ただ「またあの人のせいでイラッとした」と流してしまうのではなく、その日の夜などに、イラっとした感情を紙などに書き出してスッキリさせた後、どうして自分はその人が嫌なのかを掘り下げてみるのです。すると、その人の嫌だと思う部分に、何か自分の思い込みがありそうだと気づくことができます。

例えば、メールはすぐに返すべきという暗黙の了解と思っていることを平気で破ったりするなどです。「この暗黙の了解と思っていることは、本当に必要(大切)なことだろうか?」と、改めて考えてみてください。

もしかしたら、自分が大切だと思っていることは、その相手からするとそこまで大切ではないことなのかもしれません。その人はメールの返信が遅い人だったとしても、その人が着実に決められた仕事をこなす人なら、問題はないはずです。むしろそれはその人が自分の集中力を保つためにやっていることなのかもしれないと思えば、腹も立たなくなるでしょう。

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この時に、もし頭ではそうだなと納得できても、腹立たしい気持ちがまだまだ湧いてくるのだとしたら、それは大きなトラウマ(インナーチャイルド)から来ている可能性があるのです。

ここで、ステップ3をもっと実践しやすくするために、自分でできる“インナーチャイルドを癒す方法”をより詳しくご紹介しておきます。

インナーチャイルドを癒す5つのステップ

1.インナーチャイルドを突き止める
2.傷を認め、ショックや悲しみを感じる
3.怒りを感じる
4.当時の自分を認めて褒め、同化する
5.傷の原因になった人のプラスの面を探す

先ほどの例に当てはめて考えてみましょう。

メールの返信が遅いことで、どうしても「自分をないがしろにされている」と感じてしまうとします。それはどんな過去の記憶から来ているのかを考えてみます。すると、恋人が返信が遅くなったと思ったら浮気をしていたという経験や、両親が共働きでずっと寂しかった経験があるのかもしれません。この時重要なのは、一番古い記憶をより細かく思い出してみることです。インナーチャイルドは基本的に12歳までにつくられると言われていて、一番最初の経験以降は、似たような経験をすることで思い込みを強化しているに過ぎないからです。この例の場合、寂しくて甘えたいのに、仕事で忙しい両親に、甘えさせてもらえなかった場面が思い出されたとしましょう(①)。

次に、そのときの自分になりきって、どんな気持ちかを味わってみます。「突き放されたような気持ち」と「悲しみ」が出てくるかもしれません。その感情をとことん味わうのです(②)。

すると、次に「悔しい」「なんで分かってくれないの?」といった怒りが湧き出てくるでしょう(③)。

たっぷりと泣いて当時の悲しい気持ち、怒りなどを十分に感じた後、子どもになりきっている自分を、今度は大人の自分が「悲しかったんだね、悔しかったんだね」と認めて抱きしめます。気分が収まり、トラウマがスッと消えるまで繰り返しましょう(④)。

そして、大人の自分に戻ったら、もう一度その時の状況を客観的に見てみます。「お父さんもお母さんも仕事が大変で気持ちに余裕がなかったのかもしれないな。そんな中で私を立派に育ててくれた。」などと思えていたら成功です(⑤)。

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普段、他の人を責めてしまいがちな人は、現在の出来事や人に対する「怒り」という偽りの感情で根源的に感じている悲しみなどを隠していることが多いものです。そのような場合は、誰かを責めたい衝動を一旦手放し、過去のトラウマを探すことにフォーカスしましょう。

感情の一番深いものは、悲しみや罪悪感、無価値感などで、それを感じて認めてあげることが、インナーチャイルドを癒す上で一番重要です。その後、当時自分を傷つけた人への怒りが湧いてきて、感じきることでトラウマが消えていきます。そうすると、現在の出来事や人に対するネガティブな感情が消えるというのが、心理的な仕組みです。

普段、逆にイライラや怒りを感じづらいという人も多いのですが、インナーチャイルドを癒すにあたっては、怒りを感じることも重要です。その理由は感情の性質が関係しています。感情には、次のような22個のエネルギーの階層があり、上に行くに従ってエネルギーが高くなります。

[感情エネルギーの階層]

01. 喜び/智/溢れる活力/自由/愛/感謝
02. 情熱
03. 興奮/没頭/幸福感
04. ポジティブな期待/信念
05. 楽観
06. 希望
07. 満足
08. 退屈 
09. 悲観
10. フラストレーション/イライラ/我慢
11. 圧迫感
12. 落胆
13. 疑念
14. 心配
15. 自責
16. 挫折感
17. 怒り
18. 復讐心
19. 憎しみ/激怒
20. 嫉妬
21. 不安(身の危険)/罪悪感/無価値
22. 恐怖/悲嘆/憂鬱/絶望/無能

(エイブラハムが提唱した22段階の感情スケールより)

例えば、22番の絶望は一番エネルギーが低いのですが、そこからいきなり1番の愛や感謝は感じられません。感情は段階を踏んで、徐々にエネルギーを上げていくことで上の段階の感情を感じられるのです。

したがって、インナーチャイルドのワークで21や22のような根源的な感情を感じた後、途中にある「怒り」を感じることで、エネルギーが上がり、トラウマを昇華しやすくなるのです。すると、今までインナーチャイルドによって、下の段階の感情を感じやすかった状態から、上の段階の感情を感じやすくなり、以前よりも生きやすくなるのです。

こころ

このように、自分と向き合う時間は、少し立ち止まってじっくりと振り返っていくことで、自分の思い込みを書き換えることができる大切な時間です。

自分に向き合うことは、自分の力で続けることが大切ですが、難しい場合はカウンセラーやコーチなど専門家の力を借りるのがオススメです。トラウマが深いとわかっている場合も、自分一人で当時の記憶を呼び起こすのは精神的に危険なことも多いため、専門家と一緒に行うと良いでしょう。

日本ではカウンセラーやコーチに相談するのは、精神を病んでしまっている人もしくはプロスポーツ選手のみというイメージを持っている人がまだまだ多くいます。しかし、欧米などでは、料理教室や英会話教室で指導を受けて技術を習得するのと同じように、カウンセラーやコーチの元で自分の心と向き合う技術を習得しています。私は、日本でも、そんなふうに自分の心と向き合う技術を習得する雰囲気が広まっていくといいなぁと思っています。

自分らしい人生を生きるためのステップにおいて、体質の改善と感情の改善ができたなら、かなり生きづらさも無くなっていることでしょう。自己実現へ向けて動き出す前の最後の準備として、次からのノートでは「環境(部屋)」の改善を見ていきます。

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