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Q.「茶の十徳ってなんですか?」

ジェモセラピストで茶道教授の水上麻由子が、皆さんのご質問にお答えする「教えて!まゆこ先生シリーズ」

中国からチャの木の種を持ち帰り、喫茶養生記を記した栄西禅師については、前回の記事でご紹介しました。

栄西禅師はその後、京都栂ノ尾の明恵という弟子のお坊さんに茶の話をし、茶を喫するとよいとすすめ、チャの実を贈ります。
そして、明恵が植えた栂ノ尾の茶畑からとれた茶が、鎌倉幕府三代将軍、源実朝の二日酔いを治癒したことから、喫茶の文化が寺院や上流階級の間で広まったといわれているんです。鎌倉時代の将軍もおつきあいの深酒から二日酔いに悩まされているなんて、興味深いですね。

その明恵が説いたのが茶の十の効能です。お茶を飲むとこんなに沢山いいことあるよ、というもの。この十の効能には諸説ありますが、その一つをご紹介します。

①諸天佛加護(茶は強く根を張り、一年中緑を保つ。その生命力が私達を守る)
②五臓調和(お茶に含まれる成分が身体のバランス維持に役立つ)
③父母考養(深い味わいが素直な心を育て、父母への感謝の精神を育む)
④煩悩削除(煩わしい世事の疲れを忘れさせる)
⑤寿命長遠(養生の仙薬といわれ、心に煩悩なく身に病気さえなければ、日々の仕事に精進でき寿命も長くなる)
⑥睡眠自除(神経の機能を活発にし、頭脳と血液の循環を増進し、睡魔を除去する)
⑦息災延命(養生の仏薬とも言われ、アルカリ性のお茶は、飲むサラダでもある)
⑧天神随心(茶を飲む時は心を落ち着かせ、無我無心で純真な心になりきることができる。天神の心に叶う心境になる)
⑨諸天加護(邪気邪念もなく神仏の加護がある)
⑩臨終不乱(心の平静を保ち天寿を全うできる)

栂ノ尾にある日本最古の茶畑は「本茶」(本場の茶の意)として、今も残っています。
宇治茶は、栂ノ尾の本茶を宇治に移植したのがはじまりとされ、室町時代には三代将軍、足利義満の保護によって、宇治に七つの茶園、「宇治七名園」が作られるまでとなりました。

抹茶を楽しむなんて、このコロナ禍では不要不急のように思われそうだけれど、実は毎日飲んだらよいと思うのです。心が落ち着き、覚醒作用で眠気もなくなり仕事もはかどるし、血流がよくなって座りっぱなしの身体にもよく、葉を丸ごと飲むのでビタミンも摂れる、カテキンの殺菌作用で風邪やウィルスの予防にもなる・・・・いいことが沢山あります。

茶道を特に知らない方も、ぜひ、抹茶をおうちで飲んでみて欲しいです。和菓子が手に入らなければ、小さなクッキーでよいと思います。

お茶をしゃかしゃか点てる茶筅が欲しいな、美味しい抹茶を教えて欲しいなあという方はご連絡ください。お送りします。

(注)華厳宗を学び、密教の伝授を受けた明恵上人は、1206年、後鳥羽院より栂尾の地を賜り、高山寺を開いた。日本で初めて茶が作られた場所として伝えられている。栄西禅師から中国のチャの種子を贈られた明恵は山内で植え育て、修行の妨げである眠気を覚ます効果があるので衆僧にすすめたという。中世以来、栂尾の茶は本茶として珍重され、それ以外の茶は非茶と呼ばれるほどだった。



私たちは、純粋意識(魂・ミッション・ダルマ)を生きると決めて、生まれる場所や時代を選んで生まれてきています。地球上の人々が、内なる魂と繋がり、健やかに成長しながら人生の航海を楽しめるよう願いながら、書いています。 応援や共感していただけたら、嬉しいです。