やりたい事より、やりたくない事を識ろう
2021年がまもなく終わる。
「早いよね」なんて友人たちとは口にするけど、実際にはそんなふうに思っていません。
なんて長い1年だったんでしょう。コロナのせいで、去年も合わせるともう2年もこんな状態に置かれてる。
いつも飲食の話題一辺倒ですが、2021年に関しては、それを俯瞰した上でさらに悟るべきことがあったように思います。
もっと活動したかったし、出かけたいところも会いたい人も満載でした。
毎日忙しく過ぎていくけれど、「もしコロナがなかったら……」と世界中の人たちが感じているよねとつくづく思った2021。
「いつも忙しそうね」と人に言われると、一抹の不甲斐なさを感じつつ、
大丈夫、忙しい私はまだやれてる。明日に向かって活動してる
と、自分を無理に納得させたりして。
……いやもう、全然そんなことはないです。
会社員時代に比べたらびっくりするほど忙しくなんか、ない。こんなので大丈夫かなと思いつつ、人様のSNSを眺めたりnoteを読んだりしています。
2年前まで在職していた出版社の同僚たちの話を聞くと、これまた大変そう。
・副業制度が本格的にスタート(いいことだと思うけど)
・アドレスフリーになって必要時に出勤するスタイルに(これも賛成)
・全社的に雇用体系や働き方に対する大きな見直しがあった(そりゃそうだ)
……と聞き、そのまま働き続けていたら私はどうなっていたかなぁと、意味もないのに想像が止みません。
そんな中、ようやく自分でも腑に落ちたこと。それは、
現役世代はみんな、“人生棚卸し”の真っ最中
だということ。みな、「このままではいけないのかも」「本当に私がやりたいことって?」などと一斉に考え始めたのが、この2年。
もっと言えば、やりたいこととか歩みたい人生とかではなく、
今、自分は何をやりたくないのか
にちゃんと向き合おうと決意したのが、今なのかもしれませんね。
こんな状況下でなんでこの仕事をやり続けているのか? とか。
こんなに時間も行動範囲も制限されているときになぜこの人と一緒にいるの? とか。
大好きな出版社を辞める決意を固めた時は、そりゃ私もいろいろ考えたのだけれど、
本当に考えを深めていったのはその後になってからのような気がします。
そう、コロナ禍に入ってから。
いろんな場面で好きに動くことができなくなってから、それでも与えていただけるお仕事をありがたいと思いつつ、
この期に及んでわざわざこれをやらなくてもいいんじゃ?
とハッとすることもたくさんありました。みなさんはいかがですか?
こんな時代に突入して以来、不本意ながら会社をクローズしたり、やりたかったことをあきらめた人も多いのかもしれません。
家族を養っていたり、たくさんのスタッフを抱えていてのっぴきならない事情がある人も多数いることでしょう。
そういった事情を鑑み、責任感のもとに無理をし続けることが求められ、そして美徳とされてきました。今も、そう。
でも、そんな意識のままに生きていれば、コロナ禍でなくても人生なんてあっという間に終わってしまう。
「人生100年時代」と言われるようになったけれど、逆に、「長くやり続ける尊さ」の価値は減ってきている気がします。
日々移りゆく自分の心の声を無視してると、あっという間に人生詰んでしまう
そう思えるようになったのが、この2年でした。
「やりたいこと」と出合うのは、実は難易度の高いことです。
毎日、アンテナをピンピンに張っていろんな人と会って情報収集して、隙あれば「私、こんなことに挑戦してみたいんです」と自己アピールもしつつ、時を待つ。それでも、出合えたらラッキーくらいな感じかと思います。
そして大切なことは、「やりたいこと」と出合えた時にすぐにガブッと飛びつけるように体(心)づくりをしておくこと。
それが、
自分がやりたくないことをちゃんと識る
ということだと思います。これはけっこう難しいもので、
例えば、
「根性ないなー」「もう辞めちゃうの?」「もったいなくない?」「もっと時間をかければいいこともあるかもよ」「辛抱も肝心」「頑張れよ!」……といった周りの“善意の言葉”に、すぐにかき消されてしまうものだからです。
何年も迷った挙句に「やっぱりやりたくない!」と気づくなんて、そんな悪習は、コロナと共に終わらせてしまいましょう。
コロナ禍は、まだしばらく続くかもしれません。
でも、考えてみて。永遠に続くってことはおそらくあり得ないのです。それだけは言える。普通に暮らしていれば、コロナ終焉の後も私たちの人生は今しばらく続くはずなんです。
そんな時になってなお、
この仕事、私に向いてるのかな。辞めようかな
などと考えているなんて、それでいいのでしょうか。
大袈裟なことを言えば来年以降、私は、今よりもさらに節操なくさまざまな仕事にチャレンジしたい。身の程知らずとか欲張りとか言われたって、もう、いいや。
いろんなことに手を出しまくって、いろんな人と会いまくって、それでも仕事についての取捨選択は、自分の心の声に従ってちゃんと遂行する。
それこそ、健全な2022年を迎えるために誓う、私の決意表明なんです。
フードトレンドのエディター・ディレクター。 「美味しいもの」の裏や周りにくっついているストーリーや“事情”を読み解き、お伝えしたいと思っています。