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知覚と感覚

先週、ギブソンの「われわれは動くために知覚するが、知覚するためにはまた、動かなければならない」という言葉をご紹介しました。今日はまず知覚という言葉の定義について考えていきます。

心理学や生理学、認知科学など分野が変わることで、知覚(perception)は、感覚(sensation)や意識(consciousness)と同じような意味で使われる場合も区別される場合もあります。脳科学辞典を見ると『知覚とは、感覚器官への物理化学刺激を通じてもたらされた情報をもとに、外界の対象の性質、形態、関係および身体内部の状態を把握するはたらきのこと』とあります。”感覚器官への物理化学刺激を通じてもたらされた情報”を聴覚を例にしてみましょう。

音波として空気などの振動が耳へ伝わり鼓膜が振動すると、振動は鼓膜の奥にある小さな骨(耳小骨)から内耳へと伝わります。内耳でこの振動が電気信号へと変換され、聴神経を伝わって脳の聴覚野へと伝わります。感覚器官(=耳)への物理刺激(=振動)を通じてもたらされた情報が聴覚の感覚情報になります。嗅覚や味覚は化学刺激であり視覚は光刺激ですが、舌や目などには感覚器官としてそれぞれの刺激を受け取るセンサー(受容器)があります。そのセンサーが物理化学刺激を検知し、感覚情報として脳へと伝えています。

知覚は、その検知した感覚情報に意味付けをする過程となります。例えば、赤くて丸い物体の視覚情報が目から入ってきた時に、丸い、赤いといった性質からリンゴであると意味付けをするのが知覚です。その知覚された情報を判断したり解釈したりする過程は認知(cognition)と呼ばれ、さらに高次の機能となります。

視覚、聴覚、触覚など全ての感覚情報を合わせると、1秒間に4千億bit、つまり50Gbも脳へ流れこんでいるそうです。しかし、その中で意識を向けられる量はたったの2000bit。全体の感覚情報の中の0.0000005%だそうです。感覚情報は取捨選択をされ、大事な情報が意識にのぼり、重要度の低い感覚情報はほぼ無意識的に処理をされています。何かに夢中になっていると周囲の音が聞こえなくなるということを経験されたことがあるでしょう。歩きスマホのように画面に夢中になっていれば、視覚以外の感覚情報に対しての注意が疎かになってしまって危ないですよね。テレビモニターに夢中になったままでの運動も歩きスマホのようであると言えます。それでは運動に必要な情報が大事な情報として扱われなくなってしまいます。

<引用>
脳科学辞典:知覚
https://doi.org/10.14931/bsd.1935 )
耳の図:"Marching to a new beat"
https://www.nature.com/articles/546S6a )

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理学療法士。パフォーマンスの向上や健康・ウェルネスのためのピラティスを提供している。 大学院博士課程で身体感覚について研究中。
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