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迷走する神経

自律神経の中でも身体を休めたり気持ちを落ち着けたりするために働く副交感神経の役目をする迷走神経という神経があります。迷走神経は脳から直接出ている末梢神経である脳神経の1つであり、脳神経の中で唯一腹部にまで到達する長い神経です。迷走神経は脳幹の延髄から起こり、咽頭や喉頭、心臓、 肺、食道、そして胃や肝臓、大腸の上部(上行結腸+横行結腸の一部)などへと枝を伸ばしています。

心臓や肺が入っている胸腔と、他の内臓が入っている腹腔は横隔膜によって分けられています。心臓から全身に血液を送る大動脈や、全身からの血液を心臓へと戻す大静脈、そして食道は横隔膜を通過します。そのため横隔膜には開口部が3つあります。背骨のすぐ近くにあるのが大動脈裂孔で、横隔膜の腱中心にあるのが大静脈孔です。

脳から内臓へと走っている迷走神経は食道と一緒に横隔膜の食道裂孔を通過します。食道裂孔を作っているのは横隔膜の中でも腰椎につながっている脚部であり、息を吸う時に横隔膜が収縮すると食道壁を締めるように作用します。また腹圧が急に高まるような状況では横隔膜が食道を圧迫して食物が逆流するのを防いでくれています。

迷走神経が食道裂孔を通っていることから、悪い姿勢で胸郭が圧迫されていたり呼吸が浅くなっていたりして横隔膜が硬くなってしまうことで、迷走神経の働きも低下してしまう可能性があります。精神的な緊張からみぞおちが固まっているケースを多く見かけるのも頷けます。みぞおちの奥を柔らかくするイメージをしながら呼吸をすると迷走神経の働きも高められるかもしれません。

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