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転職は日本経済を救う03 1990年8月 相続 株暴落 日経平均3万円

2021年2月、日経平均、30年半ぶりの3万円台!
というニュースが飛び交った。
30年半前、1990年8月2日だ。
この日私は証券会社にいた。
父の残した株式の全容を把握するために。
電光掲示板を見て、日経平均が3万円を割った!
というのを目の当たりにしていた。

【相続価額】

相続というのは、死亡した時点の評価額で金額を決める。
株式の場合、死亡月を含む前3か月の一番低い金額で見る。
1990年2月の前3か月。1月と1989年12月。
日経平均が38957円の史上最高値をつけたのが12月の大納会。
要するに一番株価が高い3か月が父の株価を決めるのだ。
1,2月は多少下がったとはいえかなり高値。
8月に日経平均は3万円と4分の1価値を失なったのだ。

【信用取引】

土地を担保に金を借り株の資金にしているということは書いたが、さらに悪いことに、父は所有株をもとに信用取引もしていたのだ。
信用取引とは、売りと買いがある。
最近よく聞くのは空売り。今後株が下がると想定して、今所有している別の株を担保に株を借り、すぐ売り、期日になったら市場から安くなった株を買って、利ザヤを取るというものだ。
バブルのころは逆で、持ち金はないがこの先株が上がるから、信用で株を買って、期日になったら高値で売って、サヤを取れた。
ところがバブルがはじければ当然株価は下がり、信用買いより安い価格で売り、損を確定するか、信用買いした価格で株を買い、再度上がるのを待つかしなくてはいけない。
あまりうまい説明ではないが、ご勘弁を。
とにかくバブルで評価額が上がった土地のそれなりの金額の借金で買った株を担保に買った株が下がる、という、借金はそのままだが資産は二重に下がる、という状態になっていることを知ったのだ。
当の父はそんなことは知らぬままあの世に行ってしまい、残された母と子、私が、はじめてその現実にぶち当たったのだ。
株などやったこともないのに。
要するにバブルに踊らされた父の尻拭いをやらざるを得ない状況になったのだ。
ただ、まだこのころは、いずれまた株は上がるだろう、というムードが残っていた。
母は損を確定せず、信用買いの株を買った。バブルのピークの値段で。

【相続税延納】

相続税は私一人にかかるように家族で土地、株式、借金を配分した。
私が相続した株の評価額と相続税がほぼ一緒だった。
つまり、株価が戻れば税金は返せる状態にした。
そして延納した。株が上がると信じて。
1990年10月のことだった。
これがとんでもない判断ミス、それも二重の意味でのミスだったことは、まだ29歳の私は、この段階では知るすべもなかった。

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