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『おはようございます』が言えた日

約1週間前のとある日、小学一年生の娘にとって、
その日は嬉しい記念日になった。

他の子にとっては、すごく些細なことかもしれないけど、
娘にとっては、仕事帰りの私が玄関を開けた瞬間に、大興奮で走ってきて報告するほどの出来事だった。

その出来事を記録に残したくて、
あれからしばらくたった今、こうして書いている。



娘は、一年生になって、ものすごく悩んでいることがあった。


それは、朝、教室に入るときに、大きな声で
『おはようございます』と挨拶をして入る決まりがあるのだけど、


それが恥ずかしくて、勇気が出ないから、
いつも挨拶をせずに教室に入ってしまうことが、娘の悩みだった。


これが結構、人見知りで内弁慶の娘にとって、
なかなかハードルが高い。


教室の前のドアから入るので、入った瞬間、席についているみんなの視線が自分に集まる!!

このみんなから見られる感覚が、娘にとっては辛い様子。

しかも、自分から言うと、みんなから返事が返ってくるとゆう決まりらしく、
自分から言えない子達は、シーンとして変な空気が流れるようだ。(娘談)

私達が子どもの時代には、学校についたら
みんなが思い思いに散らばって遊んでいたし、

目が合った子には『おはよー』とは言ったかもしれないけど、今の子達は、そんなフランクに登校できない硬い雰囲気なのね…と
若干不憫に思ったりもする。

娘自身、
いつも教室に入る前は、何度も言おうと思って
勇気を振り絞るけど、
教室に入る瞬間には、声が出せない。


そのことを気にしていて、夜寝る前には、
『お母さん、明日は挨拶できるかな?』
『挨拶するにはどーしたらいい??』

と、毎晩何度も念仏のように唱えていた。


私は、毎晩聞かれる度に、色々な言葉をかけてみた。

『あおちゃんが挨拶したいと思うまで、無理しなくていいんじゃない?

『勇気が出るまで、言うか言わないか、自分で決めていいよ』

『お友達と一緒に入ってみたら?』

『まずは近くに座ってる子に向かって言ってみたら?』

毎晩、何か娘にヒットする言葉はないかと、
思いつくアドバイスを色々捻り出してみた。

我ながら、一貫性のない声かけだなぁと改めて見返している。


ただ、一つだけ、この声かけだけは、娘にしっくり来ているなぁと思うものがあった。


それは、

『あおちゃんは、本当は、みんなに挨拶がしたいって思ってるんだね』

だった。


この言葉を言ってやると、娘は少し安心したような表情をした。


そうだよね、だって、こんなに言えないことで
悩んでるんだから、
本当は、みんなに『おはよー!』って言いたいんだよね。

と、私自身も、なんだか妙に納得した。

そのことがわかって以来、娘には、

『おはようって言いたいって思ってるんだから、大丈夫だよ。勇気が出たらきっと言える日が来るよ』
と伝えるようにした。


それからしばらく、やっぱり言えなかったと落ち込む日は続いた。


それがある日、ついに!

私が玄関のドアを開けた瞬間、猛ダッシュで
『お母さん!!今日、あおちゃん、みんなにおはようございますって言えたよーっ!!』

と、満面の笑みで報告しながら迎えてくれた。

それはそれは自信に満ちた顔で、小学校に入学してから1番嬉しそうな表情だった。


娘に話を聞くと、先に教室に入ったお友達が
すごく大きな声で挨拶したのを見て、

自分も頑張ろうって思えたと。


『あおちゃん、すごく大きな声で言ったんよ。ちょっと大きすぎたかな。』

と、話してくれた。


その日の夜は、
『お母さん、もうおはようございますで悩まなくていいから嬉しいね』と言って、眠りについた。

 


すごく可愛い…笑 


子どもって、本当に純粋だ。


きっと毎日毎日、そのことが気になっていたんだね。


頑張って言えて良かった。


できた体験が積めて良かった。



ほかの子に比べたら、そんなに気にしなくてもいいことに気を揉みすい性格の娘。


そんな娘を見て、私自身、モヤモヤしてしまうことも多いけれど、

その分、娘なりに少しずつ自分で解決していく過程は、きっと娘のためになっている。


これからも、どんな小さなことも、
自分のペースや気持ちを大事にしてほしい。


私もその度に、娘の気持ちがふっとゆるんで、楽になるような言葉を送れたらいいな。


あの日以来、おはようございます の話は全く出なくなった。

娘は、『一回言えたから、もう毎日言えるんだよー。そりゃーそうでしょ、お母さん』

と誇らしげに上から目線で話してくれる娘が、

今日も愛おしい。

#子育て #小学一年生 #日記 #親子 #母娘





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