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理想の仲良し家族ではないけれど。


わたしとわたしの家族の関係は、いつからか、ちょっとだけ捻れてしまった。
たぶん、弟に反抗期が来た時くらいから。

弟が意味もなくキレ出して、父親が支離滅裂な暴言を吐いたり、手を出したりして、母親が泣いている。
みたいな、地獄の期間がまあまあ長いことあって、
その辺りから、家族の前であんまり感情を出せなくなってしまった。

もう10年以上、家族の前で泣いてない。
家族旅行に行って美味しいものを食べたりしても、なんか素直にはしゃげない。
そして最も問題なのが、家族に「ありがとう」と言えない。
友達には言いまくってるのだが、家族には本当に言えなくて、いつも「うん」とか言っちゃう。
もう22歳で大人なのに、しょうもなくて情けない。

そんな捻れた家族だけど、こうして22年間を振り返ってみると、「この家に生まれてこなきゃ良かった」とは思わない。

なんか分からないけど、
わたしは母親の事が大好きだし、
弟とは将来サシで飲みに行きたいと思うし、
父親はまあ大変な病気とかはしないでほしいと思う。

わたしたちはまだ家族になっている途中なのかもしれない。

明日、大学を卒業する。
両親はとんでもなく不器用で、甘々で、怒られた記憶がほぼない。「教え」みたいなものを乞うた記憶もない。そのせいで、昔は、社会の常識とか、人に対してやった方がいいこと、やっちゃいけないこと、言葉遣い、とかを周りの友達から吸収するのに苦労した。

そんな甘々な両親だから、今まで大体のことは自分で考えて自分で決めてきた、と思い上がっていたけれど、
それができたのも、
甘々な代わりにわたしの行動を制限せず、わたしの突拍子もない行動を面白がってくれて、お金を出してくれて、それでいて辞める、とか言い出しても味方でいてくれた親のお陰かもしれない。

明日、大学を卒業する。
「育ててくれてありがとう」なんてセリフはどうせ言えない。
育ててくれたお母さんに花束、なんて素敵なことも残念ながら、絶対にできない。
どうせ何でもないような顔をして、「今日はご飯いらない」だけ言い残して、「行ってきます」すら言えずに家を出るんだろう。

だけど、せめて、
母親と一緒に選んだ袴を着て、綺麗に化粧も髪の毛もセットしてもらって、大好きな友達と沢山写真を撮って、とびきりの一枚を送ろう。
誰よりも最初に。

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