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ロドリゲス・・・一人夏休み

スペインの学校の夏休みは、ヨーロッパ各国と比較しても最長ではないだろうか。
カタルーニャ州の学校は(スペイン各州で異なるカレンダー)、2023年の場合6月22日が夏休み前の最後の登校日、日本でいう終業式で、9月6日から新学年がはじまる。高校および専門学校は12日から。これでも初中等教育は本来12日以降にはじまるところを1週間繰り上げたのだ。長すぎでしょ。対して大人の夏バカンスは2−3週間ほど。一年で30日と決められていて、これをクリスマスと夏と調整するため夏は長くても3週間になる。

夏季休暇が異常長い理由の一つは、やはり気候だろう。先週出張で出かけたスペイン北西部の盆地では、日中の気温が40度を超えた。南部のアンダルシアは言わずもがな。昼夜の生活が逆転するらしい。

学年が変わる時期でタイミングがいいことに加え、夏とにかく暑くて勉強にならない。6月は短縮授業にする学校も多いので、給食を食べて午後3時に帰宅する時など子供達は日陰が多いルートを選んで帰る。

それからかつては専業主婦が多かったので、奥様が子供を連れて夏休みを実家で丸々過ごすことができたのだ。
1976年にフランコ独裁政権が終わるまで、女性の学業や社会の進出はそこまで推奨されていなかった。そのため女性は比較的若く結婚して早く子供を産み、専業主婦の道を歩む人が多かった。
夫は仕事のために残り、奥さんは子連れで実家に帰る。
”夏限定で単身赴任”になる男達のことを。スペイン語では”ロドリゲス状態”という。ロドリゲスはスペインでよく苗字だ。日本でいうなら山田さんとか。
ロドリゲス状態の男達は、自然と仕事帰りに飲みに行ったり外食することが多くなる。友達にも数人いるけれど、その気楽なこと。仕事帰りに(スポーツして)、そのまま飲んで帰る。何時に帰っても家人に怒られない。
友人らはそうではないけれど、”単身赴任者”たちは浮気してもわからない。名前を聞かれ、本名を明かしたくないのでよくある苗字のロドリゲスを名乗る。これが”ロドリゲス状態”の語源だ。調子いいな。

現在では女性の社会進出も進み、家庭の外で働く女性が殆どだ。でないと物価に対して基本給が異常に安いため、一人のお給料で家庭を持つのが難しい。なので、ロドリゲスもそろそろ希少になってきた。

通常の夏休みの過ごし方。
共働きの夫婦の場合、”夏休みをテトリスの方に埋める”ケース。子供達は7月はサマースクールに通う。そして、8月の1週目から片方の休暇が始まる。その1−2週間後からパートナーの休暇開始。そして9月中旬まで乗り切るのだ。
他に多いのが”子供を実家に預ける”。サマースクールの費用も結構高いので、できることなら節約したい。
他に”片方が休職する”というケースもあった。

離婚の際に養育権を共有にしたので、夏休みも半分ずつ。半分は子供と一緒で、残りの半分は仕事(または一人でホリデー)。

私は自営業でどこでも仕事ができるので、去年は7月は仕事をし、8月は子連れで帰国した。日本にいてもメールやWhatsAppで生産家と連絡が取れるので支障なし。今年は子供と一緒だったけれど7月は仕事。8月は村に残ってのんびり過ごすことにした。人生初のロドリゲスだ。
友達と出掛けて翌朝ゆっくり起きられる。本も読み放題で、食事の支度もしなくていい。何これ、天国か。
収穫前に数件の生産者とあったり、メールの確認は欠かさなかったけれど、取引先も全て8月はバカンスなので全く忙しくない。いいじゃん、ロドリゲス。
長女が生まれて17年間こんなに長期に一人でいることがなかったのでかなり感激した。ワンオペ4人の子育てからだからギャップが大きいし。

8月31日に子供達が帰ってくるので、もう少しのんびりさせてもらおう。





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