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寡黙な父

今日は父の日なんで、父の日のチラシを制作した時の事をまとめてみました。

私の父は寡黙でボーっとしている事が多い人です。母と出会った頃からきっとボーっとしていたんでしょうね、父の名前は"まさひろ"というのですが母は父のことを「まーボー」というあだ名で呼びます。
まさひろがボーっとしてるから「まーボー」
わりと良いあだ名を付けたなって思います。

そんないつもボーっとしている父ですが、私が幼い頃は自転車の前カゴに私を乗せて(危ない)色んな公園に連れて行ってくれました。
公園に着くまで私に話しかけながら…ということはなく2人して風を感じながら公園に到着し私が疲れるまで走り回った後に駄菓子屋さんに寄って帰る。というのが日曜日の日課でした。

機嫌が良いと徳永英明さんのレイニーブルーを歌っていた父。その歌声が音痴だったことは小学生に入ってから知りました。
音楽番組で徳永英明さんがレイニーブルーを歌ってるところを見て「あれ?」っとなった事を覚えています。
遺伝なのか私も父の音痴を引き継ぎ、友達とカラオケに行った際に「お経やん」と言われた過去があります。

父と私の共通点は音痴の他に
・甘党(特にチョコレートが好き)
・おでんが好き(母は苦手)
・目的はなくても外に出かける事が好き
・照れた時、ニヤニヤしながら顔を背ける
・良い事があると口笛を吹く
・言葉が足りない事が多い
など血のつながりを感じるものがあります。

今でこそ父との共通点を他にも沢山見つけられていますが、中学〜大学生くらいまで寡黙な父の事が分からないと思っていました。
何が好きなのか、何を楽しいと思うのか、表情にあまり出ないので分からなかったんです。

高校生の時、友人に連れられて父の日のプレゼントを買いに行きました。
正直、私は乗り気じゃなく何をプレゼントすれば喜んでくれるかも分からないのに選びようが…と思いながら友人と一緒にネクタイを購入しました。
事前にネットで調べたネクタイの相場よりはるかに安い金額だったと思います。

いつも父が付けているネクタイと出来るだけ似た様な柄を選びました。
父にプレゼントすると「ありがとう」と言ってニヤっとしながら顔を背けていました。
ですが数時間後「父の日はもうしないで良い」と言われました。

父が持っているネクタイより安物だしきっと気に入らなかったんだろうな…と捉えていました。
"選んだ時間も無駄だった、もう二度とプレゼントなんかしない"という苛立ちと共に。

それ以来、父の日に何かを贈るということはしなくなりました。

父の見え方が変わったのは社会人になってからでした。
・アルバイトと社会人の違い…。
・5日働く事の辛さ。
・久しぶりに叱られる感覚。
・ミスをしてしまった時の先輩の冷たい視線。

土日はストレス発散の為に朝から夜まで遊び現実逃避。
自分の為に時間を費やす土日。


父は私より早く家を出て、帰宅するのは私より遅いです。
休みも少なく、日曜日が唯一の休みの様なものでした。
相当疲れていたはずなのに、朝7時ごろから外に連れ出せと喚く私を自転車に乗せて色んな公園に連れて行ってくれました。
父は言葉数は少ない分、全て行動で示してくれていました。

幼い頃に私が描いた父の絵を父はクローゼットの扉の内側に貼っています。
高校生の頃にプレゼントしたネクタイも捨てずに持っています。

何故か大量にあったラムレーズン味のアイス。
(父が好きな味=私も好きだと思ったみたいでストックしてた事を後々知りました。)

私より私の進路を心配して、私に合いそうな大学を私抜きで説明会に参加していました。(なんでやねん)

言葉足らずな父。
「もう父の日はいらない」という言葉は、自分の好きなことの為にお金を使いなさい。父に使わなくて良い。という意味だったということ。

そんな事を思い出しながら制作した父の日のチラシがこちら。

・チョコレートをネクタイの形に
・背景は色んな形と色の図形を重ねて、父の分かりにくい表情を表現。よーく見ると違いが分かります。
・言葉足らずなのは私も同じだから、あえて
「いつもありがとう」という言葉はなしにしました。

やっと気づいた父の優しさ。
気づいてからはいらないと言われた父の日も
"私の好きなことの為に"父の日のプレゼントを贈っています。


チラシやポスターをご依頼いただける際は、
あなたが想う伝えたいと思ったきっかけを教えてください。
そこにあなたらしさが隠れていると思うから。


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