見出し画像

サピエンス全史(下)を読んで

先日、サピエンス全史(上)を読んでという記事をnoteに投稿しましたが、続編である下巻も読み終えたので感想を残しておきたいと思います。
ちなみに上巻の記事はこちら

下巻はホモサピエンスが生み出した大きな革命の1つ、「科学革命」を中心に話が展開していきます。この科学革命を後押ししたのは「資本主義」と「帝国主義」であると筆者は述べています。
経済と政治の世界が科学に投資する。そして得られた科学技術によって経済と政治が新たな力を持つ。そして得た資金をさらに科学に投資するというループです。
なるほど。科学と経済と政治は切り離せない関係だということを改めて認識できたように思います。

そして筆者は私達に問いかけます。
「さて、私達は幸せになりましたか?」と。

生物学、歴史学、人類学、心理学、経済学など様々な視点でホモサピエンスの歩みについて振り返ったところで、哲学的な視点に話が展開していくところが面白いなと思いました。

人類の数は増え、物質的には豊かになりました。争いは完全になくなってはいませんが戦争は減り、飢餓も減り、子供の死亡率もぐっと下がりました。
それでも私達、個人個人は幸せになったのでしょうか?

ぐぬぬ・・・という感じです。
物質的に満たされること、豊かになること=幸せではないことを私達はもう既に気づき始めています。

そもそも幸せとは何なのかについても筆者は迫ります。
お金があれば幸せ?家族やパートナーといったコミュニティがあれば幸せ?健康であれば幸せ?どれもしっくりきません。
科学的な視点ではどうでしょうか。お金や健康などの外的要因はあまり関係なく、脳や神経からの伝達物質によって人間は幸福を感じる。じゃあその伝達物質さえ感じることが出来れば幸せなのか。いや、そうことでもないですよね…。

そして、筆者はホモサピエンスの未来について思いを馳せます。
人類は既に生命工学、サイボーグ工学、非有機的生命工学といった技術で人類以上のものを生み出そうとしています。
サピエンスは唯一の人類ではなくなるかもしれない。
そんな流れの中、私達は何を望みたいのか?考え直さなくてはならないとこの本をしめています。

この壮大で長い話の最後が「人類にとって幸せとは」に着地するとは思わず、いい意味で裏切られた気持ちでした。

幸せとは?という話のなかで仏教の考え方が紹介されます。
そもそも快とか不快とか(幸とか不幸とか)追い求めることで人間は苦しむので、それらを追い求めないことだというのがブッダの考えです。

私はこの考えにとても興味があります。
昔読んだ「反応しない練習」にもこのブッダの考えについての話が多く書かれていて、今まで触れたこともない考えに私は大きな衝撃を受けました。
私は周囲に振り回されて、それに影響を受けている自分にも振り回されている気がしてしんどい…と思っていたので、この本を読んでブッダのようになりたい!と思いました(笑)
まぁしかし、30年生きてきて凝り固まった考えを変えることはなかなか難しく、瞑想すら集中できなくて苦労しています(笑)

まぁでも幸せが簡単に手に入れられるわけないですもんね。
いや、ブッダに言わせれば幸せを手に入れようとすることがもう既に間違ってるのか…。

まぁいずれにせよ、この本を読んで、今までにはなかった視点や考えに触れることが出来て面白かったです。
もちろんこの本に書いていることがすべて正解ではないと思うし、実際に偏った意見だという批判もあるようです。
それでもこれまでの固定観念(この本でいうところのフィクション?)にとらわれず、まったく異なった考えや視点もあるのかということが勉強になったし面白いなと思いました。
それを信じる信じないはさておき、色んな考えや視点を知ることは大事なことだと思うので。

ということでまとまりのない雑多な感想でした!


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?