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妄想のカケラ【好き嫌いの描き方】

#94 好き嫌いの描き方

好き嫌いをはっきりとしたコントラストで描いていたら、いつの間にかひとりぼっちになっていました。

どうやらこの世界の多くの人は好き嫌いをふんわりとしたグラデーションで描いているらしいのです。

しかもそのグラデーションのふんわり感は人それぞれで、もしかしたら、そういうのを個々の価値観と言っているのかもしれません

そして、そういうのを
「お互い認め合いましょうね」
というのが最近の流行らしいのに
普通のグラデーションすら描けない私は認め合う仲間には入れてもらえません。

ある日、ひとりぼっちに耐えかねて
みんなが描いているようなグラデーションを
描く練習をした方が良いかもしれないと筆をとめて考えていました。

しかし、私は自分を仲間はずれにするふんわりグラデーションがどうにも苦手で
実は見ているだけでイライラするのです。

すると、
「君、なんかいいね!」
と私のイイネボタンをポチっと
通りすがりに押していった人がいました。

はじめてのことで驚きましたが
どうやら私はひとりではなかったようで
このままでもいいのだとホッとしました。

それから、
そんな通りすがりのイイネが少しずつ増えて小さなコミュニティができました。
そこでは色んな好き嫌いの描き方あって
わくわくする楽しい毎日が続いています。

すると苦手だったふんわりグラデーションもなかなかに素敵だなと思えるようになっていました。

だけど、私はこれからもはっきりとした美しいコントラストで描き続けていきたい....

ひと息つくと
私はまた筆をとり描き始めました。

<おしまい>

書く習慣アプリのお題「好き嫌い」から #ショートショート

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