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透き通る アオゾラ

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2015〜連載していた、「週刊アオゾラ」をまとめました。現在はマイペースに続きを書いています。
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2015年1月の記事一覧

第5話「ピンクライト」

第5話「ピンクライト」

   ソラとトオルは話し込んで、いつの間にか7時を回っていた。 

「やば、もう7時じゃん。早く帰んないとスナに怒られる。」 

「スナ?」

「母さんだよ。夕飯の時間に遅れるとすっげー怒るんだ。じゃあまた明日なトール」

 ソラはトオルの返事も待たず慌てて行ってしまった。地下では24時間照明が点灯しているので時計が無いと時間の感覚がなくなってしまう。ソラはまた走った。 

 「今日は走ってばっか

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第4話「青い果実」

 勉強が一段落してミナミとミノルは図書館の資料室にいた。鳥類図鑑を広げて、目をキラキラさせているミノルにミナミはつまらなそうに話しかける。

「またそんな古代生物のこと調べてるの?」

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第3話 「透明な決意」

第3話 「透明な決意」

    雨の試運転を見にやってきたソラはある少女と出会う。霧野真夜と名乗った少女はいったい何者なのか・・・ソラはそんなことはどうでもよかった。ただ、ソラには分かっていた。マヤが同じ夢を持っている仲間だということが。マヤと出会って、ソラは忘れていた大事な事を思い出した。トオルもまた同じ夢を持つ仲間だということをようやく思い出した。 

「そっか。そうだったんだ。そうだよな。」

  勝手に納得して1

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第2話 「真夜中の空」

第2話 「真夜中の空」

    人類が地下に移住したのは2000年6月。移住が決定してから、日本は今までに無い天変地異に見舞われた。台風、津波、洪水、地震。そして1億4千万人だった人口はたった3千万人にまで減った。亡くなった人々の事を思うと生き残った者たちは素直に喜べなかった。地下に移住した者たちは誓った。地上に未練を持たないと。二度と日の目を見ることは許されないのだと。 そして2001年6月、地下帝国日本は新たな法を施

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第1話 「アオゾラ」

第1話 「アオゾラ」

 「雨が降るまであと10秒」

少年は雨が降る時間を正確に知っていた。

 「5、4、3、2、1_________」

少年がカウントダウンをし終えると同時に激しい雨が降り始めた。

                ***

 1991年、砂漠化の影響を受けている土地は地球の陸地面積の4分の1に当たる36億ヘクタールに達した。これは乾燥地域、半乾燥地域などにおける耕作可能面積の7割に相当する。そし

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