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私の英語多読遍歴75: The Good Shufu

渡辺由佳里さんの「ベストセラーで読み解く現代アメリカ」に載っていて面白そうだなと思った本。小説ではなく、著者の実体験です。

ハイレベルな教育を受け自立して生きることに誇りを持つアメリカ人女性が、なぜか日本で語学研修の仕事をすることになり、そこで生徒の一人と恋に落ちてしまいます。言葉の壁も慣習の壁も愛の力で乗り越え、晴れて結婚した彼女は日本でフリーランスのライターとして働きながら、「主婦」となります。

「アメリカ人女性が大阪で主婦になる話」というざっくりした理解で読み始めたのでだいぶ想像と違いました。私の中の「大阪の主婦」はさすべえを装備したママチャリに乗ってブイブイ言わせるおかんなのですが、(誤解を恐れずに言えば私は大阪出身です)別にそういうマンガ的な話ではなかったです。

日本語がまったくわからない彼女は、日本語アクセントにも大きな違和感を覚えたようで、そのあたりいち英語学習者としてはなかなか身につまされました。I love you が I rub you に聞こえるとか、あーうんなるほどねって感じ。

he tried telling me about a giant crab he’d seen in Thailand, and I thought he was talking about a club, some kind of disco.(中略)“Wait . . . wait,” I stopped him, “are we talking about a club?” “Ya, ya, crub,” Toru insisted, and it went back and forth until he mimed pincers and I realized we were discussing a crustacean. (本編より引用)

この引用だとカニ(crab)とクラブ(club)がこんがらかってますね。フォニックスは大事ですね。

夫となった人とは普段英語で会話しているようですが、日本で暮らすのだからと日本語を習いに行ったりします。そこでもカルチャーギャップに何度も出くわし、私たち日本人があたりまえに思っていることはあたりまえではないということをあらためて考えさせてくれました。

ドタバタ奮闘記といったものではなく、異邦人として日本で暮らす困難に加え、女性としての人生のターニングポイントにも何度も直面して、それを悩みながら乗り越えていく話です。なので特に同じ年代の人なら共感するところが多いのではないかと思います。

日米異文化摩擦のエピソードも面白かったです。友達と会うのにパートナーを連れていくかどうか?お手伝いさんとして他人を家に入れるのに抵抗があるのはなぜ?など言われてみれば私もそうだなあと思うところ多々あり…

英語はちょいちょいわからない単語があったり言い回しがぼんやりとしか理解できないところはあったものの、十分読みやすかったです。なにしろ舞台が日本(しかも大阪)で題材が主婦(かつ同じ年頃の女性)なので共通項が多くとっつきやすい上に、梅田の地下のモールとか、大阪城公園とか、「あーあそこね」ってビジュアルがくっきりと目に浮かぶので、かなり理解を助けてくれたと思います。

途中退屈したり義務感だけで読み進めるなどなく楽しく最後まで読めました。異文化側から見た日本、カルチャーギャップなどに興味がある人にはおすすめです。

以上「The Good Shufu」でした。

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