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私の英語多読遍歴103:The Girls I've Been

洋書ファンクラブのレビューで面白そうだと思っていたらセールに。

元カレと現恋人と一緒に銀行へ行ったNoraは銀行強盗に遭遇する。彼女の過去は詐欺師の娘。かつて母から様々なテクニックを教え込まれ、ターゲットごとに異なるアイデンティティを与えられて生きてきた。Noraは強盗たちから逃げるために昔の経験を総動員するが、それは同時に過去のトラウマを思い出すことでもあった。

一見普通の子が実は特殊能力があって・・というプリキュア的な爽快な話かと思いきや、銀行強盗からの脱出劇の裏にあるのは虐待サバイバーのトラウマというなかなかに重い話でした。

主人公たちがその能力や知識を使って絶体絶命の状態から逆転するところは確かに気持ち良いのですが、その合間に出てくる過去の話が結構辛い。直接的な描写はほとんどありませんが、ほのめかしている内容はヘビーです。(巻末に虐待相談機関が載っていました)

ストーリーは現在進行中の銀行強盗からの脱出ミッションと、Noraの過去のいくつものアイデンティティのストーリーが交互に語られます。前者はハラハラドキドキ、後者はミステリアスで暗く、それぞれ違う雰囲気が味わえます。

YAなので比較的英語は読みやすいと思いましたが、それでも状況がいまいち理解しづらい場面もありました。そういうところって、とまらずそのまま読んでいるとあとで符牒が合うこともけっこうあります。後半の情報で足らないところが補えて意味がわかったり。(わからないままのところもありますが…)

大体私は解像度低めでも気にせず読み進めてしまうので、私の「読みやすい」はかなりおおざっぱと解釈していただきたい。。結構想像力で補ってわかった気になっているところも多いです。

単純な痛快逆転ストーリーではないところがこの作品の面白いところだと思います。一見強く見える主人公は一方で恐怖や無力感とも戦っています。そして自分をかつて支配し虐待してきた親を逆に欺くだけの成長を遂げても、まだどこかで親は自分を愛して守ってくれるはずとわずかな期待をしてしまう、その葛藤がまさにティーンエイジャーという感じでよかったです。

どうやらNetflixで映像化されるらしいのでそれも楽しみ。(変なアレンジがないことを祈る)

以上「The Girls I've Been」でした。

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