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私の英語多読遍歴90:Fahrenheit 451

レイ・ブラッドベリの古典SFです。ここのところいろいろと派手な炎上が目につくなか、そういえばウィッシュリストに入っていたなと思い出し読みました。

華氏451度とは、紙が燃える温度。かつて炎を消すのが仕事だったFiremanは、本が禁止されたこの世界では本を焼却するというのが仕事になっている。そのFiremanの一人である主人公は、ある日不思議な少女と出会ったことから自分の仕事に疑問を持ち始め、本に強く惹かれるようになり、ついには焼却現場からこっそりと本を持ち帰ってしまい…。

古い小説にもかかわらず、現代になにか通じるところがありところどころぞっとしました。この世界で本が禁止された理由は、「人々が幸せになるため」。

‘Coloured people don’t like Little Black Sambo. Burn it. White people don’t feel good about Uncle Tom’s Cabin. Burn it. Someone’s written a book on tobacco and cancer of the lungs? The cigarette people are weeping? Burn the book.
有色人種は「ちびくろサンボ」が気に入らない。なら燃やせ。白人は「アンクルトムの小屋」にいい気持ちはしない。なら燃やせ。誰かがタバコと肺がんについて書いた?喫煙者が泣いている?その本を燃やせ。(本文より)

こうしてありとあらゆる本が燃やされ、結果的に残ったのは「ポルノとコミック」のみ。政府が禁止したわけではなく、誰かが不愉快になるものを燃やしていった結果がこれ。そしてすべては簡略化されダイジェストのダイジェストのダイジェストができ、それを読むだけで知識を得た気になる。人々は考えることをやめ、常に刺激だけを求めて生きている。家にはTVプログラムを移す巨大な壁があり、個人向けにカスタマイズされた「ファミリー」が面白おかしい毎日を送っていたり、耳につけた貝殻のような装置が常に何かを放送しているという、今のインターネット時代を予見したかのような世界。

なんとなく、まとめだけで知った気になる今の傾向や、目の前の人よりネットのつながりに傾倒する人たちが思い浮かびます。そして本質を見ることとも自分で考えることもせず脊髄反射で人を批判し叩きのめす人たちも。

本を読む読まないという話ではないのですが、うわべだけをさらって分かった気になる危険、本当に大事なのは自分自身で考えることというメッセージが込められている気がします。雰囲気はSFですが、内容は哲学的でもあるなと思いました。

英語はすらすら読める部分とイマイチ意味がつかめないところが混在していた印象です。大体の話はわかりますが、解像度は低め。主人公目線で話しているところは特に、モノローグなのか回想なのかそれとも今起きていることなのか?と戻って確認しないとわからない部分も結構ありました。SF小説は設定がなじみがなくて具体的に想像できないというのもあるかも。それほど長くなく、古さは感じさせないので今読んでも十分面白いと思います。

以上、「Fahrenheit 451」でした。

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