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服=買うもの、と思って蒐集し続けた人の末路

さて、昨日は浪費と投資の違いに気づいたと書きました。

おさらいですが、要するに私が金遣いの
猛者になってしまっているのは、

「新しく獲得すること」自体に価値を
感じているから、

と気がつきました。


スキルとかキャリアについて考えるのはややこしいので、ここではまず、
わかりやすい洋服について考察したいと思います。

私にとって洋服とは、何なのか。


知人は、服を買う時に必ず、洗濯タグを見て自宅で洗えるかどうかで、購入を決めると言っていました。洗えなければ買わないという意思の固さ。

機能重視派ですね。

私は洗えるか確認しなくても洗濯機にぶち込むか、
要アイロン系はクリーニングに出すので、
機能に対するプライオリティは低めです。

面倒くさがりなせいで、さらに面倒くさい展開になったこともあります。

一回しか着てない薄手のニットをドラム式洗濯機へ投入したところ、
当たり前ですが縮み上がってしまいました。

乾燥機の性能をナメていたんです……。

カラカラに乾かされたニットは、
まるで西陣織のようにくしゅくしゅに。
変わり果てた姿を見て顔面蒼白したのは、
言うまでもありません。

高級クリーニングでおなじみの白洋舎に駆け込み、

「まだ一回じがぎでないんでずゥゥ泣」

と半泣きというか、ほぼ泣きながら己の無知と雑さを棚に上げて懇願する愚行を働き、
祈るように仕上がりを待つと、
美しいニットとしてREBORNしてました。

そう、生まれ変わったのです。
ニット新章、スタートといわんばかりの
張り感がありました。

私の顔のシワも伸ばしてください、と
言いたくなる神技を見せつけられました。

この一件から、
ニットは手に余ると、
クローゼットからはニットを締め出しました。

でも本当の理由は、
モンクレールのダウンをゲットしたから、
ニットが不要になっただけなのですが。

さて、話が逸れましたが、
買うわりには、持ち物への配慮が足りないのです。


なぜか手持ちの服は、
クローゼットに収納したとたん、
意識から離れてしまい、
「持ってない」という認識をするという、
謎の意識変換が起きるのです。
そのため、ある意味では、物持ちがよいわけです。

持っているのに、持っていないと思い込んでいる。

意味がわからないですよね。
私もわかりません。

さらに言うと、それにも気づいてなかったのです。

持ってるのに持ってないと思っちゃうことに気づいてないことに気づいた。

何を言ってるんだ?という東大話法的な文章ですが、これこそ、現実を直視した歴史的瞬間なのであります。

このことに気がついてから、
私はクローゼットの中の服を改めて観察しました。

私にとって洋服は、

着るものではなく、

買うもの、

だったのです。

他にも、

着るのではなく、

眺めるもの、

でもありました。


ファッションデザイナーでも、
インフルエンサーでも、
インスタにアップするわけでも、
ファッション番長でも、
ファッションコラムニストでも、
POPEYEの編集者でも、
スタイリストでも、
オシャレ芸能人でも、

ないのに、服=着ないで集めるもの、と
いつの間にか概念が出来上がっていたわけです。

蒐集した服に袖を通すのは、
私ではなく、
脳内に棲息している

他人(ファッション誌のモデルとか、
インフルエンサーとか)だったのです。


愕然としました。


えっと、私は誰のために服を買ってんだ?


という当たり前の疑問が浮かんできました。


誰かにオシャ子だと思われたくて買ってるの?

てか、どこに着て行くの?

てか、365日コーデが可能なくらい服あるのに、
お前は着ないの?

脳内会話が聞こえてきます。


クローゼットを観察し、
こんまり式に大量の服をぜんぶ出し、
持ち服を把握しました。


そこでわかったのは、私がオシャレになれない
唯一の理由にして、最大の欠点でした。

そう、、、、


ぜんぶ、主役の服しかない!

ということ。


デザイン性が高いアイテムとか、
奇抜な色が好きなので、
無地とか、グレーとかベージュという、
世間ではオシャレ上級者のカラーとして扱われてる色を持ってないのです。

200着くらい服があるのにベージュに至っては、
1着もない。

なぜなら、こういう名脇役を

地味

と決め込んでスルーしてたからなんです。

アニメでいったら、全員アンパンマン、とか
全員ドラえもん、みたいなもんです。
もしくは、おそ松くんしか出てこないおそ松くん。
はたまた、全員悪人のアウトレイジ……。


私は考えを改めることにしました。

そして、持ってる服にそれらの地味色を投入したところ、なんと!!!


私、服、持ってるわ!!!


と思えたのです。


ない、ない、と思い込んでましたが、
アラフォーにしてやっと、
ゴールに辿り着いたのです。


そうか、全員悪人じゃダメなんだな。

ワードローブにも多様性を取り入れることで、
持ってる屍服を甦らせることに成功したのです。


色の組み合わせだけの問題だったのか、と
浪費を繰り広げてやっと着地できました。


もしかして、スキルにも同じことが言えるのでは?

という思いに駆られました。


スキルがない、ない

獲得してない、何かがある

違うキャリアがあるんじゃないか


と「ない」を起点に見ているだけなのでは?


もしくは、

自分ではない別の人の人生を見てるのでは?

主役級のスキルではなく、
バイプレイヤー的なスキルや視点を足す、
という考え方もあるのでは?

ということも考えられそうです。


今必要なのは、
新しく獲得することよりも、
獲得したものをどう活かすのかということかもしれません。



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