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不良たちの夜

宇宙から自分たちの事、見つめられない限り、この世界に正しさなんてものはない。

正義っぽいもの。
強者っぽいもの。
聖人ぶってる人。

アンパンマンみたいなものになろうって、たぶん最初は思っていた。結局、顔だけはそれっぽく、まんまるに育ちましたが、自分の中にはずっと、絶対に正しくないものが燻っていて、彼にはなれないと悟りました。

幼い頃、大人はもっと人格者だと思っていて、だから、あんな風に威張れるのだと、そう信じてた。

わたしにはどっかの都知事が何を言っても無関係なのですが、みなさん、どうお過ごしなのでしょうか。約束すら守れなくて、それで許されている国に住んでいるから、赤ん坊は生まれた瞬間に泣き叫ぶしかありませんでした。

河川敷の下には東京の真実が転がっていて、心臓が40℃で沸騰したところで、誰も気づかないね。

社会的強者の判決には、死体がつきものです。

生き残るには、強者になるしかないのかもしれないけれど、人間の価値とは関係がありません。ああ、健康で文化的な生活よ。君が遠くて仕方ない。

学校の帰りに寄り道して、内緒で買った駄菓子は美味しかったし、不登校の友達の家でやったスマブラは楽しかった。わたしはカービーしか使えなくて、アイツはピーチのスカートの中みて喜んでいたね。

不良とは優しさのことではないかしら。太宰治

私たちは、こっそり落ちあって、秘密基地とかつくって、生き延びてきた不良たちです。

去年の冬、バンド仲間がCDJの出場権を得ました。彼らは、女の扱いが雑で、酒癖も悪かったけれど、音楽やステージに対しては誰よりも誠実だった。本番ギリギリまで、楽屋の外でコーラスの練習をしていた姿を覚えている。

そんな彼らの夢は、水泡に帰しました。
それでも、配信だとか、何やらで、なんとかやっているらしい。私にはもう遠過ぎてわからないけれど、彼らは不良たちの夜を守ろうとしている。

彼らのおかげで私たちのようなものは、なんとかなっています。映画だとか、小説だとか、音楽だとか。不要不急のそれらです。

強者になるには、削ぎ落とさなければいけないものがあるからね。優しすぎた者たちが、弱々しく光っている夜、その小さな煌めきをかき集めてみたら綺麗でした。

どうにもならないことばかりでも、不良のままでも、手を繋ぐことくらいはできそうです。

ありがとう。君たちがいるから、なんとかわたし、やっていけてます。




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