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村上春樹「ドライブ・マイ・カー」を英語で読む

こんにちは、イギリスで家探しをしているこおるかもです。

この週末は国王の戴冠式、コロネーションでお祭り騒ぎ。
もちろん不動産屋さんも完全閉店のため、やることがない。

そこで、村上春樹のドライブ・マイ・カーを英語で読んでみました。
こちらは、短編集「女のいない男たち」の第一編として収録されている短編です。

最近行った街の本屋さんで、たまたまこの英語版を見かけたので、衝動買い。でも実は家に帰ったらすでに同じのを持っていたという笑。

これを持って生後2ヶ月の赤ちゃんと、COSTAでアイスコーヒーを飲みながら読みました。

僕が好きなフレーズを英語と日本語で掲載してみます。ストーリーとは直接関係しないので、あまりネタバレにはなりませんのでご安心を。

The image whittled away at him like a sharp knife, steady and unrelenting. There were times he thought it would have been far better to never have known. Yet he continued to return to his core principle: that, in every situation, knowledge was better than ignorance. However agonizing, it was necessary to confront the facts. Only through knowing could a person become strong.

想像は鋭利な刃物のように、時間をかけて彼を切り刻んだ。何も知らないでいられたらどんなによかっただろうと思うこともあった。しかしどのような場合にあっても、知は無知に勝るというのが彼の基本的な考え方であり、生きる姿勢だった。たとえどんな激しい苦痛がもたらされるにせよ、おれはそれを知らなくてはならない。知ることによってのみ、人は強くなることができるのだから。

He had some qualities that I lacked. All right, a lot of qualities, I guess. But I could never figure out which of those had caught her fancy. Our actions aren't based on specifics like that - we can't pinpoint why we do what we do. Relationships between people, especially between men and women, operate on - what should I say - a more general level. More vague, more self-centered, more pathetic.

彼が持ち合わせていて、僕が持ち合わせていないものは、いくつかあったと思う。というかたぶん、たくさんあったんだろうと思う。でもそのうちのどれが彼女の気持ちを捉えたのか、そこまではわからない。僕らはそんな細かいピンポイントのレベルで行動しているわけじゃないから。人と人が関わり合うというのは、とくに男と女が関わり合うというのは、なんていうか、もっと全体的な問題なんだ。もっと曖昧で、もっと身勝手で、もっと切ないことだ。

映画の思い出

ぼくはこの作品を日本語で最初に読んだときから、とても深い感動を覚えていましたが、それでも、この作品が映画化されると聞いたときは驚きました。

どうやってこの短い短編を映画化するのか、しかも話によると、3時間あるらしい。。。

いや、きっといろんな脚色がなされて、意味わからん感じになるんじゃないか、と不安でいっぱいでした。

そんな不安を抱えつつ、ぼくは、公開初日に日比谷のTOHOシネマズで観ました。その時は、まだまったく話題になっておらず、コアな村上ファンしかいなかったのでしょう、観客は非常にまばらでした。

ひとことで感想をいうと、今までの人生で最高の映画でした。
久しぶりに、映画館でしっかり泣きました。
これは、きっと今後もぼくの映画史上No.1に輝き続けるでしょう。

そして、この作品がこんなガラガラなんてありえないでしょ、と思っていたら、あれよあれよと言う間に話題になって、なんとか賞を受賞していました。

とはいえ、村上春樹の描く不条理や、淡々とした物語構成は、かなり観るのに精神力がいると思います。話題に飛びついて観た人は、3時間座っているのも大変だったのではないでしょうか。

ぼくも、その時映画館で観て以来、もう一度見ようという気にはなかなかなれません。アマプラとかでも見れるようですが、どっしりと構えないと観るのがキツイ映画です。でもぜひ挑戦したい方はご覧くださると嬉しいです。

ちなみに村上春樹作品の映画は、意外にもいっぱいあるのですが(本人はあまり映像化に積極的ではない)、正直、8割方は失敗だと思っています。映像作品から村上春樹に入門するのは、あまりおすすめできません。これも時間ができたら、おすすめの村上春樹原作の映像作品を紹介したいと思います。

今回、英語で読み直してみて、ほとんど内容が頭に入っている状態にも関わらず、新しい発見がいっぱいあって楽しかったです。今の英語力なら、割りとすらすら読めたというのにも感動を覚えました。

少しづつ、読書ライフも再開し、育児とのバランスもとりながらやれるといいなと思っている今日このごろです。

それでは、また。

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