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ユーザ調査初心者向け:「誰に」インタビューするかの大切さ

初めてNoteに投稿します。自分の経験や知識を活字にすることで、どう形になるのか自分でも楽しみです。よかったら読んでみてください。

今回は、UXデザインの中で「誰に」インタビューするかがいかに大切であるか、特に身近な人へのインタビューだけでは不十分なことが多いという考えについて書いてみたいと思います。


当たり前になりつつユーザインタビューとその注意点

既に至る所でUser Centered Designの文字を見るようになり、「ユーザインタビューしてその結果をサービスにフィードバックしています」ということをよく耳にするようになりました。

インタビュー結果をどう解析し、どう活かすかはまた別の話として、これはサービス性の向上において重要なことです。

ただ、誰にインタビューをしたのか聞いてみると「調査会社に委託して集めてもらったモニターの方」「会社の同僚」といった回答が実に多い。うーん。。

私の結論を記載すると、インタビューの対象者はそのユーザ調査目的を達成できる人でなければ効果が小さい、あるいは間違った方向に行ってしまします。

ほとんどの場合、インタビューの対象として適しているのは

  • サービスのペルソナないしはキャストに近い人物

  • サービスの実際のメインユーザ層

のどちらかです(特定のターゲットを狙った企画検討などでなければ)。

言われてみれば当たり前だと思いますが、ご自身が実施されたユーザインタビューはいかがでしたか?意外と対象と合致していないのではないでしょうか。

ありがちなインタビュー対象者を例示し、その場合どんな落とし穴があるのか例示したいと思います。


ケース1:会社の同僚・上司

最もよくあるケースではないでしょうか。自社業務への貢献ですので、協力的であり時間の都合もつけやすく、実施の障壁は非常に低いです。

では理想的なインタビュー対象者と比較して、どんな問題があるのでしょうか。これは大抵の場合

リテラシーが高すぎる問題

が生じます。

リテラシーが高すぎる問題

この「リテラシー」としては、IT(スマホやネットの使い方に詳しい)、あるいは自社サービスや競合サービスに関するものとなります。

自社で働く同僚は、一般のメインユーザと比較して、当然ながらリテラシーが非常に高いのです。これは本人含め、なかなか気づくことができません。

結果、そのインタビューはある種エキスパートへのインタビューとなり、そこからの検討した施策や新機能がメインユーザに必要とされない、という結果に陥りやすいので注意が必要となります。

サービス運営者は基本的に、自分達がメインユーザではないと自覚しながら業務することをお勧めします(すごく重要)。

ちなみにこちらは書籍「Lean UX 第2版 ―アジャイルなチームによるプロダクト開発」( ジェフ・ゴーセルフ (著))P.43に同様の記載がなされていました。

自分たちはユーザでないことを自覚する
私たち開発チームは、ユーザを自分たちと同じような人間だ見なしてしまいがちです。(略)しかし実際には、一般のユーザが開発チームの人間と同じようなデジタルエコシステムに対する理解や寛容性を持っていることはめったにありません。

出典:Lean UX ―アジャイルなチームによるプロダクト開発( 著者 ジェフ・ゴーセルフ )

ケース2:調査会社が集めたモニター

こちらはお金が発生するのでケース1より少ないと思いますが、同様に注意が必要です。

調査会社では何かしらアンケートやインタビューにモニターとして応じてくれるユーザをプールしているデータベースがあり、そこからスクリーニングで絞り込んでリクルーティングに至るケースがほとんどです。ですので、上述のリテラシーが高すぎる問題が生じることはありません。

調査会社にモニター登録しているユーザの目的は様々ですが、ポイントや謝礼によるお小遣い稼ぎが主となります。

基本的にはアルバイトに近い、自分の時間を費やしお金を得るシステムですので、働き盛りの方が参加する割合は低くなります。さらにインタビューのように日中の時間帯を拘束されるとなるとさらに条件が厳しくなるので

比較的時間の調整がしやすいシニアの方や学生の方、専業主婦の方に偏る問題

が生じます。

時間の調整がしやすい層に偏ってしまう問題

そういった方々がメインユーザであればもちろん問題ではありませんが、例えば働き盛りの共働き夫婦をターゲットとしたサービスの場合、インタビュー対象者とメインユーザでのコンテキストが異なるため、サービスが誤った方向に進んでしまう危険性があります。

1日の過ごし方や生活の課題はもちろん、最適なFontサイズだけでも20代、40代、60代で意見は異なります。メインユーザ以外の意見を取り入れれば、全体的な満足度は下がってしまいます。

調査会社はインタビュー実施数に応じて報酬が変わってきますので、当然ながらアポイントが取りやすいユーザをあなたに薦めてきます。ただ薦められているユーザが、本当にあなたが目的とするインタビュー結果を得られるかはは注意が必要です。

余談ですが調査会社にモニター登録している方は、ほとんどの方がポイント好きということも頭の片隅に入れておいてください。


注意点を回避するために

ここまでインタビューにおける注意点を記載してきましが、どうすれば避けることができるでしょうか?

それは

ユーザ調査の目的から誰にインタビューすべきかをしっかり検討する事

です。

冒頭述べた通り、ユーザにインタビューをし解析すれば、ユーザ調査を実施したと考える方が少なくありません。ただユーザ調査結果は「誰に話を聞いたか」で内容が大きく変わります。

多くのユーザが利用する新しい施策を考えたいのか、今取れていないユーザ層にリーチする施策を考えたいのかだけでも、誰に聞くべきか全く変わってきます。ユーザビリティテストなどでも同じことが言えます。

ユーザ調査の目的から誰にインタビューをすべきかをしっかり考え、こだわってインタビュー対象者を決定するようにしてください。

そのためには事前のスクリーニングが重要になりますので、デモグラだけでなく関連サービスの利用状況など含めなるべく多くの情報を収集した上で決定するようにしましょう。また誰をリクルーティング候補は他人に任せず、必ず自分で決定するようにしましょう。

ユーザ調査は解析が大変というイメージがありますが、私の考えは対象者の選定の方が重要ですし大変です(話を聞きたいユーザがインタビュー可とは限りません)。

良い対象者にインタビューできていれば、後からいくらでもインタビュー内容を見返すことができ、解析をやり直すことができます。


まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。

  • ユーザ調査では「誰に」インタビューするかが非常に重要である

  • 会社の同僚・上司がインタビュー対象の場合、実施はしやすいがメインユーザ層に比べリテラシーの高いユーザ層に偏りがちである

  • 調査会社が集めたモニターの場合、リテラシーの懸念は無くなるが、比較的時間の調整がしやすいシニアや学生の方がアポイントが取りやすく候補になる可能性が高い

  • ユーザ調査の目的をしっかりと考え、誰にインタビューをすべきか明確にした上でスクリーニングに取り掛かりましょう

私はリテラシーが高すぎる問題を回避するため、時間と予算の余裕があれば調査会社を利用するようにしています。ただもちろん、同僚の方へのインタビューも広く意見を募りたい時など1意見として重要ですので、否定するものではありません。

この記事に共感いただけたら、皆さんもぜひ「誰にインタビューするか」にこだわってユーザ調査を実施してみてください。

この記事が少しでも皆さんのお役に立てば嬉しいです。

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