明けましておめでとうございますと新年のイベントお知らせ。

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年も星崎さんのしめ飾りで新年を。

2019年は、消費税増税にどうにも出口の見えない不況にどうすることもできない政治不信、と暗い気持ちになることが多かった。年が明けたら何か変わるのかと期待したら当然のように続く不景気に政治不信、さらにはアメリカの決定的とも言えるような不穏な動きにオーストラリアの異常気象と森林火災。

世界規模での動向を見ながら不景気に喘ぐ自分の足元もなんとか崩れないよう心を砕く。年が明けたおめでたさというのはとても儚く霞のようなもので、変わらず不安定な中で必死に生きている方が多いだろう。

わたしはと言えば、2019年はこれまで以上にフェミニズムにまつわる社会の動きに救われた一年だった。現代に生きる女性たちのパワフルで地に足のついた良書が続々出版され、同じ思いで生きている人たちがたくさんいるんだという心強さがあった。

個人的な実感としては、周囲を見たときのフェミニズムの認知度はまだまだこれからという気がする。なぜか反発が生まれたり、警戒したりしてしまう人がいるのも、深くを知ることなく、なんとなく、これまで積み上げてきた、または我慢して耐えてきた常識や認識を崩されてしまう、壊されてしまうと思ってしまっている人が多いのではないか。

日本でのフェミニズムの第一人者のひとりである上野千鶴子さんは、

"オリジナリティは情報の真空地帯には発生しない"

という。仕事や自分の進む道に悩んだとき、わたしを勇気づけてくれる言葉の一つでもある。

ひとりで悶々と悩んだり、自分の闇雲な意見を主張するだけではきっと何も生まれない。様々な意見や情報、あらゆることを知り、そこから考えることでようやく見えてくるであろう自分のできることやオリジナリティ。

社会に対して自分には何ができるのか。何も作れない、立派なスキルもない自分が古本屋という仕事を続ける意味もたぶんそのあたりにある。

問題意識にはアツく、しかし自分と自分のやるべきことには冷静であること。今年も理想で、地道に生きていきたい。

というようなことを書くと、真面目ですねすごいですね、と反射的に思われる方も一定数いるでしょう。

でも、自分の好きなこと、楽しいことやりたいことをやるにはまず、社会の安定と正当な評価が第一だとわたしは思います。基本的な権利や生き方の充足。自分らしさや自由はその先にある豊かさ。自分にできることは小さいのだろうけど大小はたぶんあまり関係ない。

今年もみなさまにとってよい一年になりますように。

今年のお正月は、大晦日に除夜の鐘をつき、年が明けてからはみんなでゲルを建てたりした。

一昨日は、近くの喫茶店でたまたまアイリッシュ音楽の世界的なアーティストの演奏に触れることができ、忙しすぎて記憶がほとんどない昨年の自分のプライベートに思いを馳せたりもしています。。

その怒濤の忙しさはいいのか悪いのか一段落したので、年末年始からわりとコンスタントに本を読んでいる。今年はどんな一年になるのか。毎年楽しみにしている、楽しみにしているという以上に勇気をもらっている石井ゆかりさんの年報も、もう何度も読み返した。昨年は石井ゆかりさんと佐藤ジュンコさんのトークを企画したところから一年が始まったようなもので、あの夜の言葉と会場の空気は、今もわたしの支えとなっている。一年経った今も、"たしかなもの"という感覚がある。

年を経るごとに、周囲の人たちともこれから自分は何をして生きていけるのかということをよく話す。未来にあるはずの"たしかなもの"というのはあまりにも少ない。大きな選択をしてしまうと、失敗を期待されているよう気持ちになることも多く、楽しく豊かに生きることでしかそこに復讐することはできないんじゃないかとも思う。

長いうえに尻切れですが、2020年も楽しく生きましょう。

二階ギャラリーでは引き続き、手紙舎さんのポップアップショップを1/30(木)まで開催中。

お隣壁スペースでは、alphabetさんのあったかモンゴルウール展が始まりました。

質のいいモンゴルウールはもちろん、香りよいオイルやクリームもおすすめ。わたしもレモングラスのものを購入。スキンケアのたびにほんとうにしあわせな気持ちになる。ぜひ店頭でお試しください。

そして今週末、1/12(日)夜は一階の書店スペースで作家の澤口たまみさんの、岩手ことばによる宮澤賢治『シグナルとシグナレス』朗読とベース伴奏があります。

澤口たまみさんは、夕書房刊『新版 宮澤賢治愛のうた』の著者。それまで、わたしは賢治の詩や童話を深い静謐なブルーのような、とてもぼんやりとしたイメージで捉えていたけれど、この本を読んで人間味溢れる、いきいきとした色彩で捉えられるようになった。また新たなイメージを見せてくれるかなと個人的にもとても楽しみです。ご予約お問い合わせはマヤルカ古書店まで。

澤口たまみ
宮澤賢治 朗誦伴奏
いわてことば「シグナルとシグナレス」

・日時 2020年1月12日(日)18時~
・会場 マヤルカ古書店一階
・出演 朗読/澤口たまみ、ベース演奏/石澤由男
・参加費 予約/2300円、当日/2500円

朗誦伴奏とは、宮澤賢治も好んだ朗読のスタイルだそう。当日は京都の劇団ニットキャップシアターから朗読ゲストもあります。ご予約お待ちしています。

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