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カオスの時代に生き残る!天才を育てた親に学ぶ「子供の才能の伸ばし方」

自分の頭で考えなければ、生き残れない時代

いよいよカオスの時代がやってきた。いよいよ自分の頭で考えなければ、生き残れない時代だ――。

『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク)では、教育評論家の親野智可等先生への取材を重ねた。

二人の共通した認識が、冒頭の危機感である。親の常識で、子どもの進路に口出ししたところで、もはや時代が全く違う。「本当の意味の自立とはなにか」。本書では、偉人たちへの親の教育を通して、そんなテーマにも挑んだ。

「偉人」「天才」は私たちとは違う遠い人?


親野先生はあとがきで、こう書いてくれている。

本書は一つの羅針盤のようなものになるのではないかと考えます。というのも、本書には真山氏の多大なるご努力によって収集された、子育てや教育の参考になる古今東西のエピソードが満載だからです。

このようなエピソードは朽ちることがありません。それについての解釈が変わることはあっても、実際にあったエピソード自体が変わることはないからです。

『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』p268-p269
「あとがき」

私はこれまで偉人や名言にまつわる本を40冊以上書いてきた。もちろん、そこには「先人たちの思考や発想から、私たちが得るものが何かあるはずだ」という思いからだ。この本で、親野先生に改めて、自分のやってきたことの意味を定義されたような思いがして、非常に嬉しかった。

そう、偉人たちの逸話から何を学ぶかは人それぞれ違う。自分が置かれている状況によっても、受け取り方は変わる。また、生きる時代によって解釈も変化していく。

現に『偉人名言迷言事典』(笠間書院)では「かつては名言だったが、今の時代は迷言になるだろう」といった時代に応じた見解も加えている。例えば、「経営の神様」と呼ばれる松下幸之助が熱海会談で放った、伝説の名言「血のしょうべんが出るほど努力しましたか?」は、今の労働環境ではそぐわないだろう。そのことは現代ビジネスの記事でも書いた。

しかし、受け取り方は変われど「そういうエピソードがあった」という事実は変わらない。偉人や天才たちがいかに生きたのか。それを知ることは、これからのカオスの時代を生き抜くのに、特に必要になってくるだろう。

一人では「偉人」にも「天才」にもなれない

本書の構想自体は、実は数年前からあった。偉人の本を書くにあたって「その偉人がどんな性格だったか?」を掘り下げているうちに、「偉人が放った言葉と同じく、偉人がかけられた言葉も、同じくらい重要なのではないか?」という思いに至ったのである。それは、例えばこういうことである。

幼少期に失敗したとき、親からどんな言葉をかけられたのか? 
やりたいことが見つかり初めての作品を見せたとき、友人の反応は?
仕事でいきづまったとき、上司からはどんなアドバイスがあったのか?

偉人のように豊かな才能を持っていたとしても、たった一人では、偉人にはなれなかったと私は思う。何らかの形で、必ず支えてくれた人がいる。子供向けに、児童書ライターのこざきゆうさんと、そんな本を書いたことがある(『もうひとりの偉人伝』)。

その支えてくれた人の「言葉」に注目したのが、本書『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』である。

実現が難しかった企画を形にできたのは?

しかし、構想はありながらも、なかなか企画は実現しなかった。

その理由は明確だ。「偉人の名言」なら「読んでみたい!」という読者が多く存在する。私もその一人だし、かつてはこんな名言集も実現させてきた。

だが、「偉人のかけられた言葉」だと、やはり説明が必要だ。うまくタイトルにしないと、なかなか手に取ってもらえないだろう。

そんなわけで、何人かの編集者に相談してきたが、本にすることはできなかった。編集者ベースでは「面白そうですね!」となり、編集会議までは通ったりもしたが、営業会議で「待った」がかかる。確かに、ストレートには意図が伝わりづらい本ではある。

そんな難しい企画が実現できたのは、二人の存在があってこそである。一人が、本書の編集を担当してくれた、サンマークの淡路さんである。淡路さんとは、株式会社WARDS代表の竹村俊助さんから誘われた飲み会で出会った。

竹村さんとはmixiで出会って以来なので、随分と長い付き合いである。星海社にいた頃には『君の歳にあの偉人は何を語ったのか』という本も担当してもらった。

飲み会は、ちょうど竹村さんが、ダイヤモンド社を辞める直前で「絶対に辞めないほうがいいよ!」と言っていたのをよく覚えている(まさか、そのときは自分が独立するとは夢にも思わなかったのだが……)。

その飲み会で、サンマークに転職したばかりの淡路さんと出会う。淡路さんとは「ぜひ企画をやりましょう!」と渋谷で飲みながら、あれこれと方向性を探って、数年が経とうとしていた。

あるとき、本書の企画を相談したところ、淡路さんが乗り気になってくれたというわけだ。私が3人の子を持ち、淡路さんも子どもが生まれたばかりというタイミングが大きかった。「偉人にかけられた言葉」にはさまざまあるが、「親の言葉」に絞ろう、という話になった。

本書は、担当編集者のまえがきから始まる。おそらく、ただ唯一の本だろう。

真山さんの〝天才を育てた親のエピソード〞と親野さんの〝明日から使える実践的なアドバイス〞は、育児に不安を抱えるすべての親にとって、明るい未来を照らしてくれるに違いありません。

『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』p3
「まえがきのまえがき」より

ただ、一つハードルがあって、それは「偉人がどんな親の言葉を受けて、どんなふうに才能を育んだのか」だけでは、今まさに子育てに悩む親が実践するのに、どうしても「遠く」なるのではないかということである。

そこで、教育評論家の親野智可等先生に協力してもらうことになった。突然の依頼にもかかわらず、親野先生は快諾してくれて、偉人たちが受けた親の教育を、どんなふうに現代に生かせるのか。実際の現場での話を交えて、実践的なアドバイスをふんだんに盛り込むことができた。

苦悩する偉人たちに親はどう対応した?


偉人たちは幼少期や青年期にどんな壁にぶつかり苦悩していたのか。そして、親はどんなふうに、言葉かけをしたのか。本書は、悩み別に組み立てられている。子を持つ親ならば、直面したことがある悩みも多いのではないだろうか。

1章 学校になじめなかった天才たち
(教えて!親野先生「子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたら、どうしたらいいですか?」)

2章 他人と同じようにできなかった天才たち
(教えて!親野先生「子どもが他人と同じようにするのが苦手で心配しています」)

3章 親の言葉で才能を伸ばした天才たち
(教えて!親野先生「子どもの才能を伸ばすために親ができることってありますか?」)

4章 親の言葉で好奇心を育んだ天才たち
(教えて!親野先生「子どもにいろんなことに興味をもってほしいのですが、どうしたらいいですか?」)

5章 親に好きなことを後押しされた天才たち
(教えて!親野先生「子どもの好きなことを後押しするために、親は何をすべきですか?」)

6章 結果を急がずじっくり取り組んだ天才たち
(教えて!親野先生「結果が出なくて落ち込んでいるときに、
どう励ませばいいですか?」)

7章 親の言葉で自信を培った天才たち
(教えて!親野先生「子どもに自信をつけさせるには?」)

8章 天才の思いやりを育てた親の背中
(教えて!親野先生「思いやりのある子どもに育って欲しいんですが、
どうすればいいですか?」)

9章 親の言葉で感情をコントロールした天才たち
(教えて!親野先生「子どもがすぐに感情的になるので困っています。」)

10章 親に背中を押されて挑戦できた天才たち
(教えて!親野先生「子どもの挑戦を後押しするには?」)

11章 進路に悩んだ天才たち
(教えて!親野先生「子どもが進路に悩んでいるとき、親はどうすべきですか?」)

12章 難題にぶつかった天才たち

(教えて!親野先生「子どもが難題にぶつかっているとき、どんなことができますか?」)

13章 社会の真理を親から学んだ天才たち
(教えて!親野先生「子どもが周囲になじんでやっていけるか不安です。」)

14章 親に自立へと導かれた天才たち
(教えて!親野先生「子どもがちゃんと自立できるか心配です。」)

『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』目次

未来を拓く才能を伸ばすために私たちができること

出版されたばかりにもかかわらず、講演会の依頼をいただいている。親野先生とも再びコラボレーションできそうだ。

正解が見えづらい「カオスの時代」だからこそ、個性がありすぎるぶっとんだ偉人たちが、どう育てられたのか。そして、偉人の親は子どもに、どんなふうに接してきたのか。そこから私たちは、現代の教育にどう生かしていくのか。

子育て世代はもちろん、あらゆるマネジメントにも通じるエッセンスがつまった一冊となった。誰かの才能を支え、導く際には、きっと役に立つのではないかと思う。

未来を担う若者たちが、自分らしく生き生きと時代を切り開くための一助になれば幸いである。


【参考】
カオスの時代を生き抜いた!共感の偉人伝『泣ける日本史』(文響社)も好評発売中!







「偉人」や「名言」「歴史」にまつわる執筆多数。 【メール】 mayama.tomoyuki(at)gmail.com ※ (at) は @ に置き換えて下さい