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だからスキを手渡したいんだ week15

みなさまこんばんは、だいすーけです。
その週に読んだスキnoteからいくつかの作品をピックアップしてお届けする、という取り組みをしています。

今週もたくさんのスキnoteに出会いました。
毎回ピックアップするのが心苦しいんですけどね...全部ご紹介するわけにもいかないし、そのへんの兼ね合いが何だかこう、モヤっとさせる部分があったりもする今日このごろ。
そんなふうに思うこともありますが、ご紹介させていただく以上はしっかり気持ちを込めて書かせていただきます。今回のピックアップも素敵なものばかりなので、未読のものがあったらぜひリンクに飛んでくださいね。

それでは第15回、ご紹介します。
どうぞ!



136 うれしい工夫をひとさじ / ふむふむともくもくのこと さん

去年の今ごろ書かれたこのnoteを、今も「去年は大変だったよね」と思い出をふり返るように読むことができないなんて、そんなのね、まさかね。

古いパンでも、工夫をしたらこんなにおいしくなるのよ。

それは、幼いころにお母さんがつくってくれたフレンチトーストの記憶。

外出自粛のためピクニックには行けませんが、そういうときはお家でピクニックしましょ。

ピクニックに持っていくサンドイッチのかわりに、おうちでフレンチトースト。「外出自粛」が叫ばれて久しい今でも、そんな「ひとさじ」の工夫が気持ちを明るくしてくれるのかもしれません。

フレンチトーストをより楽しむためのちょっとしたコツが、優しいタッチのイラストになっています。行楽日和と言えるような休日が増えてきましたが、皆さんはいかがですか。おうちでも楽しめる工夫、こころがけていることはありますか。

選ばれる言葉もそれをつなぐ文章もイラストも、ふむふむともくもくのことさんのエッセイは、ちょうど今の時期、じわじわと身体を包む陽だまりのようなあたたかさとやわらかさに満ちています。

この状況を乗り越えられたら、きっと、今よりも良くなります。

思ったよりもだいぶ、長引いてはいるけれど。
それを信じて、今それぞれができる「ひとさじ」の工夫。今一度、見直してみませんか。


くさった死体は電気羊の夢をみるか【ショートショート】【リライト】【#138】 / たけのこ さん

僕に残っていたのは、そんな安堵の気持ちだけだった。

たけのこさんは、いつもどこからアイデアをもってくるのだろう。毎度へぇ、とか、はぁ、とか、感嘆のため息ばかりのショートショート。
今回のピックアップはリライト版ですが、昨年オリジナルが投稿されたときの「超スキ!」をありありと思い出しました。
↓こちらはオリジナル版。

タイトルからして不穏な空気を想像させますが、内容は読んでもらってのお楽しみ。ってもう読んだ人が多いと思いますけどね。

リライト版とオリジナルを比較してみました。
リライトの方が全体的に場面がゆっくりで、「僕」と「私」の感情の流れと部屋を流れる時間の経過とがよりリアリティをもって感じられる気がします。しん、と静まり返って、一歩引いて情景が描かれている感じ。すこし淡々としたその感じが逆に臨場感を盛り立てているような。

刻一刻と終末に向かう絶望と、そのなかで浮かび上がる感情のコントラストが美しくて、感動したのを憶えています。ディストピアの絶望のなかに見とめた痛いほどよく知っているその感情、「僕」がさいごに目にした光景。ネタバレしたい欲求をどうにか抑えきって、このご紹介を終わりにしたいと思います。
未読の方はぜひ!


転職活動で祈られすぎて、「神」になったヤツがいる。それは私だ。 / tago さん

過ぎたことだからきっと面白おかしく書かれているのだと思うのですが、その当時のtagoさんのことを思うと何ともいたたまれない気持ちになりました。就職活動も転職活動もしたことのないぼくにとって、ここに書かれていることの壮絶さは想像の域を超えていたからです。
採用する側として、ぼくも幾度となく人を落としてきました。採用の見込みがほぼゼロでも会って話をしたこともあります。仕方のないことだけど、うん、でも、何ていうか。

...すみません、爆笑しながら読ませていただきました。

そもそも優秀な人は、(中略)スタートラインが違う。強者は弱者と同じ土俵に立たないのだ。何だと!?
残酷すぎる圧倒的格差だ。くそっ。

祈られ過ぎて「神」になったtagoさんですが、この経験を通じてようやく迎えた「開き直り時代」にようやく光が射しました。

本質が見えていなかった。(中略)転職ってどうしても“入社そのもの”が目的になりがちなんだよね。

ご自身で個人事務所を開業し、現在独立5年目を迎えているtagoさん。
「天下分け目の戦い」を経て「敗者として」迎えたこの時代、「祈られ続けた結果」の上に今は、自分の足で立っている。

自分の名前が看板。今はそう思って生きている。

似た境遇の人を勇気づける、美しいnoteだと思いました。


大人になっても、びっくりドンキー。 / 奥村 まほ(okumaho) さん

こちらはnoteの記事ではないのですが、エッセイを中心にnoteでもたくさんの文章を公開されてきた奥村まほさんの作品。
「アイスム」という媒体で書かれたエッセイです。

さきほどディストピアのお話がありましたが、こちらはユートピアのお話。笑
皆さんにとって、ファミリーレストランとはどのような場所でしょうか。
そこに、忘れられない思い出はありますか。

当時幼稚園児だったまほさんにとって、「びっくりドンキー」はまさに未知の世界でした。まるで「魔女が支配するお城のような不思議な外観」、それはまさに「テーマパーク」。
そんな「びっくりドンキー」にたいしてまほさんが抱いてきた気持ちは、まほさんの成長とともに変わっていきます。時が経ちはじめてそのハンバーグを経験し、その虜になった小学校高学年のまほさん。中高生になり、その雰囲気がすこし子どもっぽいと敬遠するようになったまほさん。そして、大人になった今。

とある日の妹さんとの会話がきっかけで、「びっくりドンキー」と何年ぶりかの再会を果たしたまほさん。

ひとりランチであんなに楽しく心の中で歓声をあげたのはひさしぶりだった。びっくりドンキーは、大人になってもやっぱりテーマパークだったのだ。

食事をたのしむことは、味をたのしむことはもちろん、そこにまつわる記憶や思い出と向き合うこと、それを重ねていくこと。
これを読んだらきっと、あなたも。遠い記憶を呼び覚ます味に、会いに行きたくなるのではないかと、思いました。


「水割り」からどうぞ / BAR ground line さん

ウイスキーを、何かで割って飲むとしたら。
ハイボールのブームが到来してそれが定着して、現在ではソーダで割ることが主流になった感がありますが、だからこそ「水割り」の奥深さをあらためて知っておきたくなる。

ハイボールも水割りもつくること自体はとっても簡単。グラスに氷とウイスキーを入れて、ソーダか水で割って、混ぜる。これだけ。
なのですが、

なかなかこれが一筋縄ではいかない、作る人によって全然違うものになる、厄介な代物である。

もちろんハイボールにも言えることなのですが、これ、ほんとうなんです。
水割りも、立派なカクテルのひとつであるということ。

場合によっては、これのせいで、ウイスキーが嫌いになる方もいらっしゃいます。

そのお酒が好きになるか嫌いになるか、それはそのお酒の第一印象が大きく左右することであると思います。はじめて飲んだものがおいしくなかったら、きっと二度目はないですよね。
何をもって「おいしい」とするかは人それぞれではありますが、きちんとした理論をもってつくるプロのつくる水割りの底力、機会があったらぜひ味わってほしい。
ウイスキーを何となく敬遠している人、苦手な人にとっても、あたらしい発見になるかもしれませんよね。



「だからスキを手渡したいんだ week15」、今回も5つの作品をご紹介しました。

今回ははからずもいろんな意味で、ユートピアとディストピアの対比が特徴的なまとめになったかなぁ、と思いました。
ふむふむともくもくのことさんの書かれた、世の中が変わる前と後。
たけのこさんのディストピアと、おいしいもの、思い入れのある食べもの、飲みものを描いたまほさん、BAR ground lineさんのnote。tagoさんの作品もある意味ディストピアと言ってしまっていいのかもしれませんよね...というよりディストピアを経て生まれたユートピアのお話でしょうか。

興味のある作品があったらぜひ、リンクへ飛んでみてくださいね。
あたらしいスキや価値観に出会えることが、きっとあると思います。

それでは、今回はこのへんで。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




このシリーズはマガジンにしてありますので、お時間のあるときにご覧いただけたらうれしく思います。






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