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東マインド、西マインド

たまたま近い時期に羽田空港に向かう飛行機と伊丹空港へ向かう飛行機にそれぞれ乗ったことがある。

飛行機は楽しい。空を飛べるし雲の上はいつでも晴れているし日本国内ならA県からだとせいぜい1時間半も乗れば全然違う地域性の土地へ連れて行ってくれる。
空港も好きだ。
お土産物屋がたくさんあって、その土地のお土産お菓子から普段地域の人が食べていそうな漬物といった食べ物、かわったTシャツみたいなジョークグッズとありとあらゆるラインナップで旅行者を出迎えてくれる。
私は伊丹空港でA県では買えない変わった漬物を買うのが好きである。現地の人にとっては当たり前の食べ物なのかもしれないがトマトのキムチだとか、水茄子の漬物だとかを買って帰る。

しかも鉄道、自動車、船、あらゆる輸送手段と比べても群を抜いて早い。しかも便によっては温かいスープも出してくれる。
そのスープがめちゃくちゃ美味しいのもすごい。ビーフコンソメのスープの少し強めの塩味とコク。おかわりしたいけど恥ずかしくてまだ言い出せたことはない、あるいはその前に飛行機が到着してしまう。

個人的にいちばんすっげースケールだなと思うのが新千歳空港だ。温泉と映画館がついている破格のビッグスケール。さらにはチョコレート工場まであるとんでもないアミューズメント性。私はここでソフトクリームをいつも3つは食べてしまう。

書き出したらキリがない、待ってても乗っててもさらには着いてもたのしい飛行機の旅だが、時として危険もつきまとう。
墜落、着陸失敗は滅多にないが割とあるのが飛行中の「揺れ」である。
右に左に結構揺れる。
機長さんに全幅の信頼を置いていてもあまりにも揺れるとさすがにびっくりしてしまうよね。

そんな飛行機の揺れに対して、東京に向かう便と関西に向かう便とで結構お客さんの反応が違っていて面白いなと思ったことがあったので記録しておきたい。
先述の通り、比較的近しい時期に東京便と伊丹便に乗った時に立て続けに飛行機が揺れたことがあったものだからよけい印象に残っていた。

東京便が揺れた時、お客さんはみんな揺れを恐れていた。
大きめの揺れが何度か続いていたし東京便は機体が大きいので乗客も多くてパニック状態とまではいかないけどキャーとか、こわいね、といった声が聞こえたような気がする。
自然な反応だと思う。安全な空の旅が脅かされているのだ。
正直落ちるかと思っても仕方がない。

問題だったのは伊丹便である。
伊丹便の時も結構長く揺れた。
私も断続的に何度か続けて揺れて、早く落ち着かないかなと思っていたのだが先に乗った東京便と乗客の反応がなんだかちがう気がする。
「おお、揺れてはるなあ」
「また揺れんのかい」
私の関西弁翻訳能力が乏しいため伝わりづらくて申し訳ないのだが、確かこんな感じだった。わっはっはと笑う人さえいた(気がする)。なんだか乗客がこのシチュエーションを楽しんでいるように見える。
私は私で関西に住む方へ大きなプラスのバイアスがかかっているので気のせいかもしれないがいや、これみなさん揺れを楽しんでるよやっぱり!
すげえ、盛り上がってる!飛行機の揺れすらも面白がれるマインド、強すぎる。

いや、もちろん関西の方全員が全員そういうわけではないのだろう。
そういう偏見で見られるのが嫌な方だっているだろうに。
偶然私がめちゃくちゃになんでも面白がれる愉快な仲間たちfrom関西のみなさんと乗り合わせただけかもしれないし。

でもだってしかしである。
この窮地を面白がって乗り切るというマインドは積極的に見習っていきたいと一際関心した。
怖いときに怖いことをただただ怖がっていても不安な気持ちが凝縮されるだけで物事が解決するわけではないし、どうせ自分が行動しても解決しないという終わりが見えていることなら逆に怖いことを面白がった方がお得なように感じる。

危機に対して回避行動を取るのも立派な生存戦略だけど、時と場合によっては全力で面白がっちゃったらいいんじゃないの?ってこの時気がついた。
どうせ自分で変えられないことを恐れてしまってもどうしようもない。
行動して帰ることができるなら真剣に怯えて考えたらいいしどうしようもないならいっそエンジョイしてしまおう。

え?それなら絶叫マシーンも全力でエンジョイできる?
いや、そのそれはちょっとその、私は血圧が高いのでちょっと遠慮しとこうかなっていうか、苦手っていうか……限度があるよね、ごめんね。

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