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お題レポート第1回 札沼線(2020.07)

札沼線さっしょうせん
桑園そうえん駅から北海道医療大学駅までを結ぶJR北海道の鉄道路線。学園都市線という愛称が付けられている。

Wikipedia 札沼線

※この記事は2020年に作成しました

札沼線の旅程と思い出

 テーマに沿って各自が思い出をつづるお題レポート、第1回のお題は札沼線です。私は札沼線の思い出が多めにあるので、多めにつづらせて頂きます。
 札沼線への最初の訪問は、廃止の危機など微塵も考えてもいなかった2008年9月でした。

2008年 当時の行程
(時刻不明) 札幌
| JR
10:41 石狩当別いしかりとうべつ
11:15 石狩当別
| JR
12:37 新十津川しんとつかわ

 因みにこの後、

新十津川
|徒歩
新十津川役場前
|路線バス
滝川たきかわ
|JR
岩見沢いわみざわ
|JR
追分おいわけ
|JR
南千歳
|JR
新札幌

 …という、とんでもない移動をしていますが、今回はメインが札沼線なので、とんでもない部分は割愛させて頂きます。

 その時に利用したのは、休日に普通列車に乗り放題の一日散歩きっぷです。当時は¥2040でしたが、今は¥2540です。そして相次ぐ廃線で、乗車可能区間も現在はだいぶ狭くなっています。

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物持ちが良いので当時の切符ありました

 この頃は、自分の新しい趣味になりつつあった鉄道旅の楽しさに気付いたばかりで、乗れそうな道央圏の鉄道を毎月のようにあちこち乗り回していました。
 そして、当時の旅メモ(遠出する度に小ネタや事件をメモっている)を読み返すと、

少年は2両列車のつなぎ部分が気になるらしく、しきりに「ねえ、走ってる途中で電車が離れたりしない!?離れて後ろの電車が置いてけぼりにされない!?」と親に聞きまくっていた。

 という、ハートフルエピソードを記していました。あれから10年以上が経ってるので、その少年も今はいい大人でしょうね…

石狩当別駅PAP_0011_300dpi
そんなに容易く離れない

 2回目の訪問は、そろそろ本気で廃止になるのでは?という危機感が濃厚な2018年2月でした。

2018年 当時の行程
9:40 大通バスセンター
| 高速バス
11:16 滝川
12:37 滝川
| 路線バス
13:15 浦臼うらうす
13:21 浦臼
| JR
14:18 北海道医療大学
14:41 北海道医療大学
| JR
15:26 札幌

 この日は高速道路に除雪車が入るぐらい雪が降っていました。時速50㎞規制も出ていたので、私が乗車したバスの前方に、速度厳守の高速バスが連なって4台も列を成してしまいました。謎の連帯感です。

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なかよし速度厳守

 自分が乗ってるバスが高速たきかわ号、その前を走ってるのが高速ふらの号、その前を走ってるのが高速あさひかわ号、先頭は不明…

 時速50㎞規制の影響で遅れて滝川駅に到着しましたが、次の乗り換えまでの待ち時間が元々1時間以上あったので、個人的には助かりました。

 滝川駅からは路線バスで浦臼駅へ移動します。利用者は地元民のおばあちゃん1人だけで、すぐに降りてしまいました。貸切状態です。
 このバスは新十津川を経由しますが、新十津川で降りてしまうと次の移動手段が確保できないので(※最終列車が午前10時)、浦臼で降りました。

  浦臼からJRに乗り換えて、本題の札沼線です。ただ、乗り換え時間が6分です。バスが遅れたら札沼線に乗れず終了でした。
 遅れなくて本当に良かったと安堵しましたが、間に合ったところで6分しかないので、雪深い小さな駅も、既に到着していた1輌の列車も、じっくり撮る暇が全くありませんでした…

2018浦臼

 待ち構えていた列車を苦し紛れにサッと1枚だけ撮り、慌てて乗り込むと、明らかに地元民ではない鉄道ファン感満載の男性2人…と目が合ったので、会釈をしました。

2018浦臼2

 私を含めて3人の、本来の客層ではない者達(鉄道趣味のために鉄道に乗る鉄道ファン)を乗せて出発です。車窓はどこまでも雪景色で、ザ・北海道の冬を感じさせます。

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 程なくして男性2人は、豊ヶ岡とよがおか駅で下車しました。真冬の北海道の木造駅舎の雪に埋れた無人駅で下車…プロ(?)だ…と、そのチャレンジ精神に敬意を表しました。
 豊ヶ岡駅は周囲に民家が無い秘境駅として近年有名になり、撮影ポイントとして鉄道ファンが多く訪れます。そして、 車内に誰もいなくなりました。

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 しばらくすると、無人駅に別の鉄道ファンが待ち構えていました。こちらにカメラを向けていたので、真冬のローカル1輌列車に乗客1人(しかも地元民ではない)という哀しい画が撮れてしまったと思います。
 その後は若者やおじいちゃんなど地元民が乗車し、本来の札沼線の客層になりました。
 列車は時刻通りに北海道医療大学駅に到着し、都会感ある電車に乗り換え、無事に札幌へ戻ってきました。

札沼線の好きなところ・印象深いところ

 2016年11月、JR北海道が当社単独では維持することが困難な線区についてを発表した事により、道内の多くの路線が赤字を抱えた廃止対象という危機的状況である事が判明し、人々の関心が高まりました。
 その中に北海道医療大学駅-新十津川駅間が含まれていた事で、札沼線も他人ごとではなくなったのです。
 そのため、2008年(廃止になるなんて微塵も思っていない期)と2018年(このままでは廃止されると気付いた期)では、札沼線の雰囲気も様変わりしていました。
 廃止される可能性があると発表された事で皮肉にも知名度が上がり、廃止前にその姿を見ようと多くの人が訪れ、それを収益につなげようと地元観光業に力が入るので、にわかに活気付きます。
 そして廃止決定から廃止日までが、訪問者数増加のピークとなり、廃止後はまた元のように、静かに減少していきます…
 秘境駅であればあるほど物珍しくて有名になってしまうこの時代ですが、秘境駅が秘境であり続けるだけでは、駅を維持できずに廃止されてしまいます。
 しかし、秘境である事をセールスポイントに観光誘致すると、駅は維持は出来るが秘境ではなくなる…奥が深いです。深過ぎます。もはや鉄道哲学です。
 例えるなら、昔から知っている店がメディアに取り上げられて一躍有名になった…嬉しいけど、なぜか悲しい…この微妙な気持ちは…何…?現象と言えば、伝わるでしょうか。
 私は、廃止になるなんて微塵も思っていない期の、穏やかに寂れた札沼線のノスタルジー感が、心地よくて好きでした。

翻弄されたラストラン
 北海道医療大学駅~新十津川駅間が2020年5月6日をもって廃止するため、ラストランに向けて増加が見込まれる乗客対応として、特別運転計画(延長運転・増便・最終5日間は全席指定など)が2020年4月3日に発表された。
 しかし4月10日、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため最終運行日を4月25日に前倒しする検討を開始。
 4月15日、新型コロナウイルス感染症拡大および緊急事態宣言の影響により、最終運行日を4月24日に変更を発表。
 ところが翌日4月16日の夜、緊急事態宣言の対象地域が日本国内全域に拡大されたことを受け、最終運行日を4月17日に再々変更し、これが最終決定となった。ラストラン半日前の発表となった事により、訪問予定を立てていた全国の鉄道ファンが混乱に陥った。
 こうして二転三転したラストランは4月17日に行われ、沿線住民や近郊から駆けつけた少数の鉄道ファンに見守られながら、近年まれにみる穏やかな幕引きとなった。
 以降4月17日~5月6日は全列車運休となり、5月7日未明に駅名標が撤去された。
 尚、廃止区間の代替バスは4月1日から既に運行されていたため、廃止日の前倒しによる本来の利用客への影響は少なかった模様。

札沼線の思い出写真

新十津川駅PAP_0006_300dpi
新十津川駅PAP_0007_300dpi
新十津川駅PAP_0010_300dpi
新十津川駅GRP_0066_300dpi
新十津川駅GRP_0069_300dpi
新十津川駅PAP_0005_300dpi
新十津川駅:撮影2008.09
(2020.05廃止・2021.07解体)
下徳富駅GRP_0094_300dpi
下徳富駅:撮影2008.09
(2020.05廃止)
南下徳富駅PAP_0008_300dpi
南下徳富駅:撮影2008.09
(2020.05廃止・2021.08解体)
於札内駅GRP_0100_300dpi
於札内駅:撮影2008.09
(2020.05廃止)
石狩月形駅GRP_0077_300dpi
石狩月形駅:撮影2008.09
(2020.05廃止)
知来乙駅PAP_0013_300dpi
知来乙駅:撮影2008.09
(2020.05廃止)
中小屋駅PAP_0012_300dpi
中小屋駅:撮影2008.09
(2020.05廃止)