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不惑の韓流女優シリーズ⑤「チョン・リョウォン~わきまえない女の爽快さ~」

 「#わきまえない女」が、ツイッターをにぎわしているときに、こんな題をつけるのもなんですが、前回のnote記事で、わたしがセクハラ防止研修の講師をしていた時のことを書いている時に、思い出したことがありました。それは、会社という組織の中で、性差別や性暴力、不倫など「性」にまつわる話は、どこでどう波紋を呼ぶのかわからないので要注意とされていますが、それでもそのタブーが破られた時に、新しい何かが見えてくるのではないかということです。言語化することは重要なのです。

そこで今回は、「チョン・リョウォン」1981年生まれ、40歳

 この女優さんは、日本では、あまり知名度は高くないかもしれません。
「わたしの名前はキム・サムソン」では、ヒョンビンが演じるジノンの元彼女であり、サムスンの恋敵ユ・ヒジン役を演じた女優というほうがわらりやすいでしょうか。

 チョン・リョウォンは、2017年KBS演技大賞で、最優秀演技賞を受賞しています。その賞のドラマがこれ「魔女の法廷」です。

 このドラマは、上昇志向満々の女性主人公が、上司のセクハラ事件を告発したことで、「女性・児童被害対策部」に異動、言ってみれば窓際に追いやられてしまいます。しかし、そこで、精神科医でありながら正義派の検事とタックを組み、性犯罪や児童虐待の事件を解決しながら、やがては大きな権力に立ち向かっていくという、痛快エンターテイメントです。(政治家がらみの性犯罪を警察トップが隠すというストーリーは、日本の「あの事件」を思い出させますが、それとは無関係です。念のため。)

 チョン・リョウォンは、このドラマで最優秀賞を受賞したわけですが、その受賞スピーチで、堂々と性犯罪の根絶を訴えました。このこと自体は、なんの問題もないばかりが、エンターテイメントの分野でも、社会問題に向き合う姿勢を示したのですから、褒められこそすれ・・・であります。

  しかし、このとき、KBS関係者は、「やっちまったな」と思ったことだと思います。案の定、翌日のSNSでは、彼女をたたえる賛辞が溢れていたそうですが、強姦で訴えられたスキャンダルのある俳優には、非難が集中したそうです。ある俳優が、女性からの訴えが取り下げられたので不起訴となり、復帰作となったドラマが大ヒット。この年のKBSを代表するドラマとなりました。その俳優は主演ではありませんが優秀賞も受賞しています。チョン・リョウォンのスピーチがあらためてこの事件を思い出させることになったのです。

 しかし、もちろん、彼女は、直接、その俳優のことを非難しているわけではないのです。だから、逆恨みされるのも、称賛されるのも困ったものだと思ったかもしれません。でも、このようなことは、会社のような組織でも、団体でも、どこでも起きうることだと思います。そのときは、空気を読まない、わきまえないという無言の批判が待っていることもわかっています。

 日本だって、「許さない。性暴力」って政府広報のポスターだってありそうですが、いつでもどこでもそれを言語化できるかというと・・・?
 ついついまわりを見渡して、同調圧力から、無難にやり過ごそうと思ってしまいがちです。

 そんな状況で、受賞式という晴れ舞台で、性暴力根絶を訴えたチョン・リョウォンの勇気は称えられるべきだと思います。


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