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生きづらさを抱えて


もちろんこの新人ホストが障害を抱えているかどうか分かりませんが、
片付けができず部屋がゴミ屋敷のようになっていたり、歯磨きなど身だしなみに無頓着だったり、何度注意されても改善しなかったりというのを見ていると、自閉症スペクトラム症(ASD)の文字が頭をよぎる。

新人ホストを思って、先輩ホストが辛抱強く指導した場合、おそらくではあるが、彼は「出る杭は打たれる。この先輩ホストは自分を妬み、貶めようとしている」と思い始める可能性が極めて高いと感じました。

そして、その後は非常に攻撃的になります。
「あの先輩ホストはカス!!」

やがて誰からも手を差し伸べられないどころか、
周りは敵だらけになるでしょう。

「そのコミュ力でこれからどうやって生きていくの?」

こんな質問を彼に投げかけていたが、残酷な質問である。

無理でしょう。福祉に頼るべきだと思います。

だが、それを彼に指摘したとしても、
「お前は俺を異常者扱いする気か? 俺を貶めてどういうつもりだ?」とブチ切れられるのは容易に想像できます。

彼の動画のコメント欄を見てみると、
「まともに勉強せず、理解力や語彙力など身につけないとこうなるんだな」

「こんな大人にならないように勉強頑張ろうと思えました」

「自分の息子がこんな風に育たなくてよかった」

いや、そうじゃなくて、もし彼が

発達障害、つまり生まれつきの脳機能の障害だったとしたら、そんなコメント書けますか?


正直私も精神疾患を患っていなければ、発達障害のことは気にも留めなかったと思います。しかし、精神疾患を患い、脳がまともに機能しなくなり、自分の名前や住所を書くのも苦しいということを経験して、ゾッとしました。
脳機能が正常に働かないというのは、これほど恐ろしいことなのか!?

それから私は発達障害についても独学で学習するようになりました。
精神疾患の場合でも、見た目元気そうとか、SNSをしたり出かけることができるんだとか言われることは多いと思います。

なんなんですかね…見た目元気そうって。
皆が皆、暗く沈んだ表情をしていると思っているんでしょうか。
ヤバいのは脳の状態なんですよ。酷い時は寝床から起きられず、指1本動かすのもしんどくなります。これは経験しないとなかなか分からないと思います。

「障害」「障がい」「障碍」と表記の違いはありますが、私は敢えて障害を使っています。

「障碍は個性」

そんな訳ないでしょう。綺麗事にしか聞こえない。当人からしたらただのハンデだし、本当に生きづらいと思います。


そして、発達障害の非常にやっかいなところは、
他人から障害と認識されづらいということです。

言動がおかしい奴、コミュ障、痛い人、空気の読めない人、
こんな風に捉えられ、避けられ、嫌われることもあるでしょう。

身体障害の場合は、手を差し伸べてもらえることは多いと思います。
少し前に寄付金着服で騒ぎになった24時間テレビに、よく障害者が出演するそうですが、出演するのは身体障害者であり、発達障害者ではないとのことです。まったく視聴していないので、人づてから聞いた話ですが。

発達障害と一口に言っても、「自閉症スペクトラム障害(ASD)」「注意欠如・多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」とあり、併発することもありますし、症状の程度も人それぞれなので、一概に言えないことは多々あります。


新人ホストの彼がどれに該当するのか、そもそも発達障害かどうなのかは私には分かりませんが、社会に適合していくのは相当難しいでしょうし、人と関わる仕事は不可能だと思います。

動画のコメント欄を見ても分かるように、誰からも好かれず、むしろ嫌悪や憐憫の対象として見られています。
もう福祉に頼るしかないと思いますが、きっと多くの人は「こんな奴に税金を使う必要はない!」と口にするでしょう。

でも「もしかしたら彼はなんらかの障害を抱えているのかもしれない」という視点は持ってほしいと私は思っています。

そして彼のような人たちを、「助ける必要なし」と切り捨てるような現在の日本の空気感は変わっていってほしいと願っています。


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