「金・金・愛」#2
第7話:初恋相手と大人の世界
実家暮らしになったことで、学生時代の友達とも会う機会が増えた。
友達から飲みに誘われる事も増え、楽しく昔話をすることができた。
いつも通り誘われて飲み会に行くと、初恋の子が席に着いて周りのみんなと呑んでいた。
ずっと片想いだったし、好きだったことは伝えていない。
周りも誰1人この事実を知るものはいない。
なぜ言わなかったというと自分が好きなことで彼女がイジられるのではないかという想いが7割、自分がイジられたくないという気持ちが3割だった。
意気地なしの自分は大人になった今でも誰にもいうことはなかった。
だから席に居るのを観た時は驚いたのだ。
ピュアな想いが当時のままフラッシュバックしてきた。
雰囲気や、話し方、声、相手の目をしっかり見て笑うところ、変わっていなくてうれしくなった。
変わっているところもあった。
昔の純朴な感じはなく、バッチリの上手な化粧。
酒が好きになったと言っていたが、少し醜いくらいムチムチしていた。
不摂生さが出ている太り方に見えた。
そして、今まで興味がないと言っていたブランドバックを自慢げに周りに見せていた。
大人の世界で女として舐められないようにしているのか、俺にはわからない出来事や思うことがあったのかな?辛かったのかな?
でも、自分は関係無いし、そんなことでとやかく言われたくないだろう、楽しく飲んでいるのだから。余計なことは言わないでいよう。
寂しくなった。その寂しさを飲み込むようにその夜は普段飲まない酒を飲んだ。
酒が進んだ。生きるってこんな思いを繰り返さないといけないのかなあ。
また、酒が進んだ。
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