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土佐市のカフェの騒動の件に思うこと

北兵庫、バーのある宿MATSUDAYA 松田屋の若旦那が、宿や地方のこと、マーケティングについてお話をするブログです。今回はTwitterで話題になってた土佐市の地域おこし協力隊の方が運営するカフェの騒動の件について、僕も似たような経験をつい最近したばかりだったので解説してみたいと思います。ちなみに騒動のざっくりとした内容はこちら。

https://twitter.com/takigare3/status/1656398160653348864?s=20

1. 田舎しか知らない人は田舎のことを何も知らない

こうやって田舎の人が田舎の感性では作ることができない店が無くなっていくのです。と僕がこの記事に対する感想を言うと、「田舎の感性は関係ないかな」、「田舎の感性ってなんだ?」「自身の目で見て言ってることなのか」とク◯リプが飛んできました(笑) Twitterっていう媒体を使う時は、ある程度読まれないと意味がないので、あえて極端な表現を使ったり、説明をわざと省いたりしているのでまぁ仕方ないと言えば仕方ないですが。

僕が言いたかったのは、見出しにあるように田舎から出たことがない人というのは、「外からどういう風に見られているか」客観的に自分達を見る機会があまりに少ないため、マーケットに求められていることを理解出来ない方が相対的に多い。また自分の趣味に走った店をやり採算が合わないようなことが散見される。そして一番指摘したかったのはこういう田舎の陰湿な文化が引き起こす〝観光〟という文脈における2次的な影響について述べています。

田舎で流行ってる店を見ると、「あぁ、あれぐらいの店なら作れそうだ」って思うでしょう。ところがどっこい、箱だけは似たようなものが作れても、都会からわざわざ集客をするような店はそう簡単には作れません。僕も都会で飲食店をプロデュースする会社で10年ほど働いた後に、地元の田舎にUターンし行政所有の建物で飲食店を開業し、9年間営業しましたが建物の激しい雨漏りや損壊を全く対応してもらえず閉店した経験があるので、今回のことはある程度リアリティを持って書いています。しかし、そこを掘り返すとどうしても感情的になってしまうので、その経緯や原因には触れず、ここではこれからのことを中心に述べたいと思います。

2. 飲食店は観光に欠かせないアセットである

飲食店は間違いなく観光において必要なアセットです。観光の三大消費装置は、「宿泊」「飲食」「物販」です。この3つのうち1つでも欠けると旅行の満足度が下がり、集客力が弱くなります。 全国各地に素敵なホテルや旅館がありますが、観光地として人気な所とそうでない場所がある。それは残り2つの要素の「飲食」と「物販」が充実していないからです。最も分かりやすい例はハワイですね。「宿泊」「飲食」「物販」が計画的に整備され、日本人も大好きな世界的観光地の一つになっています。
地域として「面で」観光客を増やしたいのなら、「宿泊」「飲食」「物販」の3要素がうまくバランスすることが必要で、どれが欠けてもダメなんですが、その辺の重要性が行政には分からないでしょうな。

3. 田舎での飲食店経営の難しさ

前にも言いましたが、飲食店は今や美味しい商品、心地よいサービス等は当たり前で、そんなことでは差別化できなくなってきています。 それでいて収益構造がかなりシビアなので売上や経費が予算数値から少しでもズレれるとすぐに利益率に直結して速攻赤字コースです。簡単そうに見えるので参入障壁が低いと感じられますが、それぐらい飲食店っていうのは難しいのです。 観光客がどんどん押し寄せるような地域でもない限り、飲食店というのはかなり厳しい戦いを強いられます。そうでもない地域で飲食店がやっていけているという場合は、かなり緻密なマーケティングとブランディングが必要です。そうでもない場合に飲食店が存続できている場合、特に自治体が絡んでいる場合は少なくない額の補助金が投入されていたりします。もちろん例外もありますが。

4.どんどん孤立する田舎

〝田舎の感性〟と言ったのは、もともと田舎の人間でやれるなのなら昔からやれてるはずで、人も呼べてるはずです。しかし、日本全国人が増えている地方自治体というのは本当に限られます。やれてないのは結局能力が足りないから。ってことを言いたかったのです。 人がそこでうまくやったら、自分も出来るように思うかもしれませんが、残念ながらそんなことはありません。 今回の件は氷山の一角でこうして都会の人達は田舎の陰湿で排他的な部分を垣間見て、しれっと来なくなり、田舎の人達は出て行ったきり帰ってこない。そうして田舎からどんどん人が減っていくのです。 人口減少ガーみたいな話を、議員や首長はことある度にしますが、こういうことを日常的にやっておきながら人口増やすのなんか無理に決まってるでしょという話。ギャグですか?
では今回はこの辺で。




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