見出し画像

メディア運営に大切な3つのこと

ヤンデル先生、こんにちは。
今回はちょっと渋いお話をさせてください。

▼前回の先生のおはなし

メディアの信頼性はどこから生まれるか

まず、結論から言いますと、ボランティアを前提にしたメディア運営は

ダメ絶対!

です。

画像1

SNSの利用と、医療者達が現時点ですでにボランティア精神を発揮している部分を利用することとを組み込んだとしたら、まてぃさんの描いている図はどのように変わる(あるいは変わらない)のでしょうか。
――どうせ妄想するなら石油王と友人になればいい Shin Ichihara/Dr. Yandel より

これ、できたら本当にいいなと思います。できるようにするには、少し環境を整える必要がありますので、やや話が逸れますが、環境づくりについて少しおつきあいください。

ここでまず確認したいのは、メディアがメディアたる所以です。私がメディア立ち上げの際に必ず考えるのは、3つの柱です。

 1.メディアの方針
 2.情報の信頼性担保
 3.安定した更新サイクル

上記が担保できない場合、メディアは成立しないと考えています。稀に力技で何とかする場合もありますが、大抵の場合、長続きしません。

メディアには例外なく「編集長」を置きます(社内の都合で編集長の肩書きを付けられない場合もあるので、その場合はプロデューサー、メディア担当者とかなんとか……)。

編集長は内外の異なる意見をいかに「メディアの方針」とすり合わせ、記事に「このメディアがこのテーマを選んだ理由」を暗示し、記事を通して読者に納得してもらえるかの役どころを担います(それと資金繰りですね)。そこがふわっとすると、編集部員から集まる記事もふわっとしますし、クライアントや部外者の圧力に屈して微妙な記事が上がることになり、媒体力が上がりません。

同時に、編集長をトップに据えたチェックフローを整え、情報の裏取りや、テーマの深度などに一定のクオリティが担保される仕組みを作ります。加えて、現状のリソース(制作スタッフ・資金・スケジュール)で週何本の記事配信ができるかを考え、年間計画を立案。

これで上記1~3のメディアの柱ができます。メディアのコンセプトに合った記事を決まったサイクルで作って公開し、毎日更新、あるいは毎週水曜更新などの安定運営を設計。「メディア」と呼べる状態と信頼性を構築するフローが整います。

ここで初めて、先生のおっしゃる「すでにボランティア精神を発揮している医療者たち」の善意を組み込む準備ができると考えます。

ボランティア中心でメディア運営ができない理由

メディアの信頼性は、クオリティ担保と定期的な運用によるものが大きいのですが、意外とここは見過ごされがちなんです。

自社メディアやクライアントのメディア運営をしていても、「更新スケジュールと内容確認は、できるときにできるメンバーがやります」と言われることもたまにありますが、そういうケースでクオリティの高さを保ちながら継続した例を私は見たことがありません。

医療者たちの善意による情報発信は非常に有益で素晴らしいし、ありがたい。ですが、それだけでは「定期的」運用とは残念ながら相容れません。

クオリティ担保と定期運用の責任をもつのが、前述の「編集長」です。この方(もしくは副編集長かデスク)が進行管理を行い、内容をチェックし、方針とずれていないかどうか目を光らせるからこそ、メディアの「らしさ」が磨かれていくのです。

編集長 + 善意の医療者投稿

だけでは、メディアの定期運用が叶いませんし、

定期運用 + 善意の医療者投稿

だけでも、クオリティ担保ができません。

編集長 + 定期運用 + 善意の医療者投稿

この3つが揃えば成立が可能です。

細かいことを言うと、定期運用の中にはサーバー管理やWebサイトのメンテナンス、問い合わせ対応なども含まれていて、こうした一見些末で見過ごされがちなことを途切れずに続けられることが、実はメディアの価値を下支えてしていたりします。

ですので、医療者の善意があろうとなかろうと、前回提示した図に変更が加えられることはないと言えます。ご期待に沿えず、申し訳ありません……。

画像2

メディアを作るためにかかるお金

お金って、具体的にどこにかかるんでしょう。サーバー代? UIを構築する費用? ていうか人件費? ぼくはそのあたりがよくわかりません。
――どうせ妄想するなら石油王と友人になればいい Shin Ichihara/Dr. Yandel より

ご推察のとおり、サーバー代も必要ですが、最たるものは人件費です。

・実現したいメディア全体の設計と実装
・組み込むシステムの設計と実装
(システムありの場合)
・上記をつなぐデザイン


……等々。ひとりが兼ねられる場合もありますし、それぞれ別の方が携わるケースもあります。加えて、それらの面々を統括して全体像を描き、クオリティ管理・進行管理等を行うPM(プロジェクトマネージャー)が立ちます。最初の“ハコ”を作るだけでも最低3~4人が関わることになります。

石油王にまるっとお力添えいただきたいですよねえ。

ちょっと視点をずらして妄想します

メディアを作るのが現実的でないとすれば、どんな形がいいかちょっと考えてみます。編集部みたいなものを持たず、仕組みだけで回るもので、理想に近いものは、「ソーシャルブックマーク」でしょうか。

もっとも有名なものは、「はてなブックマーク」です。

ユーザーがウェブブラウザで「ブックマークレット」を起動するか、ブログやニュースサイトなどに設置された「はてなブックマークボタン」を押すと、記事のURLがブックマークとして保存される。(中略)
特に人気の高いものは、はてなブックマークのトップページに「最近の人気エントリー」(ホッテントリ)として集められ、ニュースサイトとしても楽しむことも出来る。
――Wikipedia_はてなブックマークより 

現時点ではてなブックマークに医療カテゴリはありませんので、ここに追加していただくとか。あるいは、ソーシャルブックマークとは仕組みが異なりますが、twitterの「トレンド」枠に医療カテゴリを設けていただけるよう働きかけ、twitterで医療従事者がupする有益な記事リンクを紹介できるスキームを設けていただくとか。

妄想ですが。

(ソーシャルブックマークは続々とサービス終了していますので、新たに作るという選択肢はないと思います。その歴史>>

現実的な運用で考えると、医療従事者が「はてな」にユーザー登録して、ブックマークの作業をして……とかちょっと考えにくいのですよね。うーん、困ったな。

先生、どうしましょう。実現するには、お金かリソースの問題が常に立ちはだかります。実現できる足掛かりになるようなもの、何か思い浮かびますか?

(2021.1.13 まてぃさん→ヤンデル先生)

写真/渡邉真弓

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?