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北欧映画「ザ・トリップ」ネタバレ 解説

北の国から ー君たちはどう生きるかー

北欧、家具やジーンズなどで知られるオシャレな大地。
しかし北欧映画はオシャレなイメージとは程遠い。
独特のユーモアセンスは僕たちの度肝を抜く。
残酷さが笑いとして受け入れられる。
ハリウッド映画では人は簡単に死ぬ。
日本映画だとうめきながら死ぬ。
僕が好きな北欧映画では人は簡単に死なない。
死んでほしい奴は死なないし、もう楽にしてあげたい奴も死なない。
苦しみ続ける。「必死」って言葉がこれほど似合う映画もない。
君はどう生きるか?奴らは必死に生きてるぞ!

人類は不謹慎がお好き

昼ドラはこじれた人間関係を楽しむ番組。道徳も倫理もあったもんじゃない。荒唐無稽にすら思える。
でも一部で人気らしい。ノルウェーでもそうみたい。
ネットでも嘘くさい話が出回ってそれを好む人もいる。
ネットもテレビも人の醜聞を書く。ウケるから。
冒頭の昼ドラは「これから不謹慎するよ」って合図にも思える。
実際、夫婦喧嘩も醜いし、生命保険のやり取りも醜い。
でもホントの恐怖がやってくる。脱獄した殺人犯っていう不道徳の塊がやってくる。邪悪さが加速していく。
原題は「i onde dager」翻訳すると「邪悪な日々で」になる。
コテージまでの嫌味な言い争いがかわいく思えるくらい事態は醜悪になっていく。
でもなかなか死なない。この映画の凄いところは「普通ここで死ぬよね」で終わらない。殴られて気絶したらもう立ち上がらないとかそんなことはない。死ぬまで殺そうとしてくる。
殴られ、刺され、撃たれてもすぐには死なない。最後まで抵抗する。
みんな必死だ。なんでそんなに必死なんだろう?
もちろん生きたいからだけど何より幸せになりたいんじゃないだろうか?
今よりいい生活を誰も送りたい。だから悪いこともする。
みんな必死なら誰が勝つのか?

諦めない心

正直ジャンプとか何度もやられたから嫌いっちゃ嫌い。
特にかっこいい不屈さとかなんかシラケる。
でもこの映画は違う。生き汚い感じが凄い。
死ねない、死にたくない。
見開かれた目がそう訴える。
ダサくても、かっこ悪くても最後まであがくやつが生き残る。
漫画「バガボンド」にこんなセリフがあった。
「勝者のみの物語が語られる」
死んだらそれでおしまい。いいように話は作り変えられる。
映画「許されざる者」でも似たようなシーンがあった。
勝者とはかっこよく飾られるだけで実際は醜く無様な人間だと思う。
諦めなかっただけ。
そう思うとなんだかすべての不謹慎を許してしまいそうになる。
だたそうでもしないとこの世界では生き残れないのかもしれない。
人も殺せない僕の様な弱者ならなおさら。

備忘録

車内ので「こいつのこういうとこマジで嫌いだわ」みたいなやりとりが面白い。

1クローネ=13円、12万クローネが大金って言われたけどそうなの?おもった。これ2021年の映画だからコロナで物価高騰してそうだけどノルウェーってそんなに物価やすいのかな?多分訳間違いな気がする。

ナチス信者がアンネの日記を読んで笑ってるのが不謹慎。これがジャブ程度なのが怖い。ブラックジョークにもほどがある。

主人公はお気にのセーターを奪い返し、嫁も奪い返した。

効かない消火器、外すフレアガンカッコよさとはかけ離れてる。それが素敵だ。


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