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多様映画「デッドプール&ウルヴァリン」ネタバレ 考察
フリーター、店を構える。
中学の同級生が20歳位で飲食店をやりだした。彼はいわゆる落ちこぼれで、高校も中退してしまう。そんな彼が店を出したと言う話に皆は驚いた。
大方の予想に反して彼の店はコロナ禍においても続いてる。
憎まれっ子世に憚ると言われれば、ぐうの音も出ない。
落ちこぼれは成功しないと言うのは人の願望で、ルールでも真理でもない。
それを言ってるのは今、権力を握ってる奴だ。従うと損をする。
主人公はいつも冴えない。
この映画の監督ショーン・レヴィは「ナイト ミュージアム」が有名。
その他にもボンクラがGoogleに入社する「インターンシップ」や
ゲームのモブがプレイヤーに恋をする「フリーガイ」を撮ってる。
どれも冴えない男がいわゆる無理ゲーに挑戦する内容だ。
きっかけは日常からの離脱。
退屈な夜警、高級時計の販売、毎日同じコーヒーを飲み同じセリフを繰り返す。
そこから抜け出そうとするとルール違反の様に扱われる。
掟破りと言えばデッドプールの専売特許と言っていい。
ヒーローなのにブサイク。
再生するだけだからいつも敵に負ける。
お気にいりの仲間は小太りのおっさん、超能力もなし。
観客に話しかけるいわゆる「第四の壁」を越えてくる。
映画の内容も無茶苦茶だ。
クリス・エヴァンスがキャップじゃなくファンタスティック・フォーだし、追加の仲間は地味な奴だし、マルチバースからきた自分が敵。
「普通、こうなるよね」を無視する。
そんなので世界が救えるのか?と言うと、別に問題ないみたい。
お前のオールを任せるな。
TOKIOの「宙船」の歌詞。この前に「お前が消えて喜ぶ者に……」と歌う。
憎まれっ子は落ちこぼれるべき。
失敗したヒーローは堕落するべき。
凡人はつつましく生きるべき。
規格外は排除されるべき。
この手の話はあるべき世界が管理、予測しやすいって理由で言われる。
ナイトミュージアムでは先輩と館長が、
インターンシップでも上司が、
フリーガイならゲームの管理者が、彼らを逸脱させまいと管理したがる。
この映画ならTVAのパラドックスがそうだ。
自分が終わった世界を担当したくないからカットする。
マーベルの世界もそうだ。
地味なヒーロー、規格外のヴィランはまとめて「虚無」というゴミ箱に捨てる。その方が管理しやすいから。
ディスニーは表向き「多様性」を重んじてる。
でもやってる事はマルチバースネタをこすり、分かりやすく使いやすいヒーローでお茶を濁した作品の量産。※1
それがヒーロー映画疲れの一因になってる。
監督はインタビューで
「これまでのキャリアで私は口を閉じておくことを学習できたんだ。元々おしゃべりだからね。マーベル映画には絶対にそのスキルが必要なんだ」と語った。
これは守秘義務の話と会社の意向に逆らわないって話も含まれると思う。
真正面からディズニーを批判できればヒロイックだけど実際はそんな力はない。でもちゃんと「多様性」をテーマにしながらディズニーの「多様性」を批判している。
他のではこうも言ってた。
「観客がジョークやアクションを求めてるのは知ってるよ。でもこの映画はあり得ないふたりの友情による温かさでできてるんだ」
その温かさとは「虚無」に捨てられる様な人々への優しさだ。
この世界は国や会社、多数派って権力構造があって、それはイレギュラーを排除したがる。多様性と言いながら、あるがままは受け入れられない。
監督は違うけど、デッドプールはシリーズを通して一般的なヒーロー像からはみ出してる。
ミュータントなのにX-MENに入らない。※2
仲間の能力がぱっと見、ダサい。
今作に至ってはヒーローですらある必要がない。
今作でデッドプールの窮地を救うのはブサイク犬とピーターだ。
超能力もないただの犬と人。
なんだったらブサイクな犬と太ったおっさんだから、権力ヒエラルキーでは下の方にいる。
だって「見た目は重要じゃない」と言いながらヒーローは常にイケメンと美女ばかりだし。
クソ無責任なのは誰だ?
なぜか日本ではクソ無責任ヒーローと呼ばれるデッドプール。※3
でも実際、無責任なのはマーベルとこの世界だ。
だからデッドプールは「俺はマーベルの救世主だ!」と言い放ち、型破りに活躍し、美味しい所は犬とおっさんに落ちぶれたウルヴァリンに渡す。
はみ出し者に命を賭して守らせた世界で無責任な人々が生きるのも許さない。だから絶対に死ぬという設定の「物質と反物質のうんたらかんたら」も無視する。
僕達が冴えない奴で、嫌われ者でも、デッドプールはそんな僕らの「親愛なる隣人」だ。
無責任な世界にお前のオールを任せるな!
備忘録
※2
1はピザ屋が犯人。
娼婦と結婚。
ヒーローじゃないと言う。
冒頭が無駄にグロい。
2はファイアーフィストが「デブはヒーローになれないから諦めた」と言う。
ミュータントを異常とし治療と称し虐待してる奴が敵。
サノス役のジョシュ・ブローリンが味方になる。
一番好きなのはピーター。決めるのは運転手のドーピンダー。
※3
僕は逆に有言実行派で責任感あると思ってる。
1はグロシーン後に「これラブストーリーだから」と言って実際にそうだった。
2もグロシーンの後「これファミリームービーだから」と言って……
3ウルヴァリンは死なせないとか言って死なせない。
・1の冒頭で「愛のない世界は浮浪者がションベンのたまった靴でセックスしたような味がする」と言う。
愛のないとは異物を認めることを言ってるんだと思った。
繰り返しになるけど1と2は同じ監督。3は違う。
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