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映画「キャプテン・フィリップス」の感想 解説

現実は映画を越える。

2017年の2月、北朝鮮の金正男がマレーシアの空港で襲われた。
その後、死亡し、暗殺事件として話題になった。
この事件に対して確かビートたけしだったと思うが、
「映画越えてるよね。現実でこんなの起こったら(映画は)どうしようもないよ」
現実があまりに恐ろしく、ドラマチックだと映画は立場がないって事だろう。
で、この映画も現実に起こったソマリア海賊によるシージャック
「マースク・アラバマ号乗っ取り事件」を題材にしてる。
でも映画よりも現実の方が悲惨だったパターンのやつ。

海賊王になんてなりたくない。

映画は船長出向と海賊の出向がほぼ同時に描かれた。
海賊たちは日雇い労働者を雇うかのように決められる。
でもこれは犯罪であり命の危険が多分にある仕事だ。
若い子まで行きたがり、一人乗り込む。
映画では一人だけが若いと思われがちだが、現実は違った。
全員10代だった。青年というよりは少年だった。
15~18歳の少年が日々の暮らしのために海賊行為をして、結果殺されてしまう。
この残酷さは映画ではセリフで伝えられる。
後半フィリップスがリーダーに向かって
「漁師が海賊なんてしなくても他に手があるだろう?」と諭すが、
リーダーは
「アメリカならな」と返す。
フィリップス夫婦は港に向かう道中でこんな会話はしていた。
妻「今の世界の変化の速度についていけない」
夫「昔は真面目に働いていれば船長になれた」
夫「今は何でも’速さ’と’安さ’が求められてる」
速さを求めて、コンテナ船は危険な海域を運航する。
安さを求めて、乗組員の報酬は危険海域でも少ない。
現実では乗組員は乗船を拒否したり、保険会社は保険料を引き上げたりしている。
ツケは現場に回ってくる。
アメリカですらそうだ。
ソマリアならなおさらだ。
漁師とし真面目に働いても食えない。
海賊行為で600万ドル稼いでもほとんどは元締めに取られる。
そもそもこのコンテナ船はアフリカ難民の為の食料も多く積んでいたって皮肉。
海賊も船長も安さと速さに縛られた使い捨ての駒の様に思える。
これからがもっとそうなっていくのならやっぱり現実は映画よりも悲惨だ。

備忘録

冒頭の海賊船との騙し合い。「マジ?マジで海賊なの?」って緊張感が面白い。

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