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圧倒的な成果を出すブリッツスケーリング

進太郎さんのブログを読んで、メルカリで買って読んだこの本。ブリッツスケーリングという、スピード命の電撃戦について書いてあります。

急拡大する組織においてカルチャーを作りつづけることの重要性についても書いてあり、とても参考になったし自身のメルカリでの体験と重なる部分が多くあったので引用しつつ、自分の意見を書いてみました。

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【前提】
本の中では急拡大の変化をわかりやすく社員数で表現しています。

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バリューを効果的に浸透させるには

創業者も業界の大物も学者も、ほぼ全員が組織のカルチャーは重要だという意見で一致している。ブリッツスケーリングの旅に出ている間は、非効率でも許されることや、燃えるがままに放置できる火事がたくさんあるが、カルチャーを無視するという選択肢はない。
カルチャーが重要である理由は、具体的な指示やルールがないとき、あるいはルールが自分の限界に達したときに、どう行動するかを左右するからだ。

メルカリも、創業から1年でバリューを制定したのはこのため。村ステージまではなるべくルールを作らず、性善説に基づきバリューを軸に個人が考えて行動するようにしていました。地道なすり合わせが大事なので、MVP制度にGoBold賞などを設けて、表彰時にどんな行動がバリューに沿ってたかを説明することを大事にしていました。

一般に、こうしたカルチャーの功績は創業者に向けられることが多い。(中略)しかし、創業チームの個性は組織のカルチャーを決める重要な要因には違いないが、組織のカルチャーは創業者だけではなく、多くの人たちの行動に基づいて時間をかけて姿を現す。
ウェブサイトにバリューを書いただけでは、カルチャーにとって大事な役割は果たせない。役割を果たすのは戦略の一部として組み込まれたときだけだ。あなたや社員たちが(確かな証拠や具体的な詳細とともに)バリューについて話せるようにする必要がある。では、どうすれば自分たちの組織で強いカルチャーを育てられるのだろうか?最良のアプローチは、積極的に行動を起こさず自然にカルチャーが生まれてくるのを期待する方法と、あらかじめ包括的なカルチャーを定義しておく方法とのちょうど中間にあると私は考えている。前者は弱いカルチャーや会社のニーズに合わないカルチャーがつくられるリスクがある。後者は形式的で柔軟性に欠ける恐れがある。

これもメルカリのスタイルと似ているなと思います。さらに追加して言うと、「遊び心を入れる」「経営陣から積極的に使う」「引用する」の3つが方法論として大事だなと思います。
遊び心は、飲み会のシーンで使ったりバリューを使ってグッズを作ったりSlackのスタンプを作ったりしました。経営陣は、発表資料の最初と最後にバリューのスライドを入れて、必ず口に出しています。また評価制度や、会議室の名前にバリューを入れていろんな箇所で引用しています。

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計画的にカルチャーを伝える2つのカギ

ブリッツスケーリングを実行している会社では、組織が大きくなるにつれ、カルチャーが重要になっていく、そして、その維持はますます難しくなっていく。
Dropboxのドリュー・ハウストンは、カルチャーは自分たちでつくり直すものだと社員に徹底している。「社員たちにはこう言っている。『この中には先週入社したばかりの人もいるかもしれないが、遅かれ早かれ君たちもDropboxの古株になる。だから、今この場所で大好きなことを覚えておこう。今後もそれが続くようにするのは君たちの責任なのだから』」
計画的にカルチャーを伝えるカギは、コミュニケーションと人事管理の2つだ。コミュニケーションが重要なのは、創業者が全社員と直接つながれるからだ。これには正式な対面でのMTGやオンラインでのやりとりから、オフィスのレイアウトやデザインといった目立たないことまで、さまざまなやり方がある。(中略)「カルチャーで大切なのは、会社にとって本当に大切なことを何度でも繰り返すことだ」
カルチャーを醸成するもうひとつの要因は組織の人事管理方法だ。つまるところ、企業カルチャーに最も影響するのは、誰を採用し、昇進させ、クビにするかだ。
人も、プロダクトも、オフィスも、ブリッツスケーリングが進むにつれて変わるものであり、いずれ変わらなくてはならない。カルチャーは、船が自らのアイデンティティの本質を残すことのできる数少ない要素のひとつだ。アップルがスティーブ・ジョブズがいなくなった後も「アップルらしさ」を維持できたのはカルチャーのおかげだ。組織カルチャーがこのブリッツスケーリングの時代にこれほど注目されるのは、急速な成長と変化のあるときのほうが、安定と停滞のときよりもいっそうカルチャーが重要になるからだ。カルチャーを進化させているときは、紙一重の境界線上を進んでいかなくてはならない。進化が遅すぎれば、新しいビジネスと自分を取り巻く世界の変化についていけない。進化が速すぎればテセウスの船の錯覚は消え、人びとは自分がチームの一員だという感覚を失う。オランダの歴史家、ヨハン・ホイジンガはこう言った。「カルチャーを残したければ、つくり続けるしかない」
採用プロセスにカルチャーを組み込むと、意図的に人を排除するので、行き過ぎて組織が同じような人ばかりにならないように注意する必要がある。(中略)自分達のカルチャーに表面的(性別・人種・出身校)に「適合」している人を雇うのではなく、カルチャーの活力剤になるような人を雇うべきだ。

多様性の欠如とカルチャーの罠についても言及されていたのでメモ。

多様性を確保する方法
・社員の人口動態を調べ、その情報を社内外に公開する
・上級職を採用する際、少なくともひとりのマイノリティの候補と面接する(必ずしも雇わなくてよい)
・幹部報酬の少なくとも一部を、多様性に関する会社目標の達成度と連動させる

社員の人口動態はGAFAも積極的に公開してますね。女性エンパワーメントの一貫でレポートを経営陣に提出したときは、とても参考にさせてもらいました

社内コミュニケーションを放送型へ

ブリッツスケーリングの過程で大きく変わるのが、社内コミュニケーションの方法だ。会社が成長するにつれて、非公式の個人的な対話から、公式、電子的、プッシュ型、プル型といった特徴をもつコミュニケーションに変えなくてはならない。また、全情報を共有していた習慣を変えて、秘密の情報と共有してよい情報とを分ける必要がある。

メルカリでも、あるときから情報共有に関して大きく方向転換したことがありました。具体的には、「積極的に自分の仕事以外にも視野を広げよう」と言ってた時期から「自分の仕事に集中しよう」と言ったメッセージで、少しハレーションがあったのも事実ですが、会社が国家ステージになるには必要な出来事だったんだなと今になっては思いますね。

部族ステージ(〜99人)での最高のミーティングでは、社員同士が仕事だけでなく、人間として互いを知るための時間が取られる。たとえば、全社MTGの中に社員が自己PRのプレゼンをする時間あった。こうして、全員が「新入り」のことを、ありきたりの歓迎メールよりはるかに深く知ることができた。

私が入社したときも全社員の前で自己紹介やってました。私の前に自己紹介したのが、最近Yappliの社外監査役に就任したAnriさんだったのは今でも忘れません。当時は誕生日もみんなの前で1年の抱負語ったりしてました。

会社が村ステージ(〜1000人)に成長すると、全社会議の開催が物理的に難しくなることがある。(中略)社員を集めるミーティングの頻度を月に一度か四半期に一度に減らし、ビデオ会議などのテクノロジーを生かして複数のオフィスをつなぐほうがいい。全社員がビデオ会議を利用すれば、遠方の社員が本社の社員より対人関係で不利にならないという興味深いアプローチもある。

このアプローチは面白いですね。ちょうど今WFHで全員オンラインで実施できているから、この流れは続くかもしれません。

Airbnbのブライアン・チェスキーは毎週日曜日の夜、全社員に長いメールを送りこの問題に取り組んでいる。チェスキーのメールは、単なる実績データの羅列ではない。そんなものはどこかのダッシュボードで簡単に見れる。代わりにチェスキーは、会社にとって重要だと自分が考えていることを共有する。この放送型コミュニケーションの長さ、具体性、そして信憑性が、Airbnb社員一人ひとりに、チェスキーの人となりや重要なものを伝えた。

以前US CEOだったRyoさんが、定期的に上記のようなメールを送ってきてくれていて、とても心に響いていたのを思い出します。今でも進太郎さんやJohnは大きなイベントや年初にSlackで全社メッセージを送ってくれます。一部内容を変えて社外にも発信しています。

個人的には、どんな手段を用いるかは大事だと思っています。Ryoさんのメッセージが響いたのも、超Slack文化なメルカリで普段使わないメールで送られてきていたことが理由かなと。上場時に進太郎さんからの社内メッセージも、物理的に遺せるように手紙にこだわり、席についたら置いてある仕掛けを提案したのもその理由です。

私が産休に入る直前では、経営陣のカルチャーに対する思いをPodcastにして社内公開したりしました。

書き留めるのが億劫なら、録音して定期的にボイスメールかビデオを送ってもいい。こうした同報コミュニケーションは、CEOが各地のオフィスを訪ねたときや、新入社員との朝食会のQ&Aセッションなど小規模な1対多のイベントで補足できる。電子的なコミュニケーションは定期的な接触には向いているが、顔をあわせての対話も心に深く響く関係をつくれるので重要だ。リード・ヘイスティングスはこの要件を満たすためにそもそも自分の部屋を持たず、ネットフリックスのホールと会議室をうろうろしている。

以上です。よかったらスキお願いします :)

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以下自分用のメモなのでそっとおしておいてください

マネジメントのイノベーションにおける8つのキーポイントと9つの法則

1.小さなチームから大きなチームへ
2.ゼネラリストからスペシャリストへ
3.担当者からマネジャー、そして幹部へ
4.対話型から放送型へ
5.データに対するインスピレーション
6.シングルフォーカスからマルチスレッドへ
7.海賊から海軍へ
8.自分自身をスケーリングするー創業者からリーダーへ
→権限移譲、拡大、自分を磨く

直感に反する9つの法則

1.カオスを受け入れる
2.役に立つ人ではなく、たった今役に立つ人を雇う
3.「悪い」マネジメントを容認する
4.恥ずかしいプロダクトを公開せよ
5.火は燃えるがままにせよ
6.スケールしないことをしよう(その場限りの仕事)
7.顧客を無視せよ
8.資金はあり余るほど調達せよ
9.カルチャーを進化させろ

Airbnb→週一度の全社メッセージ、実際に貸し出されている部屋をなぞった会議室
Amazon→パワポ禁止で、紙のメモを配って会議の最初にみんなで読む 
ピクサーのビル(スティーブ・ジョブズ)→ピクサーすべてがカフェとメールボックスをのあるロビーに通じるように設計して、しょっちゅう出会えるようにした。協力的で誰でも受け入れるカルチャーを促進した

サポート頂いた方のことをを思いながら、大好きなアイスクリームを食べます。ハーゲンダッツのストロベリーが好きです。