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お母さんの読書感想文「ポストコロナ期を生きるきみたちへ」

ポストコロナ期を生きるきみたちへ
内田 樹 編
晶文社
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年代別の著者が、中高生に向けて書いたエッセイをまとめた本、というコンセプトがおもしろいと思った。


まだ現在進行形でコロナ禍を生きている私たちは、ポストコロナの時代をどう生きていけばよいのか、考えるための材料を提示してくれている。


どうしていいのか分からないのは子どもたちばかりでなく、いい年をした大人も同じだ。


とはいえ、難しい理論や文章だと、自分で考えてみようという気になる前に、それに触れることを諦めてしまう私のような凡人には、若者向けにということで書かれた本書はありがたい。


政治家や専門家は、日本の経済の成長は続いてると言っていて、なんとなく、このままの日常が続くだろうと思っていた。


人口減少が進んで、労働者が減ることや、高齢者が増えて社会保障の比重が大きくなることも明らかだが、それでもきっとなんとかなるんだろうなと漠然と思っていた。


社会が変化していることが、どこか他人事で、大変なことは世界のどこかで誰かが対応してくれるだろうと思っていた。


完全に他人任せで、当事者意識はない。


わかってはいたが見ないようにしていたそうした意識に、ちゃんと向き合いなさいとせっつかれてるような気がした。


本書に原稿を寄せている多くの著者は、これからは正解のない問題や課題をどうやって解決していくのかを考える力が必要になると述べている。


私もその通りだと思う。


「感染予防か経済か」の二項対立のようなどちらかを選択する問いでは、意見が極端になりがちだ。


どちらも大事で、どちらかだけが大事というわけではない。


もっと大きな視点で考えて、どちらもやっていかなければならないだろう。


だから、一部を切り取った情報や、片方だけに偏った情報を鵜呑みにするのではなく、複数の視点を持てるようにさまざまな情報に触れたいと思う。


今起きていることには、必ず背景があり、そこに至る歴史がある。


それを知ることも、課題解決には必要なことだ。


その上で、自分も当事者としてどうしたらいいかと考えたい。

2021年2月18日


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