“視覚的に”情報を伝えていく重要性
フリーライターとして独立してからは「どうやってライティングスキルを習得したんですか?」と聞かれることが結構多いのだが、大前提、僕は完全感覚型・実践型の人間なので、スキルアップの方法に関しては明確に説明することが困難だったりする。
編集者やディレクターからノウハウを教えてもらったこともなければ、プロライターの講習を受けたこともなければ、本を読んで勉強したことすら一度もない。ただただ目の前にある案件をこなしていって実績を積んでいっただけで、シンプルに「効率」と「費用対効果」だけを意識しながら常日頃からスキルを磨いている。
そんな感覚派のクリエイターである僕が、どうやって他人にスキルを継承していくべきなのか。これに関してはここ半年ずっと考え続けていることではある。
他人にスキルを伝える難しさ
僕は会社員を5年ほど経験しているが、そもそも後輩社員のマネジメントをしたことがただの一度もない。
一番長く在籍していた旅行会社(3年弱)では、結果こそ残し続けていたものの、支店内で一番下っ端のまま退職したので、特にマネジメントをする機会をもらうことも一切なかった。
というか、そもそも自分のことで精一杯だから、本当は他人を管理する余裕などないというのが本心なのだが。
しかし今は、フリーランスになってから業務の内容にも余裕が出てきている現状。会社員時代と比較すると、随分と周りのことが見えるようになったものだ。
業務委託契約しているWEB広告代理店では移住した今でも週に2回ほど出社もさせてもらっているので、僕が社内にいるときは、社歴の浅い営業メンバーのテレマーケティング研修や最先端で取り入れた媒体(商品)の研修を実施することも往々にしてある。
ただ今までは、なかなか言葉に出しても自分の意図していることが伝わらない難しさを感じてモヤモヤとすることも多かった。「自分だったらこれで理解できるのに」と。
相手のタイプを理解した上で、伝える情報を“視覚的に”整理する
今月、営業部に新しいメンバーが中途で入社してきてくれた。
僕と同じ千葉ロッテのファンであり、僕と同じジャルジャルのファンでもある2歳下の男の子。法人営業の経験はないが、もともと通信キャリア販売の仕事をやっていて全国トップクラスの成績を収めたこともある優秀な子だ。
そんな彼に、「一目見ればアポがとれるトークスクリプト」を作成してテレアポ配属の初日から渡していたのだが、今までのメンバーと比較しても彼の吸収力が段違いなのは一目瞭然だった。多少の緊張はあるものの、何も言わずとも社内全体に通るような鮮明な声量・声質で架電を進めていた。
僕は直感的に、「この子は自分と同じ感覚派のタイプだ」と理解した。
要は、結果を出すための明確な“根拠”さえあれば疑問なく実行に移せる人材なのである。そして、実践を重ねるにつれて「なぜ●●を言うべきなのか」が徐々に分かってくるタイプでもある。
今回の場合は、僕が積み重ねてきた成功体験がふんだんに落とし込まれたトークスクリプトという“視覚的に”理解ができる材料があったからこそ、彼は自分の力でどうとでもすることができた。早速、配属3日目にして、初アポを含む3アポの獲得をしてみせた。
伝える側の「自分だったらこれで理解できるのに」は、ただの傲慢である。
言葉で伝えるのが難しいのであれば、相手の前提(タイプ)を理解した上で、“視覚的に”情報を伝えていくことも重要なのだ。
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