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TDLの三大マウンテン


今回の部員日記は、経済学部2年の松川雄大が担当させていただきます。


1年生の皆さん、入学おめでとうございます。そして入部を決めてくれたこと、とても感謝しています。部員減への歯止めがかからない中、男子部女子部あわせて17名もの新入生が入部してくれたことは、この1年間の広報活動 (※諸説) が報われた気がしてなによりです。


またこちら私的なことにはなりますが、新入部員が来たことの環境変化でiPhone率にも変動が起き、昨年度の96.9%から92.3%に低下しました。詳しくは以下のnoteをご参照ください。


ついに東京オリンピックの開会式が明日となりましたが、自分の住む神奈川県は緊急事態宣言を発出し、外出の自粛が呼びかけられています。

実はコロナが流行する前まで、年に5回くらいはTDL・TDSに足を運んでいましたが、2020年以降からは今まで一度も行けていません。そのためパレードやアトラクションなど、YouTubeに載っている動画を視聴して、その場の気分だけを一人で楽しむことが多々ありました(なかには撮影NGアトラクションも含まれていますが)。

今回の部員日記ですが、タイトルにもある通り東京ディズニーランドでは”三大マウンテン”と呼ばれているアトラクションについて、ディズニーによる凝ったストーリーや、細かいこだわりなどを紹介していけたらと思います。

最後までお付き合いいただければ幸いです。



●はじめに

三大マウンテン」とは、東京ディズニーランドにあるアトラクションの中で、”マウンテン”という名の付く3つの人気アトラクションのことを指しています。今回はその3つのアトラクションをその開業順に取り上げて、あまり知られていないようなストーリーだったり、ディズニーのこだわりなどを紹介しようと思います。



○スペースマウンテン

建物の高さ:38m(1位)・最高速度:時速48㎞(2位)

最初に「スペースマウンテン」です。ワールドバザールを出て右側を進んだトゥモローランド、三大マウンテンの中では一番入り口に近い場所にあります。このアトラクションはTDL開業とともに、1983年にオープンしました。


【ストーリー】

スペースマウンテンのストーリーは、ほとんどが待ち時間中のアナウンスで世界観がわかってしまうので、その通りということしか説明できません。要は、

スペースポートに到着した宇宙船に宇宙飛行士として乗船し、地球を出て宇宙空間を激しく駆け抜けたあと、また地球に戻ってくる

といったものです。


【内容】

まずこのアトラクションは、ディズニーのキャラクターが一切登場しないという珍しいポイントがあります。また、航空写真で見るとわかりやすいですが、三大マウンテンの中では最も小さい敷地面積なので、限られたスペース内でより長い距離を保とうと横方向の動き(カーブ)が多いアトラクションになっています。そのため、アトラクション内を暗くすることで周りを見えにくくし、本来の速さ以上に体感速度を高めているという工夫があります。


【こだわり】

あんまりなく、ただゲストを酔わせにきているという点です。



○ビッグサンダーマウンテン

建物の高さ:33m(2位)・最高速度:時速42㎞(3位)

つぎに「ビッグサンダーマウンテン」です。園内左側奥まで進んでたどりつくウエスタンランド内にあり、1983年の開業から4年後の1987年にオープンしました。


【ストーリー】

ビッグサンダーマウンテンのストーリーをアトラクションから汲み取ろうとしても、岩山に残った鉱山列車に乗る、というところまでしかわからないと思います。このアトラクションのストーリーは、

西部開拓時代(1840年代)のカリフォルニア州にあった岩山で、一人の男性が偶然金塊を掘りあてたことがきっかけとなり、たくさんの開拓者が山に押し寄せることになる。そんな金塊目当ての開拓者たちに対し、先住民たちは「この山には精霊や神々が宿っているため、このまま掘り続ければ彼らの逆鱗に触れて災いが起こる」と何度も警告をする。しかし開拓者たちは鉱山会社「ビッグサンダー・マイニングカンパニー」まで立ち上げ、より大規模な採掘を開始する。やがて金塊が減ってくると、開拓者たちは眠っているであろう金塊をさらに発掘しようと、ダイナマイトを使って山を爆破しようとした。すると、まるで神の怒りに触れたかのように無人の鉱山列車が暴走をはじめ、突然機械が故障するなど、次々と謎の怪奇現象が起こり始めた。次第に人々は山を去って行き、ビッグサンダーマウンテンは無人となった。

というものです。ゲストはこの無人の暴走列車(マイントレイン)に乗り込み、荒れ果てた鉱山を巡るといった設定になっています。


【内容】

このアトラクションの最高速度は42㎞と、見かけ脅しで三大マウンテンの中では最も遅い速度(スペースマウンテンよりも遅い)となっています。スペースマウンテンより上下の動きが多めといった印象です。そんなビッグサンダーマウンテンですが、回数的に左方向に多く曲がるため、右側の席に乗ると、スリルが大きく感じられるというポイントがあります。加えて、全部で15(3×5)列もの長めの編成となっているので、最後尾付近は坂を登り切る前に落下が始まることから、引っ張られやすく速度が増し、よりスリルを感じることができます。


【こだわり】

①まず、ビッグサンダーマウンテンの入り口には、大きなスチームトラクターが置いてあります。

普通であれば「でっかい作りモンが置いてあるな」くらいで通り越してしまいそうですが、これは作り物ではなく、世界で数台しかない貴重な年代物で、本物です。1898年にアメリカで製造され、石炭を動力源として実際に鉱山で走っていました。カリフォルニアのディズニーランドを作るとき、土地を売ってもらった地主に頼み込んで、断り続けられた結果、30年間その売却を断り続けたのを横で見てきた妻が夫に激怒したところ、夫は売却を決意・成立し、それが東京ディズニーランドに置かれることになった、という経緯があるのです。

②つぎに、ビッグサンダーマウンテンのエントランスの両脇には、サボテンが生えています。

これも「あ、質感の良い偽物だな」とスルーしてしまいそうですが、本物です。このサボテンは柱サボテンの一種、鬼面角という種類で、夏の夜になると白い花が咲きます。これからのシーズン、ぜひビッグサンダーマウンテンの両脇も気にして訪れてみてください。サボテンのてっぺんには隠れミッキーもあります。また Tokyo Disney Resort 公式アプリの地図も、夏の夜はサボテンに花が咲いているといった、細かい仕様にも注目です。

③そして、無人となってしまったビッグサンダーマウンテンには唯一住人が残っています(矛盾)。それは、「セドナ・サム」というこの鉱山の採掘監督です。

また隣でおとなしくしている犬は「ディガー」といい、採掘中の事故で生き埋めになったセドナを助けた愛犬でもあります。セドナとディガーは、謎の怪奇現象が起こってからは山を下り、そのふもとで静かに暮らしているという設定のため、ビッグサンダーマウンテンからは二人を見ることが出来ません。他のアトラクション(蒸気船マークトウェイン号・ウエスタンリバー鉄道・ビーバーブラザーズのカヌー体験)にて見ることが出来るので、豆知識として持っておくとネタになると思います。(マークトウェイン号のキャプテンも、ウエスタンリバー鉄道の車掌も、一切触れずにスルーするため)

④最後ですが、「スポンサーラウンジ」というものをご存知でしょうか。これはアトラクションのオフィシャルスポンサーである企業の職員やその家族、また取引先の顧客向けに設置された、マップにも載っていない非公開の施設です。TDLには計19のアトラクションでスポンサーラウンジが存在し、優先搭乗や休憩・オリジナルグッズなどを購入獲得出来るという特典があります。そのスポンサーラウンジから“優先搭乗”するための通路が、一般人のブログによって判明してしまっています。それは、列車が到着するホームにゲストが降りた際、ゲスト側から見ると、たった今下ってきた道の反対側に四角い木の枠のようなものが見えるのですが、これがスポンサーラウンジの出口になっているのです。写真手前の白い階段が、スポンサーラウンジと繋がっている通路になっているということです。



○スプラッシュマウンテン

建物の高さ:31m(3位)・最高速度:時速62㎞(1位)

最後に「スプラッシュマウンテン」です。このアトラクションはクリッターカントリー内にあり、三大マウンテンの中では一番入り口から遠い場所にあります。スプラッシュマウンテンはTDL開業から6年後、ビッグサンダーマウンテンのオープン翌々年の、1989年にオープンしました。


【ストーリー】

スプラッシュマウンテンのストーリーには原作があり、1880年の「リーマスおじさん」シリーズがもとになっています。このシリーズはアメリカ南部の農場が舞台で、黒人のリーマスおじさんと白人の少年ジョニーの心のふれあいを描いた物語となっているのですが、そのリーマスおじさんがジョニーに話したおとぎ話の1つが、スプラッシュマウンテンとなっています。この話を気に入ったウォルトが、タイトルを「南部の唄」として映画化したという流れになります。(「南部の唄」は黒人の歴史的背景による描写の違いから批判を受け、ディズニーとしては公開されなかった。アメリカのスプラッシュマウンテンは、この誤った歴史認識である「南部の唄」をもとにしたことが問題となり、別の物語へのストーリーに置き換えることが決定し、日本のスプラッシュマウンテンと中身が全然違うものになった。)

このアトラクションのストーリー、簡単に言ってしまえば、

うさぎどんが笑いの国を目指して家出をするが、いろいろあって結局自分の家が一番の笑いの国だった。(めでたし)

ということで完結しそうなのですが、その背景にはいくつか説明しないといけない点があります。

まず、笑いの国を目指し始めたのは、うさぎどんが本当にその国を探して見たかったわけではなく、前に”きつねどん”と”くまどん”に捕えられ、火あぶりにされて食べられそうになった際、逃げるためにとっさについた嘘からはじまったのでした。(詳しくは”この動画”をご覧ください)
またアトラクションのコース終盤で「いばらの茂みにだけは投げ込まないでくれ」と、きつねどんに捕まったうさぎどんが言ったのも、そこで自分が育ったからという”意図ある”セリフでした。

そして、スプラッシュマウンテンの「山」としてのストーリーは、

むかし「チカピンヒル」という山にたくさんの動物が住んでいたところ、クリッターカントリーで酒造を経営していたアライグマのラケッティが、密造酒の蒸留に失敗して爆発を起こしてしまい、その爆発でダムを決壊させ大洪水を引き起こしてしまった。大量の水がチカピンヒルの洞窟に流れこんであたり一面は水浸しになってしまい、洞窟の中には川ができ、大量の水が滝のように流れはじめた。その出来事以降、動物達はこの山のことを「スプラッシュマウンテン(水しぶきの山)」と呼ぶようになった。

といったものです。

なお、爆発を起こしたラケッティは改心し、酒を造るのを止めて、新しいお店を開きました。それがクリッターカントリー内・スプラッシュマウンテン横にある、「ラケッティのラクーンサルーン」というアイスやチュロスのお店になっている、という裏設定もあります。店名に”サルーン”という、”バー”という意味の文字が入っていますが、ラケッティはお酒を売らないことを決めたため、お酒も販売されていないとのことです。足を洗ったということですね、アライグマだけに。


【内容】

このアトラクションは、最高速度では三大マウンテンの最速となっているものの、最後の滝で落ちるところ以外は比較的ゆっくりと動くため、他のマウンテンのようなスリルはそこまでありません。ですが、合計4回の”落下”(定義による)があるので、下にストンと落ちる感覚が強いという点では、他のアトラクションにはない特徴をもっています。また他のスプラッシュマウンテン(アメリカ)との違いとして、夏冬で水量が違うという点があげられます。これは年中を通して平均気温が高いアメリカのディズニーとは異なり、日本の冬に多くの水しぶきを浴びせることがゲストにとってはよろしくないからという理由があります。またアメリカ版スプラッシュマウンテンのボートが縦1列で濡れやすく、日本のスプラッシュマウンテンは縦2列で濡れにくくなっているのも、ディズニーによる配慮の一つです。


【こだわり】

①ストーリーに被る話をすると、うさぎどんは笑いの国を目指して家出をし、自分の家が一番の笑いの国だった、ということを説明しましたが、これはアトラクション内にも、最初うさぎどんの家の前の看板に「Gone for good」と書かれており、最後にうさぎどんが登場する、家の部屋でくつろいでいる場面の奥には「Home sweet home」と記されていることからも、それを読み取ることが出来ます。

②最終落下時に右斜め前方からフラッシュがたかれ、カメラによる撮影がありますが、このフラッシュをたいているのは、この山に住む蛍のフィニアスという裏話(もはや表)があります。スプラッシュダウン・フォトにて写真を購入する際、そのお店の屋根にフィニアスの家を見ることが出来ます。

③最後の落下が終わった後、Zip-a-Dee-Doo-Dah の曲が聞こえていばらの茂みの中に流れ着いたとき、目の前に大きなショーボートが現れます。そこで、もともと「南部の唄」には登場していなかったニワトリのロボット(言い方は不適切)が多く揃って歌を歌っています。これはなぜかというと、いろいろあって、本国アメリカのディズニーランドでこのスプラッシュマウンテンを作る際、別のアトラクションで余ったロボットが勿体なさすぎて、大量に置いたところから、日本でもそのような演出になったという経緯があります。

④言われなければ気づかない隠れミッキーと、言われなくても気づく隠れミッキーがアトラクション内にあります。前者は、ライドが始まって洞窟に入るまえ、蜂の巣箱に群がる一番左下の蜂の模様が、ミッキーの模様になっています。後者は、洞窟内で小落下のあと天井にあるハチの巣の周りに、蜂がぐるぐる歌いながら回る場面があるのですが、その時の進行方向左手の赤いキノコの模様が、ミッキーの模様になっています。余裕があれば見つけてみてください。


●おわりに

ここまで紹介してきましたが、それぞれのアトラクションにみられるストーリーやこだわり、またしてや隠れミッキーなどの知識など、知るとその奥が深かったり、また話題のタネにもなるかと思います。ディズニーランドもリニューアルで新しいアトラクションが増えたりなど、日々進化しているので、そういった面でも様々な発見が見られると、より楽しめるのではないかと思います。とくに関東圏では、休日など遊びに行くことになると高確率でTDRがその選択肢にあがることになるので、これらの知識を持っておいて損はないと思います。

最後に、すでに知られていることかもしれませんが、「シングルライダー」というシステムを紹介しようと思います。シングルライダーとは、

人数の関係でアトラクションの乗り物にできた空席に、1人で利用するのゲストを優先的に案内するシステム

のことです。奇数グループなどでアトラクションに乗車した際、一つ席が余ってしまうことがあります。そこに優先的に座れるという、いわば相席システムのようなものです。”優先的に”ということから分かるように、普通の待ち時間よりも圧倒的に短い時間で乗ることが出来ます。乗り方は簡単で、「ファストパス」エントランスにいるキャストさんに、”シングルライダーで乗りたい”ということを伝えると、そのままファストパスレーンから案内され、さらにファストパスレーンとスタンバイレーンが合流するところからも、シングルライダー専用の通路を通され、そのまま一人でアトラクションに乗ることが出来ます。対応しているアトラクションは、TDLでは「ビッグサンダーマウンテン」と「スプラッシュマウンテン」の2つで、1~3時間待ちも容赦ないこれらのアトラクションも、ほんの10数分で乗ることが出来ます。現在のところ、シングルライダーは利用できない状態(コロナでの再開以降の措置)となっていますが、いつかこのシステムが復活したときには、ぜひ利用していただければと思います。


これを読んでくださった方がいつか、この場所を訪れた際にこれらの知識が役立っていただければ、厚かましくも満足です。



最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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