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従業員のお困りごと㉗

源(仮名)さんが働く会社は、グループ会社のシェアード業務を行う特例子会社です。

そこで働く北条(仮名)さんは、新聞記事等のPDF化、データ入力、チラシ等の印刷業務を担当しています。先輩とペアで仕事をしていましたが、コミュニケーションがうまく取ることができず、行き違いが原因でのミスが度々ありました。また、仕事の取り組みは受動的で指示がないと動こうとせず、報告や相談しないということが課題でした。

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源さんは、北条さんが業務内容を理解して自分から動き、報連相できるようになることを目標に掲げました。北条さんへの業務指示はあえて大まかにして、報告や相談をこまめにさせるようにしました。そうしたところ、以前に比べて相談してくる回数が多くなり、少しずつ能動的に動けるようになってきました。また、源さんからも頻繁に声掛けし、日々の何気ないやりとりの積み重ねから、北条さんのコミュニケーションスキルを上げることを意識しました。

また、その日の業務の振り返りと仕事の感想や相談したいことを日報に書いてもらうことにしましたが、北条さんは何を書けばいいかわからず、北条さんの内面を知ることができませんでした。そこで、サポーター支援員のアドバイスから、北条さんが気になったことや困ったことを記入する「気持ちの振り返り」と「苦手なものへの挑戦」の欄を設けて、書いてもらいたいことを明確にしました。

源さんは、日報をフィードバックする際に、業務上のアドバイスや励ましの言葉を多く書くように意識しました。1か月ほどすると、北条さんは自分の内面を上手く表現できるようになり、さらにコメント欄にも自分の考えを多く書くようになりました。

それでも、仕事のわからないことを相談することなく、自分の考えで勝手に進めてしまうことが散見されました。源さんは改善策を考えあぐねてしまいましたが、北条さんがゲーム好きであることを思い出し、「ゲームをするときにどう攻略していいかわからない場合に攻略本を見るよね。それと同じで、仕事でわからないことがあったら私に相談してね。」と伝えました。攻略本を見ることと相談して解決方法を教えてもらう、ということが北条さんの中でマッチしたようで、その後はきちんと相談できることが増えていきました。

ある日、日報に「業務中に焦ってしまうことがある」と北条さんがコメントしていたので、「急がなくていいよ。」と伝えたましたが、中々改善されませんでした。原因を探したところ、サポーター以外の人から仕事の指示があり、そちらに意識が向いてしまい「早くやらないと。」という感覚に陥ってしまっていることがわかりました。

そこで、源さんは、業務指示を付箋に書いて渡し、その業務が完了したら付箋と一緒に報告させ、次の業務を指示するようにしました。そうすると、北条さんは「今やるべき業務は何か」を付箋を見ることで明確に意識できるようになりました。北条さんは、視覚優位性があったのです。そうした北条さんには、付箋を使った業務指示はよい改善策だったようで、よりきちんと報告ができるようになりました。

北条さんの業務上のミスがなくなったわけではありませんが、日報で自分の考えや気持ちを伝えることや報連相も少しづつ身についてきました。また、業務に対して自信を持ちはじめ、覚えたことを忘れないようにこまめにメモを取るようにするなど、北条さんなりの努力を続けています。

節分


ORISOU社会保険労務士法人の長谷川です。わたしたちは、企業が抱える従業員のお困りごとに対して、積極的にサポートしていきます。また、育児・介護・病気と仕事の両立支援についても、企業を支えていけるよう職員全員でがんばっています!
*本文の内容は、行政機関で紹介している障害者雇用の事例集などを参考に  作成しています。




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