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「アジア最強」から世界の頂きへ バスケット女子日本代表の「ワールドカップ」

 かつてないほどの実力を備えている―。バスケットボール女子日本代表チームのことである。ここ数年、日本女子は非常に高い実力をつけ、国際大会で結果を出し続けてきた。筆者は以前の記事で「ワールドカップ」について男子日本代表の記事を書いたが、実はその「ワールドカップ」には女子の大会も存在する。男子は2019年開催なのでまだ少し先の話だが、女子は今年2018年9月22日からスペインで開催される。そこでの大いなる活躍が期待されるのが日本女子代表なのだ。

ダンクシュートや体のぶつかり合いなど男子の迫力あるプレーが印象的なバスケットだが、実はシュートの確率などでは女子が上回ることもよくあるし、女子の試合もエンターテイメント性が高く、非常に面白い。今回は女子日本代表チームに注目し、記事を投書き進めたい。

■日本代表の立ち位置
 先に実力があると述べたが女子日本代表どの程度のものなのか。まず、FIBA世界ランキング上では13位という高位置につけており、アジアではオーストラリア(4位)と中国(10位)に続く順位となっている。なお、13位という数字だけをみるとそれほど高いようには思えないかもしれないが、以前の記事でも紹介したように、FIBA(国際バスケットボール連盟)の加盟国・地域は213に上る。女子の競技人口も多いバスケットにおいて13位というのは相当に高い順位であることがお分かりいただけるかと思う。

さらに付け加えるならば、女子のこのランキングは2017年8月から更新されていないため、現時点での実力を正確に反映しているとは言い難く、筆者個人としては日本にはこのランキング以上の実力があると考えている。

■近年の輝かしい成果
 さて、そのような女子日本代表チームだが、ここ数年で最も印象に残っている活躍を振りかえると、なんといっても2016年のリオ五輪があげられる。この大会、日本女子はベスト8という結果を残した。結果だけみればメダルには手が届かなかったが、この大会、日本はベラルーシ(ランキング10位)、ブラジル(ランキング7位)、フランス(ランキング4位)など(※いずれも当時の世界ランキング)、並みいる強豪国を撃破し、さらには当時世界ランキング第2位のオーストラリアと互角の戦いを演じ(終盤まで日本優勢だった)、あとほんの少しで勝利するまで追い詰めた。まさに世界を驚かせるに十分な奮闘ぶりだった。

その勢いは五輪後もとどまることを知らず、2017年はアジアカップで3連覇を果たし(中国・オーストラリアも撃破)、「アジア最強」を内外に強く印象付けた。直近(2018年8月)の国際強化試合においても、世界ランク5位のカナダに主力不在の中で2連勝している

写真:吉田亜沙美
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160814-00000004-wordleafs-spo.view-000

写真:アジアカップ
http://www.fiba.basketball/womensasiacup/2017/news/japan-are-crowned-fiba-women-s-asia-cup-2017-champions

またアンダー世代の活躍も目を見張るものがあり、ユニバーシアードチームは2017年の世界大会で50年ぶりの準優勝を果たし、U19代表も2018年、史上最高位のベスト4に名を連ねた。A代表が世界で戦えることを証明し、下の世代の自信にまでつながっているかのようだ。日本女子バスケは今、まさに黄金期に突入しつつあると言っても過言ではない。

■チームを牽引するベテラン・成長著しい若手
 2016年のリオ五輪時はキャプテンでポイントガードの吉田と、WNBAに所属する渡嘉敷が大車輪の活躍をみせ、またそれに続く形で本川、栗原(現、藤高)などが主力として活躍していたが、ここ1~2年ではその吉田の後継者とされる藤岡が台頭してきた他、ここにきてシューターとして覚醒した感がある宮澤など、各ポジションで新戦力が台頭し、ベテランと切磋琢磨しながら補い合い、相乗効果を生んでいるように思われる。1人1人が成長し、チームに貢献しているのが明確にわかる状況だ。

■熾烈なポジション争い
 そのような状況下、選手層が厚くなってきた日本代表ではあるが、最もポジション争いが激しいのはポイントガードだろう。吉田を欠いている状況下でも、豊富なタレントが揃っている。町田、藤岡を筆頭に、三好、そして初選出ながらも先日のカナダ戦で奮闘した本橋など、それぞれが素晴らしい個性を持つプレイヤーたちだ。特に町田のゲームコントロールや藤岡の切れ味鋭いドライブ・パスなどは男子顔負けで、観ていて非常にワクワクするものがあり、必見である。

写真:藤岡麻菜美 https://basketballking.jp/news/japan/wnational/20170829/25607.html

藤岡選手のMIX動画
https://www.youtube.com/watch?v=o-y8sUsv1aM&t=30s

■「ワールドカップ」への期待
 以上で日本女子の現状を簡単におわかり頂いたかと思うが、正直なところ、「ワールドカップ」に向けては不安要素も存在する。これまで日本代表を牽引してきた吉田・渡嘉敷という2大エースが(おそらく)不在であることだ。実力・経験ともに日本を牽引してきたこの2人を欠くことは他の選手を欠くこととは意味合いが違う。また、貴重なインサイドのベテランである大崎も出場しない。これらがネガティブな要素であることは否定できない。

ベストメンバーで臨めないことは残念だが、それでも、これらのプレイヤーがいなくとも世界の強豪と戦える力があることは先のカナダ戦でも証明した。あとは、本番までどれだけチームとしての完成度を高めることができるか。「ワールドカップ」はすぐそこまで迫ってきている。強豪ひしめく世界だが、彼女たちが見据えるのはあくまでその頂きである。日本が世界トップの仲間入りをする日はそう遠くないはずだ。9月の「ワールドカップ」の開催を楽しみに待ちたい。

【参考】
トップ写真:
http://exhibition2018-women.japanbasketball.jp/wp-content/uploads/photo-gallery/180805_14.jpg
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/basketball/2016/08/22/___split_2/
http://akatsukifive.japanbasketball.jp/women/3202
http://akatsukifive.japanbasketball.jp/women/3138
http://www.xinhuanet.com/english/2017-07/30/c_136484184.htm
http://exhibition2018-women.japanbasketball.jp/photo/#
https://thepage.jp/detail/20160810-00000004-wordleafs
http://www.fiba.basketball/news/a-to-z-of-the-fiba-womens-asia-cup-2017


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