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傍観者としてのウクライナ反戦デモ

妻が札幌駅で行うウクライナ反戦デモを見に行きたいというので11時からのデモを見に行った。

「見に行った」というとあまりに傍観者的、他人事すぎという非難を受けそうだけれど、今日までの私は傍観者ですらなく、戦争が経済に与える影響を気にしたり、プーチンの理不尽な行為に対して嫌悪感を持ちつつも、具体的な行動としては、近くのスーパーで500円募金する程度の、ほぼ無関心に近い人間だった。

無関心者をいきなり反戦デモに参加させることは難しい。傍観者となってもらうことがまず第一歩なのだと思う。傍観者は英語ではBystanderという。まさに札幌駅の反戦デモのそばに立って見ている私のことだ。今日の札幌の日中の気温は1℃で雪もちらつく天候。1時間見ていたが厚着をしていても完全に凍えてしまった。キエフはさらに寒く、今も何時間でもそこで戦う人たち、家を破壊されて逃げ惑う子供たちがいる。

反戦デモの脇を通り抜ける、街を行き交う大多数の通りすがりの人たちが立ち止まるようになることが、世界を変える一歩となる。

反戦デモと言うとイデオロギー的な違和感を感じて生理的に受け付けない人も少なくないと思う。批判を恐れつつ、正直に言わせてもらえば私もその一人だ。中国共産党が台湾に侵攻した時に、今日デモに参加している人たちのうち何人が、同じ行動をとるのか。イデオロギーではなく反戦、命の大切さを心から願う人たちであれば、同じ行動をとると私は信じたい。

私の妻はテレビもネットもほとんど見ない。必要な情報は実際にその場に行って生の情報を得ようとする。今回の反戦デモもそうだ。純粋過ぎる彼女を守ることも私の人生の大切な役目だ。


複雑な感情を持ちながらも、デモに参加してスピーチをしていた皆さんの言葉には心を動かされた。事実として以下にスピーチの概要を記述する。

・ウクライナ人と父親と日本人の母親を持つ若者。ヘイトスピーチだと思ったら止めてほしいと言いながらプーチンに対する思いを非常に強い言葉で訴えかける。

・日本語を話せない在日ウクライナ人の男性。通訳を介してスピーチする。12歳の妹がマリウポリで爆撃を受け、怪我無く避難できたけれど、夜中に爆撃の悪夢をみて目が覚め、全く眠れない日々が続いている。

・ベラルーシ人の女性。トップ写真の通り、ベラルーシ反体制派の旗(白ー赤ー白)を掲げてスピーチ。日本全国の反戦デモに参加しているけれど、札幌のデモはスピーチができるので毎週参加しているとのこと。ベラルーシでは親ロシア派の独裁者、ルカシェンコ大統領が25年以上、独裁的な国家運営を行っており、反体制デモを弾圧し続けている。ベラルーシ全土にロシア軍が駐留し、実質占領状態だと訴える。

日本人も何人もスピーチしていたけれど、私には当事者として心から反戦を願う、ウクライナに直接的に関係する人たちの言葉が特に心に響いた。実際にその場に行って直接聞くことで感じるもの。心から平和を願う人たち。自分の小さな妹が今まさに命の危機にある。これが戦争なんだ。

スピーチを聞いている間ずっと、自分に何ができるのか考えていた。何も答えは出ていないけれど、自分が何かを感じたことを伝えることは、私が今できることの一つだろうと思う。今起きている戦争について自分の周りの人たちと話すこと。noteに書くこと。

それがどれほど小さなことでも、一人でも無関心な人が傍観者となり、傍観者が行動を起こすきっかけになるかもしれないと思って、迷ったけれどnoteの記事に書いた。

自分に今何ができるのか、考えていきたい。



【2022.3.21追加】
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