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めんどくさいの中に愛が

私は生粋きっすいのめんどくさがり屋だ。

自分が普段やっているすべてのことに心の中で「めんどくせー」と思って生きている。先日帰省した時に見た中学2年生の時の文集では、クラスメートが自分のページをびっしり埋めているのに、自分のページには一言「私はめんどくさがり屋さんです」とだけ書いてあった。

そのくらいめんどくさがり屋なのだけれど、めんどくさがり屋なのと、めんどくさいことをやるかやらないかは実はあまり関係がない気がしている。

私は自分の人生におこるほとんどすべてのことをめんどくさいと思っているけれど、だからそれをやらない、と言うわけでもない。心の底からめんどくさいと思いながらも気が付くとなぜかそれをコツコツとやっている自分がいる。

職場では一応50人のメンバーがいるプロジェクトのマネジャーでそれなりに忙しいのだけれど、職場ではめんどくさくて誰もやりたがらないようなことが結構ある。

先日も職場のスタッフが増えて靴の置き場がないということで、靴置き場の増設を計画した。プロジェクト立ち上げ時に最大50人のスタッフになることが分かっていたのでその分の靴箱を準備していたのだけれど、プロジェクトのスタート時は20人そこそこしかいなかったので、みんなゆとりのある靴箱を自由に使っていた。誰のだかわからない靴があちこちに入っていて、一人でいくつも使っていそうな人もいる。そして冬になると女性陣はブーツを履いてくる。ブーツが靴箱に入らない。靴置き場は手狭で単純に靴箱を増やす余裕もない。若手や女性スタッフから靴を置く場所がないという話が遠巻きに聴こえてくるのだけれど、そんな生産性に関係ない仕事は誰もやろうとしないしやりたくない。

私は一応(?)プロジェクトのマネジャーなのだから担当者を決めて「いついつまでにメンバーの要望を確認して靴置き場を増設してね」と指示すれば終わりなのだろうし、多くのマネジャーはそうしていると思う。

そんな誰が考えてもやりたくない仕事、めんどくさくてメンバーの意見調整が必要な仕事。そういう、誰もがやりたくなくて、意見の調整が必要な仕事は、上の人間がある程度先導してパッときめて進めてしまうのが結果として一番手っ取り早いということを、私は経験上知っている。だれがやっても「こうしてほしかった」不満が出る仕事、やる人にとっても徒労感があり、めんどくさい上に達成感もない仕事。

そんな仕事を私は「めんどくせー」と心の中で思いながらも黙々と取り組んでいる。靴箱の写真を撮り、「この靴は誰の靴ですか?靴箱が足りないので一人2か所以上つかわないでね。靴箱にテプラでなまえをつけてね。」とか社内チャットでメンバーに送る。それこそメンバーからは「このくそ忙しいときにこの人なにやってんの?暇なの?」と思われているかもしれない。一応色々ほかにもめんどうな仕事を抱えていて(仕事は面倒なことばかり)、靴箱なんてどうでもいいと思っているのだけれど、誰かがやらなくてはいけなくて、誰もやりたくないなら自分でやることにしている。

そんなめんどくさい仕事をやるメリットもなくはない。
一つは私が自らやることで、チームの中にめんどうな仕事を若手や事務の女性に押し付けるという雰囲気がなくなること。このまえも今月から合流したスタッフのネームプレートを自分で取り換えていたら、「マネジャー自らそんなことやらないでください」と部下に言われた。彼は知らないと思うけれど、私はそのネームプレートを直接自分でサイン業者に発注している。新しく合流する社員の名前を社内の名簿で調べると入社年や前の所属もわかる。

誰かがやらなければいけないめんどうな仕事は、めんどうでも自分でやってしまうのが私の癖だ。めんどくさがり屋は、その仕事が面倒だということを知っている。めんどくさがり屋じゃない上司は、それを頼まれた部下がその仕事をやるだめにどれだけ面倒な思いをするかを想像できていないと私は思う。めんどくさがり屋の私は、そんな面倒なことを人に頼むということが申し訳なくて、結局自分でやってしまうのだ。

マネジャーがそういう面倒な仕事をやるメリットがもう一つ。
「あの仕事どうなってるの?」と思い付きで部下に報告をもとめて部下の仕事を止める時間が減ることだ。部下にあれこれと報連相ホウレンソウを求める上司ほど面倒で生産性を落とす存在はいないと私は思っている。メンバーがいつでも相談できる雰囲気や環境をつくっておいて、マネジャーからはできる限り質問しない。自分が部下ならそんな環境が一番生産性が上がるとわかるはずなのに、上の立場になるとほとんどの人たちがそんな当たり前のことを忘れてしまう。上の人間が暇そうに靴置き場のレイアウトを考えていたり、新入りのネームプレートを交換しているくらいの雰囲気が働くにはちょうどいいと私はおもうのだけれど、私がゆるすぎるのだろうか(それは全く否定しないが)。

そんなことを考えていたら、とあるプロフェッショナルの何気ない言葉に感銘をうけたので、著作権無視で張り付け。


私も心から、そう思う。

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