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【イベントレポート】「能登のワイルド」 祭の力で人と町を元気に 〜これからの共助のかたちを考えよう〜

2024年1月1日、能登半島を大きな地震が襲いました。
人的被害や建物の倒壊、隆起など数多くの被害が発生し、能登の方々の暮らしの有様を大きく変えてしまいました。しかし、そのような困難な状況に立ち向かい、能登の復興に向け活動している方々がいます。
今回は、能登町の祭や風土を映像・写真で紹介する「能登のワイルド」の辻野さんをゲストに迎えて開催した「祭の力で人と町を元気に〜これからの共助のかたちを考えよう〜」についてご紹介します。
(参考:NOTONOWILD 能登ワイルド

イベント概要
祭の力で人と町を元気に 〜これからの共助のかたちを考えよう〜
開催日時:2024年5月31日 19:00~21:00
開催場所:3x3 Lab Future  東京都千代田区大手町
参加者数:50名

プログラム
1. 写真と映像で能登の祭と風土を知る(ゲストトーク)
2. 能登の今を理解する座談会
3. 能登のお酒と肴で語り合おう(交流会)


1.ゲストトーク

はじめにゲストスピーカーである能登のワイルド代表の辻野 実さんからお話がありました。辻野さんは能登町出身の方で、2007年の能登半島沖地震を機に石川に戻り、現在は地元能登町で活動されています。
2016年には、能登町の祭りや風土を映像・写真で紹介する「能登のワイルド」プロジェクトを立ち上げ、様々なイベントなどを企画しています。今回のイベントでは能登に抱いている想いを打ち明けてくださいました。

能登のワイルド代表 辻野さんによるゲストトーク

辻野さんは、甚大な被害によって震災以前より進んでいた過疎問題がより加速して進行しつつあると指摘しました。辻野さんは能登町が消滅可能性都市に認定されてから、過疎対策の活動をされてきました。辻野さんは「過疎=地域に対して誇りを失った状態」であると仮定して、地域をかっこよく打ち出して誇りを持てるようになれば、過疎問題の解決につながるのではないかという仮説を立てました。そのような中、何かカッコよく表現するものがないかなと探していた時、「あばれ祭」を思い浮かべたそうです!
祭りを新しい形でアウトプットして見せることで何か変化を起こすことができないかとして始めた活動が能登のワイルドです!

そして、あばれ祭の「あばれ」の部分についてお話されました。あばれ祭とは、京都の八坂神社から「素戔嗚尊・暴れ神」を迎えるお祭であり、暴れれば暴れるほど神様が喜ぶということになっているそうです。そのため、神輿を逆さにしたり痛めつけるそうです。辻野さんは「僕たちのモチベーションは地震で壊れた道を直して、その直した道を祭でもう一回壊すのというのことなのかもしれません(笑)」とお話されました


2.能登の今を理解する座談会
あばれ祭の神輿を担ぐ際のかけ声である「チョーサ!」で乾杯し、食事会が始まったところで、辻野さんとマツリズム代表の大原の座談会に入っていきました。

辻野さんとマツリズム代表大原との座談会

座談会の中では、能登のワイルドの活動経緯や復興における過疎問題から始まり、お祭りの意味など様々な話題についてお話が進んでいきました。
事例として能登町の行事である「いどり祭(地区代表が大きい1.2mぐらいの餅を作り、餅の出来栄えを見せ合って難くせをつけ合うお祭り。)」のお話など興味深いお話が展開されました。

辻野さんはお話の中で「能登の祭の魅力は、やその土地のコミュニティそのものだと思う」とお話されました。「悲惨な震災が起きたというのに、みんながしっかり意識を一緒にして繋がったというのは祭りがあるから。年に一回、町内ごとで「今年はキリコをどうする?」という話し合いをやってたから、情報が回るのも早くなる。コミュニケーションやコミュニティをずっと何百年も前から守り続けてるっていうことがすごく魅力なのかなと思ってます。何かあった時にめっちゃ強いです」とお話されました。
自分の町内で知らない顔の人はいないと言っても過言ではなく、このようなコミュニティの強さが迅速な避難に繋がるようです。

座談会終了後は、参加者の質問会へと移っていきました。
参加者の皆さんからは、東日本大震災の復興の過程と能登の復興のつながりであったり、今年開催される能登のお祭りに訪れて良いのかなどの興味深い質問が上がりました。
辻野さんは「外から能登に来てもらう」ことに対して、「歓迎する」と仰っていました。ご飯を食べに行くのでも良い、地震による影響を見てみるのでも良いと思います。現在の能登に訪れてみては、いかがでしょうか。


3.交流会
座談会終了後は参加者同士の交流会の時間になりました。
20分ほどの短い時間でありましたが、能登のお酒と肴を嗜みながら、皆さん楽しい交流をされていました。

能登のワイルドオリジナルの枡に注がれた日本酒「竹葉」と能登の食材を使った料理

最後に代表の大原から挨拶がありました。
「マツリズムは活動の80%くらいを能登復興の活動にコミットしています。「祭りの力で人と町を元気に」は「今」だと思っているので、色々な人に手伝っていただきながら活動しています。マツリズムということで、お祭りの観点から活動していくというところで、色々なプロジェクトが立ち上がって行くし、これからも立ち上げたいと思っています。能登の祭って本当に生きる歓びそのものだと思ってます。もし、あばれ祭がなくなってしまうとしたら、子供に何を見せるんだろうと、悲しく感じると思います。だから、この松明の灯というのは、みんなでエネルギーを集めて灯し続けるべきだと、思っています。なので、何か気持ちがあれば、ぜひ今後も長いかたちで関わってもらっていただければと思っています。」

マツリズムは、「祭りの力で人と町を元気に」というモットーを掲げて活動しています。お祭り王国・能登で生活してきた皆さんに、祭りでエールを届けて能登の地域を明るく灯すことが出来ると信じ、これからもは能登半島の復興支援を継続したいと思っております。

登壇してくださったゲストの辻野さん、お忙しい中ご来場いただいた参加者の皆さま、ありがとうございました。


マツリズム インターン生
秋田大学 船木楓大


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