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20230529 祭の授業

 祭と教育に関する私の基本的なスタンスは,「課外活動としての祭の中で学校では体験できない学び,主に社会性の発達に関する学びが行われる」のを検討したいと思っています。そのため,通常の学校でカリキュラムに基づいて行われる教科に関する授業にはあまり関心がなく,祭の場において起きる正統的周辺参加による学習の方の関心が高いです。
 
 しかし,例えば小学校学習指導要領第2章第2節社会で学習内容として「イ 地域の人々が受け継いできた文化財や年中行事」が取り上げられているなどの影響か,近年祭を題材とした授業の指導案などをみかけることも増えたので,学校の中での祭の授業についても調べてまとめてみたいなあという野望があったところにみつけたのが以下の論文でした。
服部一秀・細入はるか・王 瀝彬 (2014). 現代社会における過去の取り扱いを探究する中学校歴史授業 : 「信玄公祭り」 教育実践学研究(山梨大学教育人間科学部附属教育実践総合センター研究紀要), 19, 67 – 78.

 
 山梨県,とりわけ甲府市の中学生を対象に作られた社会の指導案で,題材は信玄公祭りでした。
 信玄公は武田信玄で,この手の武将に関する祭はそれほど歴史がないことが多いよなあと思って読み進めると1970年に開始されたもののようです。

Q武田信玄が亡くなってから400 年以上もたっているのに,なぜ山梨県甲府市では武田信玄の祭りが行われるのでしょうか?
 
Q信玄公祭りは武田信玄の没後に甲斐の一般の人たちによって始められたものでしょうか?
 
Q何のために信玄公祭りが行政主導で 1970 年に始められ現在まで続けられているのでしょうか?

 このような問に考えてもらうことで,信玄公祭りは「自然発生的にうまれたもの」ではなく「社会的にうみだされたもの」であることに気づかせると共に,そのような祭が以下のような意義があることも学ばせる授業が計画されていました。

信玄をうんだ土地,信玄が活躍した土地,信玄の土地,栄光の歴史をもつ土地としての郷土意識,そのような歴史ある誇らしい郷土の一員としての住民意識が促される。
 
観光客を誘致し地域振興のために役立つ。
 
住民の見方や意識に影響を及ぼす。

 そして,「自然発生的に生まれた歴史と伝統のある祭」として,京都の祇園祭や博多祇園山笠などと比較する活動も盛り込まれていたのですが,山梨県の中学生で上記2つの祭を知っている人はかなり少ないのだろうと思います。
 
 そこで,「山梨の中で歴史のある祭を出した方が良いのになあ?」と思って山梨の祭を調べてみて,最初に出てきたのが山梨県の公式HPの中の祭紹介のページでした。

 ここに紹介されているのが,上述の「信玄公祭り」と「吉田の火祭り」「塩澤寺の厄除け地蔵尊祭り」の3つだけでした。
 そのほかになんかあったっけ???と思い返しても,八朔祭りはマイナーだし,富士五湖の花火大会はあるけど伝統があるかというと…と思うと山梨の伝統ある祭りって全然思いつけませんでした。
 ある意味富士山に絡む信仰が絶大すぎて,その他の伝統的な祭ができてこなかったのかもしれませんが…山梨の祭についてももう少し知識を深めたいなあと思いました。
 もう何年山梨行ってないかな…2019年以来か…吉田のうどん食べたい…禁断症状が…。

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