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20230607 中学生の祭意識

 先週末を中心にその前後にトラブルが重なりこの祭心理学NOTEだけでなく全体的に何もできなくなっておりましたが,今日になってようやく通常運転が戻ってまいりました。久しぶりに文献検索できるのは楽しい~♪と思いながらみつけたのが以下の論文です。
 
植木節子・高橋博代 (2014). 中学生のための地域学習と自文化理解, 千葉大学教育学部研究紀要, 62, 191 – 199.

 この祭心理学NOTEで,「近年のいろいろな働きかけで小学生は祭をよく体験するようになったが,中高以降にその参加の継続ができていない気がする」と何回か書いてきておりました。上にあげた論文では,中学生に地域の祭に関するインタビューを行わせた感想をまとめられているので,「中学生の祭に関するイメージ」について理解できると思いました。
 研究の対象となったのが千葉大学の附属中学の生徒なので,一般的な中学生と比べると学習意欲も高く優秀な生徒であるという前提はありますが,基本的にどの生徒の感想を読んでみても祭に対する関心が高く,インタビューの結果有意義なことを学べているように思われました。
 「全員が祭に対して良い印象を持っていたようである」と証明するためには論文にあげられている17名すべての感想を全部引用しないといけないのでできませんが,本当に全員が祭が好きと書いていて…とここまで書いて論文を読み直すと,「さまざまな学習テーマのゼミから「地域と伝統文化」を選んだ17名と書いてありました。そりゃみな祭が好きなわけで,好きだからそのテーマに募集したのですよね。
 
 ということで,最初の「中学生の祭のイメージ」から離れ,もともと祭に対して好印象を持っていた中学生が祭に関するインタビューをした結果,「より良い印象」を持つことが出来たエピソードを引用してみたいと思います。

「町に住んでいる人がその土地を誇っているような気がする」とあり,地元の人々の誇りを感じ取り,城下町など文化遺産が大事に継承されていることを記述している。
 
「山車人形の立派さに驚いた」とあり,実物を間近で見ることの学習的意義が確認された。
 
「山車は思ったより大きく,自分の地元のより大きかった」「山車人形の々の事まで教えてもらって良かった」「山車はお金がかかる」など,当時の街並みや,山車の大きさに強いインパクトを受けている。また麻賀多神社では裏から参拝出来るようになっている事を知り,「神様は表よりも奥の方に居る」と驚いている。
 
「祭りを通して昔を学び次の世代に引き継いでいる。」「人々は自分の町に誇りを持っていると強く感じた」と,祭りのもつ役割や伝承,人々の思いを受け止めていた。また,「氏子と呼ばれる人は神に感謝し祈る」と,佐倉の祭では神興を担ぐ特別な役割を持つ人が存在することを知り,他方で.「(氏子とは異なる役割を持つ)住人や近隣の人が楽しむ祭りも存在する」と祭りの多面性にも気づく記述があった。

 こうした記述を集めてみると,やはり中学生に「祭すごい!」と思ってもらうためには,「立派さや大きさなどの偉大さや勇壮さ」「祭に携わる人の誇りや思いを感じ,そのようなものを次の世代に継承させる礎や原動力としての歴史や信仰の存在」などが重要なのではと思いました。
 そして上にあげたような要因が存在する祭は,担い手不足が良く指摘される現在においても逆に多くの参加希望者を集めているようにも思えるなあとも。
 まあでもやはりこんかいの論文の内容は優秀な生徒さんに関するものなので,一般的な中学生の祭イメージについては他の論文等も探して,できれば自分でも調査したいなあと思いました。

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