北国の降りつもる雪を見つめながら、コーヒーであたたかく過ごす贅沢を。喫茶店アンクルハウス
しんしんと雪が静かに降り積もる。
手に触れたら消えてしまうほどの、ふわりと小さな粒たちが重なり積もり、いつの間にかすべてを白く覆ってしまう。
その様をぼんやりと見つめながらカップに口をつける。じんわりとコーヒーの苦味が口の中を滑り、雪のようにすっと消えていく。
コーヒーのお供にと迷いなくレアチーズケーキを選んだのは、ここ北海道の雪を連想させるようなまっしろさだったからだろうか。
「アンクルハウス」という喫茶店で、2019年のカフェ初めを過ごした。
北海道は北見市。駅前にある昔ながらのショッピングビルと、駅から車で10分ほど行ったところにイオンがある。
スターバックスさえもないこの街に、コーヒーを飲めるところがあるのだろうかと不安になっていたのだが、まさか、店のドアを見ただけでこんなに心踊る喫茶店があろうとは。
カウンターに座ると、目の前にはケーキの並ぶショーケースと、サイフォンを淹れるコンロが並ぶ。
自家焙煎らしいコーヒーのメニューは、ブレンドコーヒーと、ブラジル、コロンビアなどのストレートと呼ばれるコーヒー。紅茶のメニューも種類が豊富。
1985年に創業し30年以上も経つお店なのに、汚れて古めかしいのではなく、きちんと正しくレトロだ。
ダイヤル式の電話機、押しボタンになっているレジスター。喫茶店に欠かせなかったアイテム、マッチも置いてあった。(私はその時代を知らないのだけれども)
目を惹いたのは、古い楽器たち。
イミテーションではなく実際に使われていたものだそうで、使わなくなったからとお客さんが持ち寄って来て、集まったそうだ。
カメラのコレクションも。カメラ好きからすると胸が熱くなるような機種があったりするのだろうか。
私が900円のケーキとコーヒーのセットをいただいているうちに、カウンターにはおひとりさまの客が代わるがわる何人か訪れた。
あけましておめでとう、今年もよろしく、と声を掛け合う客とマスター。いま家族は帰ってきてるのか、いつから仕事かなどとコーヒー一杯を飲んでいる間に話して、じゃぁまた、と出ていく。
過不足なく、正しい喫茶店だった。
人の生活の中にある場所。スーパーへ買物をしに行くかのように、喫茶店へ行くことが日常なのだ。
これからも長く続き、この街に在ってほしいなと思いながら店を後にした。
アンクルハウス
北見市高栄東町1丁目24-14-11
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※駅からは「大通り」停留所から7番バス若葉線に乗り、「夕陽ヶ丘4号線」停留所で下車。
まつりに美味しいコーヒーをご馳走してくださいっ