エルピスを見ていた


いやー面白かった!
冤罪や政治が絡んだなかなか重いテーマでありながら毎回緊張感の絶えない全10話だった!
あっという間に終わってしまった感覚。

大豆田とわこが大好きな知人が
とわこのプロデューサーしてた人のドラマが
はじまるよ〜と教えてくれて
どれどれとチェックしていたら
脚本が渡辺あやさんとな!

渡辺さん脚本で
名作「ジョゼと虎と魚たち」はさることながら
映画「ワンダーウォール」とか
NHKドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」をここ最近見ていて
風刺のきいた作品のなかに
くすっと笑えるシーンを盛り込むのが
良いなぁと思っていた。

エルピス1話を見て
これは攻めたな…と思ってはいたけど
放送実現まで6年かかったというから驚き。
この記事が大変興味深かった。↓
https://gendai.media/articles/-/101286

大きなテーマである冤罪事件のことを
丁寧に描いていると思ったし
テレビドラマのなかで
テレビやマスコミをディスるという
確かにリスクがありそうな内容なのだけど

その中でも組織ってこうだよね、、みたいな
組織あるあるがたくさん散りばめられていて。
自己保身のために部下の企画を上にあげずに止める中間管理職とか
自分の仕事をすすめるために
お偉いおじさん達のメンツを保ちながら
めちゃくちゃ気を遣わなければいけない女性社員とか。
組織の中でどう生きるか、
どのポジションにいるか、
安全な場所を探すのか、
それとも見放すのか、
みんなもがいて生きてるよね。

社会や組織を人間の体内だとしたら
そこで働いている人達を
善玉菌と悪玉菌で例えていたのにも唸った。
悪玉菌は最初から悪玉菌だったわけじゃなくて
身体のなかのちょっとしたバランスが崩れて
善玉菌だって悪玉菌に変わる。
善玉菌と悪玉菌の割合は
ちょっとした風向きでいつどう変化するか
分からないし、戦って疲れた菌は
身体から排出されていく。


郷敦演じる岸本は家が裕福、
いわゆるお坊ちゃんが
ずっと逃げてきた過去と対峙するシーンも胸打たれた。
学生時代いじめられてた友達を見て見ぬふりして生きてきた。
自分を守るために思考すら停止する。
勝ち組でいるために。

でも冤罪事件と向き合っていくなかで
向き合いたくなかった自分の罪が隠しきれなくなっていく。

「勝ち組でいるために負け続けてきた」

誰だって誰かを傷つけて生きているけど
どれだけの人が自分の罪と目を逸らさず向き合うだろう。

このセリフはたぶんずっと忘れない。


スクープの取り扱いについても怖さを感じた。
スクープって真実や正義のために
暴かれるものばかりではなくて
名声のため、金のために
正しくない方法でばらまかれてしまうこともある。
そりゃ人も信じられなくなるよな。

齊藤と浅川の恋愛模様も
浅川が事件に向き合いたいけど
辛い現実ばかりで
逃げるように
斎藤と夜こっそり身体を重ねる描写とか
複雑な人間関係の描き方がすごい…


一発逆転!悪を成敗成敗〜!
みたいなスカッとする出来事なんて
なかなか無いのが現実で
わざわざ戦って辛い思いするより
みんな明日の生活の方が大事で
モヤッとした何かを飲み込みながら
いつもと変わらない日常を選んでく。

それでも世の中から切り離されて
身を削りながら戦ってる人もいる。
絶望しかないドラマだったら
きつくて見るのをやめてしまっていたかもだけど
組織も一枚岩じゃない。
希望もあることをちゃんと伝えてくれたドラマだった。

自分じゃどうしようもできない出来事って
社会の破片みたいに降ってきて
不安に苛まれるけど
どう希望を持てばいいのって時に
答えをくれた最終回だったなぁ。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?