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【実話】 亡くなった父からの電話

父が亡くなってしばらくした頃、母が複雑な事情を抱えた人から頼られ、その人の家を訪れることになった。
その人の家へ到着し、クルマを降りようとした時に携帯が鳴った。発信者は亡くなった父だった。母は思い出の父の携帯を解約せずにそのままにしていたのだった。
母は、父が何かを伝えようとしているのだと察した。
「この家に入ってはいけない」
そう思った母は、クルマから降りずにそのまま帰宅した。
父からはその後もう一度電話があったが、母は電話に出ることはなく、じっと液晶に表示される父の名前を見つめるだけだった。間もなく母は、父の携帯を解約した。

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