見出し画像

【実話】 浴室前の男性

 名古屋近郊の、80世帯ほどが入居する集合住宅に住んでいた頃の話だ。
わが家では、以前から不思議な現象が続いていたのだが、間もなく、どうやら不思議な現象が起きるのはわが家だけではない事に気付いた。
 わが家は8階で、フロアーには10世帯が入居している。そのほとんどの玄関先に、盛り塩がしてあったのだ。

ある日、わが家に数人の友人がやって来て、その中に霊感が強い子がいた。彼女の霊感は友人たちの間でも知られていたので、妻が彼女に尋ねた。
「ねえ、ウチ、何かいるっぽいんだけど○○ちゃん、視える?」
「言わないでおこうと思ったんだけど、聞かれたから言うね。お風呂場の前に痩せた男の人がうずくまってる」
えー!と他の友人たちが叫ぶ。
「あー、やっぱり」
と妻が言うと、他の友人が
「え? 怖くないの??」と聞く。
「でも別に悪い事するわけじゃないし、時々ヘンだなーとは思うけど」と妻が言うので私も
「そうだね、生活に支障が出て来たら何かするかも知れないけど、多分この階のほかの家もそんな感じだと思うよ」
と言った。
「ヘンな事ってどんな事があるの?」
と友人たちは興味津々だ。
その日はそんな話で盛り上がった。
わが家で起こる「ヘンな事」については、追々、ここで語って行く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?