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#自分ひとりの力

先日、長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子准教授の講演を聴く機会があった。
氏は、2017年7月7日に国際連合総会で核兵器禁止条約が採択された場にも参加されており、その時のスタンディングオベーションや人々の熱気に満ちた様子も語られた。
氏いわく、核兵器禁止条約とは「漢方薬じわじわ効果」なのだそうだ。この条約の白眉は核兵器を「非人道兵器」と明確に位置付けたことにあると言う。
 
これまでの核に関する話し合いは、核兵器を保有する国同士によっておこなわれており、議論の前提は、核兵器は戦争を起こさないための「必要悪」であるという事だった。しかし、核兵器禁止条約を推進したのは非保有国であり、核兵器を「絶対悪」と位置付けたことにより、議論のスタートラインが変わったのだった。新機軸だ。
 
この条約は、何か目に見える結果がすぐに出るものでも何かを解決したりするものではない。しかし、核兵器が「絶対悪」である事が国際会議の場で言明された事により、世界の空気が変わった。世界の空気とは、私たちひとりひとりの意識の事だ。核兵器を保有しているのは国家であるが、製造しているのは企業である。そういった企業に対し、銀行が融資をしないという流れが出て来た。それによって銀行はイメージアップを図ることが出来るからだ。これが、氏のいう「漢方薬じわじわ効果」だ。
 
学生に「核兵器は無くせるか」とのアンケートを取った結果、7〜8割が「無くせない」との意識だったという。そこで氏は次のような譬え話をされた。つい2〜30年前まで飛行機の手すりには灰皿が付いていて、機内では平気でタバコが吸われていた。まさにドラマ『不適切にもほどがある!』の世界だが、日本航空と全日空が国内線・国際線の全路線を禁煙にしたのは1999年、平成11年のことだ。昭和の話ではない。この25年の間に人々の常識は変わったのだ。
 
「常識は変わる」「常識を変えるのは一部のオピニオンリーダーではなく、私たちだ」という事を強調して、氏は話を終えた。
「自分ひとりが動いても」との意識が蔓延する社会であるが、自分ひとりの力は、実は大きい。

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